ドストエフスキーのレビュー一覧

  • 罪と罰 下

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    本書の魅力は、登場人物がそれぞれ強烈な特徴を持っていることです。

    特にラスコーリニコフは、自らの考えを正しいと信じ、最後まで変わることがありません。自首し投獄される中でも道徳的な罪というものを認めることができずに葛藤します。自分を非凡な人間だと信じる自尊心が強く、高慢で不信心な若者が、人を殺めたときにどう感じるのか、生生しい苦悩の描写に引き込まれました。

    ラスコーリニコフがソーニャを罪人だと責める理由が最初分かりませんでした。ソーニャが自分の人生を生きないから、つまり偉大な人生を貪欲に求める彼の思想と正反対だからだと読み終わった後に思いました。

    エピローグの結末は個人的に好きです。

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    2018年03月18日
  • 罪と罰 中

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    ネタバレ

    FeBeで聴書

    主人公の心の動きを整理してみました。
    家族の訪問にて家族との再会に喜ぶも同時に拒絶する。
    ソーニャの訪問にてソーニャに惹かれる。
    ポルフィーリーのもとへ時計を取り返しに行くと称して偵察に行く。ラズミーヒンを騙す狡猾さが見られる。
    スビトリガイロフの訪問に驚く、幽霊の話に自分の経験と重なりあっけにとられる。
    ルージンと妹の縁談の破談。家族と絶縁する。罪人としての意識と決心が読み取れる。
    ソーニャに会いに行く。彼女を自分と同じ罪人とし、一緒にいるべきだと考える。
    警察署にてポルフィーリーと面会する。自白に行くのかと思いきや、ポルフィーリー見抜かれないように振る舞う。手の内を暴こう

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    2018年03月18日
  • 罪と罰 上

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    ネタバレ

    FeBeで聴書

    主人公の心の動きを整理してみました。
    ある計画が頭に浮かんでいるが、現実味がなく感じている。
    マルメラードフとの出会い。自分の惨めな境遇と重なって、彼に共感する。人間どこかに居場所がなくっちゃいけない。
    母からの手紙。彼の人柄が分かる。妹想いの兄であること。事の一切を見抜く鋭い利口さがある。ひねくれている。
    衝動的に行った外出。偶然に絶好の機会が訪れ、計画の実行を決心する。
    計画の決行。精細さを欠いた、行き当たりばったりの行動から決心しつつも、自分の中で受け入れられていないことが分かる。そして、自らが事を起こす前に想像していたにも関わらず、気が動転しこらえきれなくなる。
    その

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    2018年02月15日
  • 悪霊(下)

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    ちょっと前に「白痴」も読んだが、ドストエフスキーって長編作家として欠点有り過ぎだと思う。
    海堂尊さんは同日に同時並行に起こる事件をデビュー作として書いたが、編集者の助言で「チームバチスタ」「ナイチンゲール」の2作に書き直したという。僕が編集者だったら、この作品をステバン氏、ピョートル、ニコライが主人公の3作に書き直させるな。

    終盤のステバン氏の再登場。ロシアの大衆を愛すると云いつつ、世間知らずで、まったく大衆を知らない。知と美に殉じ、変な拘りで自分を追い込んでいく。しかし、ドストエフスキーは愛情をもって、このピエロ的人物を描いている。

    その息子、ピョートルは頭に穴が開いたよう軽薄な人間。そ

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    2018年01月08日
  • 未成年(下)

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    ドストエフスキーの本は一度読んだだけでは理解が完全ではないと言われてますが、この本は苦戦しました。
    まず、登場人物が多い!
    これから読む方は書き出しながら読むのをお勧めします。

    内容としては、とにかくごちゃごちゃしています。
    というのもヴェルシーロフが何人もの女性を抱えるのは今で言う「ゲス不倫じゃないか!」とも言えますが、調べてみるとこの頃のロシアは離婚という法律がなく、一度結婚したらずっと離婚をせず、ヴェルシーロフのようにカテリーナに結婚を申し込むような二重三重結婚はよくあることだそうで、日本人の感覚で言うとちょっと信じられないから余計に混乱してしまう理由の一つでもあると思います。

    一番

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    2017年08月29日
  • 賭博者

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    ギャンブルの描写が、
    ギャンブルを知っているからこそ書けるというものでした。
    主人公が後半に大勝負するところも含めて、
    ギャンブルにはいろいろな面があり、
    いろいろな局面をつくり、
    いろいろと作用することがよく描かれていると思った。
    そして、その魔性についても。

    このギャンブルの描写はちょうど良い距離感なんでしょうね。
    もっと深く、微に入り細を穿って描けそうな気もするのだけれど、
    そうなると個人的すぎて、
    ギャンブルとしてはひとつの断片的性格が強くなりそう。
    『賭博者』の極端なギャンブルの例たちが合わさって、
    ひとつの全体性みたいなものが感じられるようになっている。
    ギャンブルそのものについ

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    2017年08月16日
  • 罪と罰 上

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    とにかく主人公には共感できないが、若い時に読んだら感想は相当違いそうでもある。やはりドストエフスキーは若い時に読んでおくべきだと実感。
    バフチンの「ポリフォニー」という表現の仕方がこの『罪と罰』を読むまで全然腑に落ちなかったのだが、確かにこの本では登場人物それぞれが強烈な主張をしつつも、それが何か作者の意見を目指すための主従関係には置かれておらず、そのまま対置されたままになっている感が強い。バフチンが『罪と罰』だけをことさらに重視していたという記憶はないが、とてもドストエフスキーらしさにあふれた作品なのだということなんだろうな。

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    2017年07月21日
  • 罪と罰 上

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    難解な小説の代名詞として語られることが多い本作だが、思ったよりもエンターテイメント成分が多く読みやすかった。後半の畳み掛けるような展開は圧巻。

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    2017年06月04日
  • 賭博者

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    お祖母ちゃんが登場してからの展開のジェットコースター感たるや。僕は頭に血が上りやすいタイプなので、ドストのほかの作品を読んでも登場人物に共感することが多いのだが、この本はまさに賭け事にハマった自分のシミュレーションに他ならないなと感じた。パチンコにだけは手を出すまい。自らの誠実な気持ちのすべてを、賭博室へ向かうための言い訳にすり替えてしまう描写がリアルで恐ろしい。

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    2017年04月07日
  • 悪霊(上)

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    『白痴』が俗世に現れた天使が主人公ならこれは俗世に現れた悪魔が主人公なんだけど、その対極を本心から心理描写できるのが凄い著者だなぁと思う。神あるいはそれに近い、人間よりも偉大な概念が無くなった時代には善も悪の概念もない、そうだろうなぁと漠然と思った。

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    2017年02月17日
  • 未成年(上)

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    まず五大長編を読破して安堵…主人公のアルカージイが同い年で若さの権化で恥ずかしくてしょうがないけど等身大の共感があって今読めてほんとに良かった、真に人間的で人道的で善良な大人になりたい、そんな若者を導くドストエフスキーからのメッセージがたくさんあるんだろう

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    2017年02月17日
  • 罪と罰 下

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    とても面白く読めた。ラストは感動した。現代日本にはこの物語の主人公のような利己主義の塊みたいな人が多いと感じる。作者の”信仰”という結論に納得行かない人は多いだろうが、現代でも一読の価値があると思う。

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    2016年12月06日
  • 罪と罰 上

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    上巻はあまり思想的・哲学的なテーマは出てこない。終盤でようやく主だった登場人物が出揃って「さあ、これから」というところで切れる感じだ。下巻が非常に楽しみである。

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    2016年10月25日
  • 罪と罰 中

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    いよいよ物語は揺れ動く中間地点。
    ラスコーニコフの揺れ動く感情。しっかりと読めているとは相変わらず言い切れないが、その流れになんとなく身を任せていくと流れる感情というか、その揺れに惑わられ、時に焦り…最後ここはどこに落ち着いていくのか。最終巻の読みどころである。理解していないことを露呈する支離滅裂なレビュー…

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    2016年10月17日
  • 悪霊 3

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    『悪霊』というタイトルのくせに上巻のワルワーラ夫人の庇護の元生活しているヴェルホヴェンスキー氏の高等遊民みたいな話で「このおっさん、好き勝手に暮らしてんなー」と気楽な雰囲気がある。
    ところが、下巻に進むにつれてヴェルホヴェンスキー氏は脇によけて不穏な動きが出てきて事件が起こし、ラストの方は悲惨。

    「ルカの福音書」の引用にからめて、スタヴローギンを中心として(表面的にはピョートルだけど)悲劇に向かっていく展開の仕方、書き方は好み。

    神(またはそれぐらいすごいもの)を信じるか、信じないかで全然違う。信じている人は平穏。信じてない人はなんで生きてるのか意味を見つけようとして苦しむ。そんな図式が古

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    2016年06月26日
  • 罪と罰 中

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    上巻で金目当てで質屋の老婆を斧で殺害したラスコーリニコフ。中巻ではその罪の認識と葛藤しながら、物語が進む。
    ようやく意味が分かり始めて来たが、物語の背景に流れているのは終始陰鬱・狂気・葛藤…であり決して楽しい読書ではないが、人間の根っこの部分はそんなものなのかもしれないとも考えさせられてしまう。下巻に続く。

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    2016年04月28日
  • 罪と罰 上

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    まだ上巻なので仮で★4つ。
    貧乏青年が金目当てで質屋の老婆を斧で殺害し、その後自責の念からか、精神的に追い詰められ、幻覚、幻聴が現れる。
    終始暗い背景のもと物語が進む。中巻につづく。

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    2016年04月03日
  • 悪霊 2

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    スタヴローキンの抱えている秘密が明らかになり、
    ピョートルが走り回って物語は大きく動き出す。
    そして何も起こらないわけがない3巻へと続く。

    巻末の解説がないともやもやしたまま終わりそうかも。
    主要人物以外が誰だったっけという感じなる。

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    2016年02月20日
  • 悪霊(下)

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    備忘まで感じたこと、気付いたこと。1.悪霊の書かれた時代の人々が、この時こそ世紀末的な時代であり、我々はその中で生きていると感じていること。これは著者のドストエフスキーも時代の世紀末性を感じていたに違いない。どの時代も世紀末であるという意識なく、人は生きられないのではないか。2.皆の恐れる悪とは蓋を開ければ陳腐なものであるということ、3.物事は如何ともし難く、コントロールできなくなる瞬間が訪れるということ。これは全くの気紛れで、何が導火線となり何処まで広がるのか誰にも予想ができないものである。

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    2016年02月20日
  • 悪霊(下)

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    間延びした前半と比べて、後編の緊密性。
    ニコライは最後まで自分には理解できなかった。
    ピュートルは予想の範囲に収まる感じ。
    スティバン先生の最期の下りは良かった。

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    2016年02月19日