【感想・ネタバレ】悪霊 3のレビュー

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Posted by ブクログ 2022年08月12日

一、二巻は展開が冗長でまどろっこしい印象を抱いたが、この三巻で『悪霊』の筆舌に尽くしがたい面白さが一気に畳み掛けてきた。この面白さを味わう資格のある者は一、二巻を辛抱強く読み終えた者達だけである。『罪と罰』や『カラマーゾフの兄弟』に散りばめられた“救い”の部分がこの作品からは殆ど感じられないぐらい陰...続きを読む惨めいている。人物の“死”が多く描かれるが、その描写自体は淡白な印象を抱いた。革命事件に主軸を置きながらキリスト教と無神論(人神思想)といった宗教哲学が濃厚に詰まった作品である。殊に人神思想が登場人物によって語られる描写に魅了された。

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Posted by ブクログ 2020年05月27日

『罪と罰』『白痴』とこの『悪霊』と読んできて、どれもまだるっこしい序盤に不穏になりはじめながらも混沌とした中盤、一気にスピードをあげて破局になだれ込む終盤、というのは同じだなと思った。特に『悪霊』と『白痴』は、終盤のなだれ込み加減と、あまりにも急展開かつあっけない幕切れが似てる。

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Posted by ブクログ 2020年05月03日

正直ちゃんと理解はできてないと思うけど、それでも面白かった。
特に三巻目はいろんな事件が起こり大量に人が死ぬなど、動きが激しいしわかりやすい部分も今までの巻よりは多かったので読みやすかった。

『祭り』でのカルマジーノフのあたりはすごく笑えた。
実在の人物であるツルゲーネフがカルマジーノフのモデルら...続きを読むしいが、どれだけドストエフスキーは彼に不満があったのかと…。

最後に読書ガイドもついているので、あぁなるほどあれはそういうことだったのかと発見できることも多くて良い。

(2024/02/16:再読)

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Posted by ブクログ 2018年01月12日

 もう一度読んでみたい。 一度読んだだけでは、作者が意図することを読み取る力が足りない。訳者あとがきを読んで初めて、あーそういうことだったかと少しわかった気になる。だからもう一度通して読んでみたい。

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Posted by ブクログ 2015年09月23日

一番好きな小説。自分が歳をとったからなのか、亀山さんの訳が分かりやすいのか、これまで何度も読んできた本のはずなのに、新たな気づきも多く、世界も広く感じられた。

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Posted by ブクログ 2014年01月05日

「スタヴローギンの告白」だけは3種類の訳を読んだ。
しかし、現代はもうスタヴローギンさえ「悪」とはいえない時代。

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Posted by ブクログ 2013年09月07日

ドストエフスキーが後年に著した『五大長編』の内、政治的な意味あいが最も強いといわれる『悪霊』その完結編です。全ての物語上の複線が回収され、狂乱と崩壊に向かって疾走する様子が描かれております。

登場人物の実に3分の1が何らかの形で死を迎えるという陰惨極まりない小説であるドストエフスキーの『悪霊』その...続きを読む完結編です。しかし、改めて思うのはストーリー全体の時間軸が秋から冬にかけての「一季節」であるということに衝撃を受けた、ということです。ようやくこの第3部で全ての複線が回収され、物語は一気に崩壊へと突き進んでいくのです。『革命組織の内ゲバリンチ殺人事件』と美貌。知力。腕力に加え、貴族という特権的な身分と、巨額の資産まで併せ持ったニコライ・スタヴローギンという一人の人間が以下に自壊し、その最期を遂げていくのか…。この二つを主軸として、無政府主義、無神論、ニヒリズム、信仰、社会主義革命などの多種多様なテーマを詰め込みに詰め込んでいる小説であると思われます。

第3部の最初のクライマックスであるところの第1章及び第2章の『祭り』と『祭りの終わり』では、今まで『権威』とあがめられた存在が貶められ、辱められることになります。ユーリヤ夫人の肝いりで始まった『慈善パーティー』で、まずは『前座』としてしたたかに酩酊したレビャートキン大尉が現れ、どうしようもない詩を披露したあと、強制的に退場させられます。ここからすでに不穏な空気を発し始めるのですが、次に壇上に上った『大作家』であらせられるカルマジーノフやステパン氏の持つ『聖性』や『権威』の『仮面』が次々と剥ぎ取られ、冒涜と否定と笑いと奪還のカオスの中へと引きずり込まれていくのです。カルマジーノフ先生は自身の作家人生の集大成である「Merci(ありがとう)」というエッセイを読み上げるのですが、聴衆からの轟々たる罵声により、内容を途中でショートカットし、結びの部分を強引に読み上げる形で控え室へと戻ってきます。

ステパン氏の講演も大失敗に終わり『美は全ての事象の上にある』という趣旨の発言をしたときに、ある神学生から、脱獄囚のフェージカは昔あなたがカードで負けたカタに売り飛ばさなければああならずにすんだのでは?と野次を投げつけられ、ステパン氏はそれに答えることができずに壇上を後にするのです。3人目の男は『偏執狂』と呼ばれ、彼がロシアを公然と侮辱し、さらにはヴィルギンスキーの親戚も舞台に上がり、しっちゃかめっちゃかの状態となっていきます。夜の舞踏会に至っては参加者が少なく、その少ない参加者達も胡乱げな連中ばかりという体たらくでございました。

いっぽう、マヴリーギーという婚約者がありながら、ひそかにスタヴローギンを思い慕うリーザはそんなカオスそのものとなった舞踏会の混乱に紛れ、婚約者であるマヴリーキーを振切って、スクヴォレーシニキに走りスタヴローギンと一夜を共にするのですが、ペテルブルグ時代から続く彼の放蕩三昧の遍歴に『生ける屍』と化した彼の姿に幻滅してしまうのです。

第3章の『愛(ロマン)の終わり』に彼らの会話の様子が描かれるのですが、リーザは自分の『運命』を予感していたことを言うのです。彼との『関係』を示唆する《》付きのあれほどの幸せ。その一瞬。一時間。一瞬。というフレーズ。スタヴローギンの
「ぼくを苦しめてくれ、ぼくを罰してくれ、ぼくに憎しみをぶちまけてくれ」
といった果てに彼らの元に来たピョートルにリーザが出て行った後『彼女を愛していない』とのたまい、さらには
「いや、ぼくは自分の中の猿を笑っているだけです」
という。この恐るべき空虚さに戦慄しました。その一方で舞踏会が終ろうとする夜更けに、何者かの手によって対岸の郊外の家々に火が放たれ会場は大混乱となっていくのです。その混乱の中、レンプケー氏はその様子を見て
「ぜんぶ放火だ!こいつはニヒリズムなんだ!燃えているものがあればそいつはニヒリズムだ!」
と叫び、発狂するのです。G氏はレンプケー氏の政治生命は終わったと述懐しております。

そんな狂乱の一夜の翌朝に、炎上した川の向こうの一軒屋(借主はスタヴローギン)からスタヴローギンの『正妻』であるマリヤ・レビャートキナとその兄であるレビャートキン大尉。そして女中の惨殺体が発見されるのです。レビャートキン大尉は喉をかき切られ、マリヤは全身をナイフでメッタ刺しにされ、女中は頭を叩き割られるという陰惨なものでした。スタヴローギンから
「彼らが殺されることは分かっていました。それでも、人殺しどもをとめようとしなかった」
というまさに『黙過』の告白を聞いたリーザは婚約者のマヴリーギーの静止も聞かず、スクヴォレーシニキの屋敷から火事の現場に駆けつけ、現場にたどり着いた彼女は
「そいつだぜ、スタヴローギンの女は!」
(別の方向から)「殺すだけじゃ足りねぇで、見物にまで来やがった」
という声とともに狂乱した群集によって撲殺されるのです。まさに死に向かって疾走するかのようでした。

第4章の『最終決断』では「五人組」を脱退しようとするシャートフが密告する恐れがあるということで、彼を殺害し、その罪を「人神思想」のために自殺するキリーロフに負わせるという計画をピョートルが使嗽するのです。ここでもピョートルは旺盛な食欲を発揮し、ステーキを平らげ、キリーロフのところに行って自殺の意思を「念押し」するのです。そこで、脱獄囚のフェージカが登場し、ピョートルは殴り飛ばされるのですが、彼はその後、シュピグリーンの労働者であるフォームカを使い、彼を始末してしまうのです。

第5章の『旅の女』ではその翌日、シャートフの元妻であるマリヤ・シャートワ(マリイ)が彼の元へと戻ってくるのですが、彼女はスタヴローギンの子供を妊娠しており、シャートフの家で居候しているときに産気づいてしまいます。シャートフはキリーロフや「五人組」のメンバーであるヴィルギンスキー、リャムーシン達のところを駆けずり回り、金や出産にかかわるもろもろのものを確保しようとします。産婆は要らないと言い張るマリイ、それを助けたのはヴィルギンスキーの妻であるアリーナ・ヴィルギンスカヤでした。彼女はシャートフ夫妻の面白さに無償で産婆を引き受け、一人の男の子が生まれます。その際にマリイは
「ニコライ・スタヴローギンはろくでなしよ!」
と叫びます。こうして生まれた赤ちゃんにシャートフは彼に「イワン」と名づけ、養子にしようというのです。

運命の第6章『多難な一夜』ではいよいよシャートフ殺害のために「五人組」のメンバーが集まります。しかし、結構の直前にシガリョーフは異を唱え、現場を去ります。スタヴローギン公園の隅に呼び出されたシャートフは3人掛で地面に押さえつけられ、ピョートルが銃を額に押し当て、射殺されるのです。その遺体は重石をつけたあとで池に投げ込まれます。とても陰惨な場面でした。その数時間後に、ピョートルはキリーロフの家に行き、ピョートルははシャートフ殺害の罪をキリーロフに請負わせ、彼を自殺させてしまうのです。そのときの狂気に満ちたやり取りはここだけでも是非ご覧になっていただけるとありがたいのですが…。二人の「せめぎあい」が本当に鬼気迫るものがあるのです。そして、ピョートルは国外逃亡を果たし、二度と戻ってくることはないのです。

第7章の『ステパン・ヴェルホヴェンスキー氏の最後の放浪』で全てを失ったステパン氏は失意のうちに放浪の旅に出るのです。そこでであった福音書売りの女であるソフィアと出会い、彼女と行動を共にするのですが、熱病を患い、死の床に就くのです。聖書の一説を読んでほしいと懇願するステパン氏に対し、ソフィアはエピグラフにあるルカ福音書第8章32-36節ともう一つ。「ヨハネ黙示録」の中にある『ラオディキアの教会にあてた手紙』を読むのです。印象的な内容なので、ここに引用したいと思います。
『ラオディキアにある教会の天使にこう書き送れ。『アーメンである方、誠実で真実な証人、神に創造された万物の源である方が、次のように言われる。 「わたしはあなたの行いを知っている。あなたは、冷たくもなく熱くもない。むしろ、冷たいか熱いか、どちらかであってほしい。熱くも冷たくもなく、なまぬるいので、わたしはあなたを口から吐き出そうとしている。 あなたは、『わたしは金持ちだ。満ち足りている。何一つ必要な物はない』と言っているが、自分が惨めな者、哀れな者、貧しい者、目の見えない者、裸の者であることが分かっていない。』
という箇所を告げられ、激しいショックを受けるのです。その後彼は自分を追ってきたワルワーラ夫人に愛を告げ、彼女の腕の中で息絶えていくのです。

全ての終わりである第8章の『結末』ではまずシャートフの死を知ったマリイは無茶をした挙句産褥で死に、イワンもまた病死してしまいます。シャートフとキリーロフの遺体が次々と発見され、『五人組』の仲間たちは次々と逮捕されていきます。『リャムーシンは持ちこたえられなかった』という記述があり、自壊した彼の供述が事件解決の決め手となりました。リプーチンはペテルブルグに滞在2週間後に逮捕され、エルケーリは減刑の見込みはなく、トルカチェンコは逃亡後10日ほどして、どこかの郡部で逮捕されます。リーザの婚約者であったマヴリーギーは行方不明となり、母親であったドロズドワ老婦人は精神崩壊を起こしてしまいます。最大の衝撃は主人公であるニコライ・スタヴローギンの『自死』でありましょう。ダーリャに
「スイス・ウリー州への市民登録を済ませ、家もあるから一緒に行きませんか?」
と誘いながらも別荘の屋根裏部屋で縊死を遂げる…。その最後にはただただ絶句するともに、
『だれも責めてはならない、ぼく、自身だ』
とだけ記された遺書。事前に選び抜かれたであろう丈夫な絹紐や釘、そして苦痛を和らげるために絹紐にべっとりと塗った石鹸…。彼の死は『神になろうとした男』が最後に敗れて自壊していった末の死であり、彼の『限界』こそが人間の持つ『希望』なのかもしれないと思い、ここで筆を擱きます。この陰惨極まりない話にやっと『出口』が見えたことに安堵の息をもらしつつ…。

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Posted by ブクログ 2012年06月02日

新潮文庫で以前読んでから10年ぶりくらいの再読。

観念にとりつかれた人々の織りなす陰惨な悲劇。愛さえも、より大きな悲劇を引き起こすだけなんだけど、それでも観念と同時に愛にも取り付かれていた人たちの悲劇にはまだ救われる気持ちがする。
愛と縁がない登場人物たちの殺伐さたるや!

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Posted by ブクログ 2012年01月29日

難解だったが、2巻の途中から引き込まれてあっという間に読めた。先に読んだマンガも面白かったが、全体の描写はされていなく、原作は非常に深い。歴史的背景などを勉強すればもっと面白いだろう。

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Posted by ブクログ 2011年12月19日

待望の3巻を読む。1→2→3と進むにつれて深みが増す。堰が切れたように、死んでいく人々の描写が圧巻で、一気に読めた。ロシアの当時の世情に疎く、何が起こっているのか詳細はわからないのに、圧倒的に押し込まれる気持になった。

今年読んだ中でベストの本。解説などは、これから読むけれど素直にそう思う。

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Posted by ブクログ 2023年03月25日

俗悪と悲劇を結びつけるために多大な労力を要したであろう作品であり,構造を把握するだけでも複数回読まねばならないことは決まっている。その中で訳者による解説は心強い。

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Posted by ブクログ 2021年10月29日

最後の最後まで作品からの圧力が凄かった
滅茶苦茶だった あまりにも人が死にすぎた
昔のロシアでこんな物凄い作品が書かれていたことに驚いた

読者ガイドにもあるように、ヴェルホヴェンスキー氏は面白おかしく人間味あふれる人物だった
彼が出てくるシーンは何故かホッとしていた

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Posted by ブクログ 2021年04月29日

なんというか、圧倒されたまま終わってしまった。宮部みゆき作品を読んでいるような展開の圧力と速さと暗さ。雨で流量の増した川の流れに押し流されるような、抗っても耐えられない恐ろしさ。
いつの間にか忍び寄って、気づいたときにはもう後戻りできない。

いまでも、ごく一部ではあるが純化されて暴走する組織は存在...続きを読むしうる。そういうときにどうすればいいか。根本対処は自分ではどうしようもない気はするので、助けを求められるうちに求めないとと思う。

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Posted by ブクログ 2021年01月16日

内ゲバ殺人事件。終盤大量に人が死んでいく。ドミノ倒しのように。
第二部で登場するシガリョーフ理論(人類の十分の一は、個人の自由と、残りの十分の九に対する無限の権利を享受します。残りの十分の九の人間は個性を失い、家畜の群れのようなものに変わり、云々)が予言的でそら恐ろしい。

これで五大小説のうち、未...続きを読む成年を除く四作を読み終えた。カラマーゾフの次におもしろいのは、この悪量かな。

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Posted by ブクログ 2016年06月26日

『悪霊』というタイトルのくせに上巻のワルワーラ夫人の庇護の元生活しているヴェルホヴェンスキー氏の高等遊民みたいな話で「このおっさん、好き勝手に暮らしてんなー」と気楽な雰囲気がある。
ところが、下巻に進むにつれてヴェルホヴェンスキー氏は脇によけて不穏な動きが出てきて事件が起こし、ラストの方は悲惨。

...続きを読む「ルカの福音書」の引用にからめて、スタヴローギンを中心として(表面的にはピョートルだけど)悲劇に向かっていく展開の仕方、書き方は好み。

神(またはそれぐらいすごいもの)を信じるか、信じないかで全然違う。信じている人は平穏。信じてない人はなんで生きてるのか意味を見つけようとして苦しむ。そんな図式が古典文学にはよく見かける。

キリーロフの考え方も理解できない。だって、〜することで自分が神になるって⁉︎ うーん、大人なんですから妙な考え持たないで下さい…って思ってしまった。
自分自身でもやっぱり自信がなかったのか、揺らぎが見えてたけど。

日本では信仰を持たない人が多いので、自分を信じろ!という感じで、キリーロフとは全く違う。

それにしても、わかりにくい。
何回も何回もじっくり読まないと理解しがたいことだらけ。

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Posted by ブクログ 2016年02月14日

ステパンヴェルホベンスキーと、ニコライスタヴローギンの2人の主人公を親子として解釈する、亀山先生の解釈はとても面白い。

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ネタバレ

Posted by ブクログ 2015年12月30日

ラストシーン衝撃!ダンサーインザダークが浮かんできたわ。自分はキリーロフのように、自殺をするような観念は持ち合わせていないと言ったスタヴローギン。それでもこの最期を選んだというのは、理性によって選び取ったというよりも、まさしく悪霊に取り憑かれたためと言えるのかもしれない。
しかし人が死にまくる。その...続きを読む中でも一番さらっと書かれた死、シャートフの奥さんと赤ちゃんの病死が一番堪えた。やはりわたしは死ねない。

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Posted by ブクログ 2013年12月05日

さっぱりわけがわからない、というのが正直なところ。
「わけがわからない」というのも何がわからないのかわからないみたいな、もうかなりぐちゃぐちゃにわからない。

僕はよく作品をとおして作者の性格や考えてることを想像してしまう。あまりいい癖じゃないかもしれない。ドストエフスキーは過去に何作か読んだことが...続きを読むあるから顔見知りぐらいにはわかるつもりだった。だけどこの本からは作者ってものがまったく想像できない。予想できない。何考えてこんなもの書いたんだ? いやもうさっぱりわからん。

ひたすら企みと悪意が描かれる。「同志仲間で」の混乱や、カルマジーノフの朗読みたいな、戯画化され誇張された滑稽さにカタルシスを感じる。作者自身が、「あーもうバカバカしい!」と言わんばかりにこれら登場人物に仕返しをしているような、何かそういった破壊的なものを感じる。

とりたてて誰かに感情移入できるってことはない…ロシアの当時の情勢に明るいわけでもないし、登場人物の思想はどれも極限まで突っ走っているように思えるから。ピョートルにいたっては全然わからん。小説的にあれだけ重要な役回りにも関わらず……たぶん人間じゃないんだろう。

印象に残ったところをかいつまんで…と思ったけどそれも案外難しい。どうなってるんだ。小説すべてが仄めかしのように思えて快いことなんてほとんどないし全体に暗い色調に沈んだみたいなのに、それこそ憑りつかれたように読んだし、そうせざるを得なかった。いつまでもこの小説に憑りつかれていたくはなかったから。

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Posted by ブクログ 2012年11月22日

スタヴローギンはブラックホールのような虚無であり、そこに何か自分好みの意味を見出してしまう周りの人々、という受け取り方もできるのかな。そしてその虚無は悪霊のように人々の中に入り込み湖に飛び込ませてしまう。もっと噛みしめるようにもう一度読みたい。

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ネタバレ

Posted by ブクログ 2023年04月29日

そもそもこの本を読み始めたきっかけは『ゴールデンカムイ』のキャラクター・尾形の死だ。彼が毒で朦朧として、過去の自分との対話する形で気づきがあり自殺する描写が本書・『悪霊』のようだというから読んだ。読んだけど、その要素は2巻の描写かなあ?3巻にはそれっぽいところは見受けられなかった。
というかこの本、...続きを読むかなり読みにくいと思うのだけど、尾形とドストエフスキーを結びつけられる人(或いはそれに納得できる人)がSNSでかなり多くいるらしくて吃驚している。

ストーリーは今までの3冊の中で1番面白い。
お喋りで倫理観なさそうだな、と思っていたピョートルが殺人まで躊躇しないのには驚いた。酷い理屈でばんばん殺っていく。ドストエフスキーはもう面倒になってキャラクターを次々片付けていったのか?とも思ったほどだ。

ヴェルホヴェンスキーは世間ズレし過ぎていて、ずっとこいつはなんなんだ?と思っていた。聖書売りの女との会話では意識が飛び飛びみたいな描写が不穏だったし。ただ、彼を探しに来たワルワーラ夫人の剣幕は凄かったし、聖書売りの女もあったばかりで支離滅裂な彼の世話をずいぶん焼いているのを見ると、女性が放っておけないタイプの人物なのだろうとは思う。

読書ガイドやあとがきも読んだけど、どうも何が言いたいのか解りかねてしっくりこなかった。

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