ドストエフスキーのレビュー一覧

  • 悪霊 3

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    ステパンヴェルホベンスキーと、ニコライスタヴローギンの2人の主人公を親子として解釈する、亀山先生の解釈はとても面白い。

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    2016年02月14日
  • 悪霊 3

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    ネタバレ

    ラストシーン衝撃!ダンサーインザダークが浮かんできたわ。自分はキリーロフのように、自殺をするような観念は持ち合わせていないと言ったスタヴローギン。それでもこの最期を選んだというのは、理性によって選び取ったというよりも、まさしく悪霊に取り憑かれたためと言えるのかもしれない。
    しかし人が死にまくる。その中でも一番さらっと書かれた死、シャートフの奥さんと赤ちゃんの病死が一番堪えた。やはりわたしは死ねない。

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    2015年12月30日
  • 罪と罰 上

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    タイトルの時点で敬遠していたのに、驚くほど読みやすい。小難しそうだと苦手意識を持たず一度読んでみて欲しい。
    ちなみに同作者の「白痴」は最後まで読み進められる気がしない

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    2016年01月15日
  • 白夜/おかしな人間の夢

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    面白かったです。特に表題の『おかしな人間の夢』と『メモ』は、ドストエフスキーの作品を理解するために役に立つと思い、学生時代にやったみたいにメモをとりながら丁寧に読みました。『罪と罰』のラストを彷彿とさせる、とても奇妙な、そしてなにか真理を含んでいるように思わされる夢。大胆なキリスト教的信仰告白。彼の作中人物たちが、苦しみにのたうちまわり、傷付いて血を流し、発狂し、殺し殺され首を括りピストル自殺をし、あらゆる痛みを与えられながらも、ほんの数人がようやっと掴んだなにものかを、言葉にするとこうなるのでしょうか? いえ、結論を出すにはまだ早いと思います。これだけが答えではない、むしろこれは彼の思想の一

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    2015年11月23日
  • 虐げられた人びと

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    面白かったです。特に最後にナターシャが父親に許される場面がとても好き。ネリーのあまりにも救いのない悲惨な物語と、妻の怒りと、それまでの父と娘の苦しみ…これらから生まれた、必然的で無理のない、人間心理に即した許しだったと思います。
    頑なさがなにを生むというのでしょう? 残酷さばかりが蔓延るこの世界で、どうしてわざわざ人間同士が傷付け合わなければならないのでしょうか? 我々人間は皆それぞれに必ず苦しんでいるというのに。泥と血に塗れ、胸に剣を刺され、折れて思う通りに動かない脚で、それでもどうにか立っているのは、言葉と心を持つ仲間同士が互いに支え合っているからではないのか…。娘を呪い、許しを与えぬまま

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    2015年11月23日
  • やさしい女・白夜

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    えげつない、遊川和彦さんのドラマ(「家政婦のミタ」「〇〇妻」)みたいな、崩壊夫婦の葛藤と、死の物語。
    大爆笑の失恋ドラマのような、19世紀最高の振られっぷり、と言いたくなるボーイ・ミーツ・ガール。

    ドストエフスキーさん、敬遠するのはホントに勿体ないですねえ。


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    ドストエフスキーさんというと、矢張り、「罪と罰」「白痴」「悪霊」「カラマーゾフの兄弟」の四大長編になります。
    (茫漠たる昔に読んだ記憶で言うと、読み易いのは「罪と罰」だと思いますが)
    なんだけど、「貧しき人々」も「虐げられた人々」も「地下室の手記」も面白かった。ほかも読んでみたいな、と思っていたところで

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    2015年11月11日
  • 地下室の手記

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    とても他人事とは思えない、悲惨な物語でした。今この瞬間、一体どれほど多くの地下室の住人が、日本はもちろん世界中に存在するのでしょうか? 推測するに、インターネットの世界で見かける、異常に自己顕示欲が強くて無意味に悪意を振り撒く人々や、突然無関係の他人に襲い掛かるタイプの犯罪者達等は、この地下室の住人にあたるのではないかと思います。プライドだけは高いのに、現実には何事もできず、疎外され、嘲笑を浴び、傷付き果てて、対象のはっきりしない憎しみを抱いており、なんでもいいから復讐をしたい、恨みを晴らしたい、と思っている…。彼らのような人々は、一体どうすれば救われるのでしょう? 確かに、傲慢という点で彼ら

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    2015年03月13日
  • 地下室の手記

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    ネタバレ

     今の気分になんてピッタリな小説なんでしょう。主人公は自意識過剰な引きこもり。今は中年なんだけど、若い頃の恥ずかしい話を敢えて手記に書いてみたりして。その気持わかるわかる、虚勢を張ってみたりオドオドしたり。いろいろと空回りして結局、<生きた生活>をするより、地下室にじっとして<平穏無事>でいるほうがいいんだってなる。
     なんか、共感しすぎて恥ずかしいくらいでしたね。
     そんなにズバズバと思ってること文章化されると、私も同じなんで恥ずかしいんですけど、と……。

     最近、ドストエフスキーを読む若い人が増えているらしいけど、この本は今の時代に合うと思う。新訳のせいもあるだろうけれど、読みやすい。ロ

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    2015年03月17日
  • 賭博者

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    2015/01/05

    ドストエフスキーはこの作品をわずか27日間の間に口述筆記で書き終えている。

    ルーレットに取り憑かれた病的な青年の絶望的な恋が悲しい。
    ドストエフスキーの経験が大きく影響しており、後半の展開は熱中させられた。

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    2015年01月06日
  • カラマーゾフの兄弟(下)

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    好色で吝嗇、品性下劣なフョードル・カラマーゾフの下に生まれた3人の兄弟――激情的で心の弱いドミトーリイ(ミーチャ)、賢く冷笑的なイワン、純朴で信仰深いアリョーシャ。物語は、信仰の意味をめぐる問い――神がなければ、すべてが許され、人は何事をもなしうるのか?――を背景におきながら、ひとりの女性と金をめぐる父と子の対立から、殺人事件の発生と裁判劇に展開していく。
    キリスト教が維持してきた規律を否定してしまったとき、社会はどうなるのか、人間の良心は耐えられるのか、とは、現代のわれわれから見ると、あまりに大上段すぎて的外れな問いに思えるけれど、当時の大変動の中にあったロシア社会においては深刻な問題だった

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    2024年07月13日
  • 賭博者

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    能動的に仕掛けているようで、実はほとんど運任せという受動的な遊び
    それがギャンブルだ

    お金とは、人間にとって社会的な生命とも呼べる重要なものだが
    ギャンブルという「大人のお遊び」においては
    この、お金というものを、おもちゃとしてあつかってしまう
    お金を賭けたが最後
    否応なく生と死のグレーゾーンに直面させられるのだ
    だがしかし、それは勝負が決するまでのほんの一瞬において
    彼がすべての社会的責任を放棄できるということでもある
    つまり、幼児に返るということだ
    こう考えると、ギャンブルはまさに「享楽」と呼ぶにふさわしい遊びである

    一方、ギャンブルを「信仰」と解釈することもできるだろう
    なにしろ、信

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    2014年08月11日
  • 賭博者

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    ネタバレ

    バクチって怖いよね、と雑に一言で終わらせてしまってもいいかもしれん。賭け事に嵌ってしまい、ズルズルと破滅していく登場人物の心の動き方、周囲の人との関わり方が克明に表現されています。一方、描写そのものはくどくもなく、ダレる感じもないのであっさり読み進めていける感じです。

    中盤から登場する、ある人物がルーレットで凋落していく様子は、「きっとこういう人が当時は間違いなくいたんだろうな」という感じで、シニカルであると同時に戦慄すら覚えます。

    ドストエフスキーの他の作品はあまり読書経験がないのですが、恐らく読みやすい部類に入るのではないかと。それほど厚くもないですし。
    一部は著者自身の経験にも基づい

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    2014年07月30日
  • 地下室の手記

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    実に、実に久しぶりのドストエフスキーさん。
    「罪と罰」「悪霊」「白痴」「貧しき人々」「虐げられた人々」「カラマーゾフの兄弟」。
    以上の作品を新潮文庫で読んだのは、中学生か高校生のとき。もう25年くらい前のお話です。
    そのときのことを正直に述べると、「良く判らん。でも、時折、恐ろしく面白い。そして、読み終わった時に、面白かった!と思った」。

    それからずいぶん時間が経って。19世紀ロシアの事情とか、キリスト教、ロシア正教的なこととか、ロシアの貴族階級、社会制度のこととか。
    そういうことが判らないと、ホントに隅から隅まで楽しめる訳がないんだな、と。
    なんだけど、そういうのを差し引いても面白いから、

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    2014年06月30日
  • 罪と罰 1巻

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    これは原作ドストエフスキーという時点で笑いがこみあげてくる程、罪と罰の原形をとどめていない。平たく言えば漫☆画太郎の作品ですね。なのに解説は結構真面目……そこがまた笑いを誘う。

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    2014年04月04日
  • 貧しき人々

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    この世界で貧しいことの一番の辛さは、自分の価値までもを経済の中に入れて勘定せざるを得ないことだ。フリルが何だ!と言いながらフリルを買えない自分を呪う。彼女のことをよく知っていながら、フリルのために嫁にいってしまうのだと感じる。そして実際彼女はフリルのために、ではないにせよほとんどお金のために嫁いでしまう。でも、それでどうして彼女を責められよう?お金がなければ生きていけないのだ。

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    2014年02月19日
  • 悪霊 1

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    「悪霊」は実は装飾本で部屋に一冊あるのだけれど、結局手軽に手にとれる光文社のものに手を伸ばす。ドストエフスキーを読むのは久々だけれど、一巻から徐々に感覚を思い出す。年始は悪霊の序盤を少しずつ読んだ。これから3月ぐらいまでの間、しばらくドストエフスキーの世界に浸りたい。

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    2014年01月13日
  • 悪霊 3

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    さっぱりわけがわからない、というのが正直なところ。
    「わけがわからない」というのも何がわからないのかわからないみたいな、もうかなりぐちゃぐちゃにわからない。

    僕はよく作品をとおして作者の性格や考えてることを想像してしまう。あまりいい癖じゃないかもしれない。ドストエフスキーは過去に何作か読んだことがあるから顔見知りぐらいにはわかるつもりだった。だけどこの本からは作者ってものがまったく想像できない。予想できない。何考えてこんなもの書いたんだ? いやもうさっぱりわからん。

    ひたすら企みと悪意が描かれる。「同志仲間で」の混乱や、カルマジーノフの朗読みたいな、戯画化され誇張された滑稽さにカタルシスを

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    2013年12月05日
  • 賭博者

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    著者自身が南ドイツのヴィースバーデンに滞在していた頃の経験を元に、ロシア人特有の気質ゆえにルーレットで身を滅ぼしていく人々を描いた一冊。
    序盤で出てくる、誠実な勤労によるドイツ式蓄財法とロシア式の無謀な博打の対比が良い。
    ドストエフスキー『賭博者』の中で一番の名文だと感じた箇所をまるごと引用↓

    ...
    「しかし、僕の考えだと、ルーレットというのはもっぱらロシア人のために作られたものですよ」とわたしは言い、わたしのこの感想にフランス人が蔑むような薄笑いをうかべたので、そりゃもちろんわたしの言うことが正しい、なぜならロシア人が博打好きだとわたしが言うのは、ロシア人を賞めると言うより、むしろけなし

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    2013年10月20日
  • 地下室の手記

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    僕が初めて『地下室の手記』に触れたのはこのヴァージョンでした。内容については亀山郁夫教授が訳したヴァージョンでさんざやったのであまり触れませんが、ここではエッセイ風に書いていることをご了承下さい。




    僕が初めてドストエフスキーの『地下室の手記』をすべて読んだのがこのヴァージョンで、記録によると2009年のころになるそうです。内容や解説については先日書いた亀山訳のほうでやってしまったので、こちらではそのかかわりとをつれづれに書いていこうかなと、そんなことを考えております。

    そもそも、この存在を知ったのは中学生のとき読んだ太宰治の『人間失格』の末尾に収録されている解説で、引き合いに出されて

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    2013年10月07日
  • 地下室の手記

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    冒頭のとっつきにくさから想像できなかった、切ないラスト。
    あまりに自身の行動と気持ちの負の部分を突き詰めて考えているので、よく考えるなーと、嘲笑すらしてしまう。けれど、私自身を振り返った時、共感できる部分が多々あることに気がついた。
    普段感じているが、言葉にすることのできない人の心の汚い部分を、はっきりと文章にして綴ってあり、ドストエフスキーの凄さを知った。

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    2013年09月12日