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世間から軽蔑され虫けらのように扱われた男は、自分を笑った世界を笑い返すため、自意識という「地下室」に潜る。世の中を怒り、憎み、攻撃し、そして後悔の念からもがき苦しむ、中年の元小官吏のモノローグ。終わりのない絶望と戦う人間の姿が、ここにある。後の5大長編へとつながる重要作品であり、著者の思想が反映された主人公の苦悩をリアルに描いた決定訳!
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Posted by ブクログ
暗く、ジメジメした穴ぐらから溢れ出る呪詛。 ポジティブを全て向こうに回し、己の駄目さ加減を棚に上げて捏ねくり回される自己肯定。 でもなんか途中から、なんか自分のこと言われてる‥と感じたり。 妙にハマった。
ドストエフスキーで笑える作品があるとは・・・そこにまずは驚きました。 主人公はモノローグという中年の元役人で、コイツが一癖も二癖もある大問題児です。妬み、嫉み、僻みといった人間の鬱屈とした闇の部分を全て兼ね揃えていて、それを惜しみもなく全開放した本当にどうしようもない奴が主人公として物語が展開されて...続きを読むいきます。 そんな彼が、自らの人生論や哲学に関して80ページにもわたり語り出す前半は難解なこともあり、もはや苦痛でした(笑) ただ、2部からは学生時代の友人や娼婦との恋に関するエピソードに入り、面白くなります。主人公のどうしようもない屑っぷりが、どんどんとクセになっていって、途中からはもはや愛おしく感じてしまいました。喜劇として展開されていく後半は、第1部の小難しい哲学論からは打って変わって、思わず吹き出してしまう場面も多く出てくるため、前半で投げ出さずにぜひ最後まで読んで欲しいです。 あと、主人公のモノローグは確かにどうしようもない奴ですが、誰しもが心に闇を抱えていて、それを代弁している存在でもあるのかなとも思います、そのため、時には共感し、時にはその不器用さに切なさを感じてしまったり・・・色々と考えさせられる事も多かったです。モノローグがどういう人間なのかよく分かった上で、前半の哲学語りの部分を読み返すとまた違った発見がありそうです。 ユーモアもありながら深みもある、そんな魅力が詰まった素晴らしい作品でした。
こじらせかまってちゃんな主人公のドタバタな日常は、読んでいて苦笑いさせられてしまいます。 周りを一切幸せにしない生き方ってあるのですね。 自分の中にも引きこもりたい願望はありますが、引きこもったとしても、他者への優しさは失いたくないです。 現実的に将来自分が引きこもった時に、バイブルになるかもしれま...続きを読むせん。 主人公自身が気に入っていた、屈辱と憎悪の効用に関する名文句が好きです。でも、リーザのように傷つけられた立場からしたら、加害者の不快な屁理屈にしか聞こえません。 ひさびさのドストエフスキーは、やはりロシア的で衝撃でした。
主人公は、なんとまあ面倒くさい人でしょう。リアルでは関わり合いたくない人ですが、意外と共感できる人も多いのではと思ったり。 第一部『地下室』は、とち狂った男の黒歴史を語る妄言の数々がひたすら書かれていますが、人間の内面に潜む自意識をひたすら省みる内容には、意外にも知見に満ちた珠玉の言葉(一部笑いを...続きを読む誘う言葉)に溢れていて読み応えがあります。なんとまあ、人間の内面の愚かしいこと…。 第二部『ぼた雪に寄せて』は、第一部で語っていた自意識について、それを実際に言葉や行動として表象されたとき、自らはどのような結末を迎えるのかが書かれています。つまり、一見退屈とも難しくも感じられる第一部を読み切ると、第二部での若かりし頃の主人公が、まるで坂道を転がり落ちていくような敗北感や屈辱などを理解できるつくりになっています。これがある意味、非常に面白くもあり呆れもする内容で、第一部を退屈と思いつつも読み切れた人は、最後まで読み通すことをおすすめします。 なお、自分は第二部の後半の独白を読んでいて、なんとなく『白痴』と『カラマーゾフの兄弟』を思い出しました。発表は『地下室の手記』が先なので、後の作品の萌芽が感じられるのかもしれない。 正誤 (第11刷発行) P56の11-12行目: 「…教養ある人間であればことにそうだ。そうなったら、全生涯を三十年先までも…」 ↓ 「…教養ある人間であれば、なおさらそうだ。そうなったら、全生涯を三十年先までも…」 P120の6-7行目: 「…それでもそれにも確信を持てぬまま、…」 ↓ 「…それでもそれに確信を持てぬまま、…」 P164の9行目: 「〈連中が跪(つまず)いて、俺に友情を懇願することなど、…」 ↓ 「〈連中が跪(ひざまず)いて、俺に友情を懇願することなど、…」
主人公に、まるで未来の自分が書いたような強い共感を感じた。肥大化したプライドで他者を見下し、同時に自己が矮小で卑劣な存在だと認識していながらも、それを変える為に前向きな、つまり現実と対峙することから逃げ続ける。高すぎる理想で、他人を嘲笑するが、それは自分自身にも適用される。 自己嫌悪、自意識過剰、...続きを読む低い肯定感と高い自尊心、全て共感できた。 主人公が語る事柄も、経験があることばかりだった。物語自体、何も解決せず、循環する陰鬱を記して終わる。救いはないし、読み終わった後に何が変わるでもないが、100数十年前に自分と似たような人間がいて、それを描いた小説が古典的名作として世界中で受け入れられている事を、なんだかとても温かく感じる。しかし一方で、他人がこの小説について語っていると傲慢にも不快感に似た感情を持ってしまう。お前になんかに理解できてたまるか!と。 失礼にも恥ずかしさを覚えるほど、完全に自己投影してしまった。キリスト教や当時のロシア情勢などを関連付けて語ることもできるようだけど、それ以上に現代社会における自己の確立の困難さという普遍的な悩みを扱っているのだから、まずは後者に注目するべきだと思う。 ただ主人公の、おそらくは理想とする水晶宮については納得できなかった。半理性的で非合理で、より感覚的な愛の世界。それを理想としている前提があるから、あのラストがより際立つのは理解しているけど、思想として納得できなかった。主人公自身、本当にそれを望んでいるとは思えない。ルサンチマンとストーリーの言い訳に聞こえた。文学としてはそれが正しいのだとは思うけど、私個人として好みじゃない。
「俺は病んでいる・・・ねじけた根性の男だ」で始まる非常に暗い小説。小説は2部に分かれ、Ⅰ部の「地下室」はモノローグで主人公のねじれた人生観がくどく語られ、Ⅱ部の「ぼた雪に寄せて」では主人公を「ひどく苦し」めている思い出が語られます。 Ⅰ部は難解で矛盾だらけ(ただ、注意深く読むと論理的一貫性があるのか...続きを読むもしれません)の一見戯言ですが、Ⅱ部で描かれるのは、一転、ほとんどコメディのようなねじれた男の3つの思い出。261ページの中編小説ですが、Ⅱ部に不思議な面白さがあり、一気読みでした。 主人公は40歳の元小役人。遠い親戚から6,000ルーブルの遺産が入ったため、退職して地下室に引き篭もっています。 「自尊心」が非常に高く、19世紀の知性が高度に発達したと自己評価している主人公は、何物にも、虫けらにさえもなりえなかったと考えています。主人公が批判するのは屈託なく率直で実際に行動を起こす「やり手タイプ」。そして、「やり手タイプ」も自然法則には勝てず、合理主義一点張りである点を猛烈に批判し「愚か者」と断定します。 自己については「冷ややかなおぞましい絶望と希望が相半ばした状態や、心痛のあまりやけを起こして我が身を地下室に40年間も生きながら埋葬してしまうことやこうした懸命に創り上げた、それでいてどこか疑わしい己の絶体絶命状態や、内面に流れ込んだまま満たされぬ願望のあらゆる毒素。激しく動揺したかと思うと永遠に揺るぎない決心をし、その一分後には再び後悔の念に苛まれるという、こうした熱病状態の中にこそ、さっき俺が言ったあの奇妙な快楽の核心があるのだ」と難解な分析を行います。 このあたりで挫折しそうになりましたが、訳者の安岡治子さんの解説は良きガイドになりました。特に7章以降に展開される「水晶宮」の理論の意味は解説がなければ読み取れなかったと思います。 16年前の苦痛の思い出を描くII部は、ほとんどコメディで3つのエピソードからなります。 ①将校との個人的な心理戦争 ②裕福な同窓生たちとの空回りの闘争 ③娼婦リーザに挑んだ戦い(?)と敗北 上記のエピソードは主人公のくどいほどの心理描写とともに描かれます。時間をおいてもう一度Ⅰ部を読むと、Ⅰ部の意味がある程度は理解できるような気もします。 以上、難解であると同時に面白い小説。ただ、ドストエフスキーの世界を未経験だと辛いかもしれません。また、大昔に読んだ『人間失格』を思い出し、また読んでみたくなりました。
娼婦を感動させたのに...
娼婦に気持ちが伝わったのは感動だ。 でも、主人公は分裂した感情を持つ。 単純でないのはつらいことだ。 だが、読者が アンビバレンツを直視するなら 何かが見えるかもしれない。 娼婦ではないが汚れた状況下の女性である 『ブギーポップは笑わない』の織機綺、 『青春の門・筑豊篇』の牧織江、 ...続きを読む また、同時期の作家トルストイの描く、 厳しい状況下にいた 『戦争と平和』のナターシャ たちには、理解ある彼が現れて、 筋が単純だが、この手記では 誰も救われなくてつらい。 でも、矛盾や苦悩の中で とにかく生きていると思う。 出世とかの土俵違いのところで 戦っている役人には 知識や思考を生かす場を与えてあげたい。
#切ない #深い #タメになる
肥大する自己意識。ちっぽけであると分かっていると同時に、どこか偉大であると信じている自己の存在意義。結局、極悪にも、善良にもなりきれずに世界を恨む。人間の普遍的な自己意識と世界との関わりの間で揺れ動く悩みは時代や場所が変わっても色褪せずに多くの人々の心に問いかけ、また、慰めてくれている。
自意識過剰と書いているけど、実際は人の悪意を正面から受け止め過ぎた悲しい主人公だと思いました。人間は脳髄で考えているのではなく手足からつま先に至るまで、それぞれ別々に考えている。頭も尻もない下等動物の連中が暑い寒いを正確に判断したり、喰い物の選り好みをするのはまだしも、人間の脳髄なんぞが寄っても附け...続きを読むない鋭敏な天気予報までもはっきり表しているのだから。主人公は言動だけでなく人間の態度や、ささいな行動からも人の悪意を感じ取ってしまうのではないだろうか。 この主人公の考え方は狂っているように見えるが、それは他の人より目立っただけだと思う。
新訳ではありますが、久々に手にしてみました。 凄いですな、これは。 主人公の倒錯の果ての自意識過剰・自己中心意識には憐れみを覚えると同時に読者(あるいは当方)自身の欺瞞を抉り出されているようで慄きを感じる。 また、リーザの設定などヨーロッパを知っていればより深くこの本を味わえるんだろうと思いますな。...続きを読む それにしても「本を読んでいるみたい」とは痛烈な知識人(あるいは良心ぶる市民)批判、とにかく身を隠すばかりです、当方は、はい。
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