あらすじ
目の前にとつぜん現れた愛する母と妹。ラスコーリニコフは再会の喜びを味わう余裕もなく、奈落の底に突きおとされる。おりしも、敏腕の予審判事ポルフィーリーのもとに出向くことになった彼は、そこで、背筋の凍るような恐怖を味わわされる。すでに戦いは始まっていた! 予審判事との駆け引きで明かされるラスコーリニコフの「殺人思想」とは? 犯罪小説の雄、戦慄の第二巻。
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引き続きドストエフスキーの『罪と罰』にどハマりしながら、その世界の中に没入しております。
1巻目の時に書いた「ロシア名は覚えにくい」は撤回。その特殊性により逆に覚えやすく感じるようになりました。そしてその名を持つ者がどのような人物なのかがより鮮明に頭の中で結び付くようになってきた。
第3部、第4部に進むにつれ読み取らなくてはならないことが多種多様になり、人の心の動き、表と裏、表象しているもの…複雑に絡まり合ってくるけれど、そこがとくに素晴らしい。
世界一の小説に敬服する。
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来ました!すごい衝撃!
後頭部をガンガン殴られる感覚!
人間が誰でもなにかしらの罪を負っていること(自覚がある無しに関わらず)を論理的に緻密に描いている。そして、復活のお話。
カペルナウーモフの部屋、ラスコーリニコフ、聖書、女。どこにでもあって例外では無い。
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殺人の動機が徐々に明されていく第2巻。ラスコーリニコフが語るその主たる動機の根拠となる思想は、先般ウクライナを侵略したロシアの大統領も、同様に持っているのではなかろうか。
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母と妹の登場、予審判事や妹の婚約者との対決、そして明らかになっていく犯罪の理由。福音書が彼に寄り添う。
加速感のある第3部と第4部を収録。追い詰められていくラスコーリニコフ。愛する母と妹に再会しても喜ぶ余裕もない彼の横で展開する家族ドラマ。超絶美人な妹の、傲慢な婚約者やストーカーとのすったもんだ、親友ラズミーヒンの人物像など、人間描写が魅力的で引き込まれる。
いっぽうで事件の方も進行しており、予審判事ポルフィーリーとのやり取りでラスコーリニコフの選民思想が明かされる。『非凡人』には犯罪の権利がある――良心にしたがった殺人を許容する、という結論は極端だとしても、命の価値を判断する=軽い命がある、という考えには現代においても答えが出ない人が多いのではないか。
ソーニャと聖書のエピソードが胸にくるものの、難解でもあり今ひとつ理解がおぼつかない。彼女の境遇が絶望的すぎてひいた。これを冷静に見きっているラスコーリニコフすげえ。「きみにひざまずいたんじゃない、人間のすべての苦しみにひざまずいたんだ」という言葉が心に残る。
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3回目なのにすっかり忘れているから、やっぱりおもしろいなあと読み進む。
忘れるからと、第1部と第2部はあらすじを追って書き出したが、何のことはない『罪と罰 2』巻末の「読書ガイド」に、翻訳者の亀山先生が第1部と第2部のあらすじを完璧にまとめてくださっていたのだ。第3部と第4部は最後の『罪と罰 3』の巻末にあった(それも忘れていて)。
この文庫本がある限り、そこを見ればよい、ということで、ここからはラクをしよう。
第3部の感想
もうろうとして母と妹に再開し、妹ドゥーニャの犠牲的婚約の話が面白くないラスコーリニコフなんだけど、自分の罪にもおびえて複雑。そりゃそうだ。でも、妹アヴドーチャ(ドゥーニャ)がすごい美人で、だから家庭教師先でも追いかけられ、お金目当てで婚約したルージンにも執着されるのだが、嫌気がさして彼を振りそうな時に、ラスコーリニコフを献身的に看護してくれた人のいい友人ラズミーヒンとも速攻、恋に落ちるとは…、都合よすぎ。しかしそこがまた面白くさせ、うまいのかもね。
ラスコーリニコフはちょっと変人。殺人を疑われていると知りながら、予審判事ポルフィリーや警察官にちょっかいを出すのだもの。幽霊や悪夢を見てしまうのも当然。過去雑誌に「犯罪の研究」の文章を発表していたのをバレるなぞ、SNS時代じゃないのに、わかってしまうのは昔の斬新なリアルかな。
第4部の感想
スヴィドリガイロフがラスコーリニコフの前に登場。妹ドゥーニャを子供の家庭教師なのに追いかけて困らせた張本人。この人もおかしな人、不思議なことを言う人で物語を複雑にしている。
登場人物多数なのに皆がみな、個性的で饒舌で、長い長いセリフ。策士策に溺れる、じゃなくて小説家小説に溺れて、読者読みに溺れるというところ。
妹ドゥーニャのしみったれ婚約者ルージンをみんなでやっつけるところは痛快。しかし予審判事ポルフィリーとの息詰まるやり取りは真に迫ってすごい。ソーニャとの邂逅は唐突感を抱くのだけど。
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1を読んだときもそうだったが、物語の流れはわかっても、登場人物の心境や意図はガイドがないと自分にはまだ難易度高いなと思う。だけど色んな人が出てきてたくさん展開があっておもしろいとは感じるし、当時の農奴解放や貧困、"生きる"だけの日々はひしひしと伝わってくる。
頭が冴えている朝読書におすすめの本。
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1巻(第2部7)初登場で「かなり美しいブロンド娘で、青い目がとくにすばらしかった」と描写されたソーニャが、2巻(第3部4)の再登場では「美人とはとても呼べない顔だちだったが」となっている。同室にドゥーニャがいたので、格を下げたのだろうか。
新潮文庫版では第3部6、スヴィドリガイロフとの初対面で上巻を終えている。絶妙の引き。続きが読みたくならない者はいない。
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ついにスベが出てきた!何この人!!怪しすぎるし、1人だけホラー小説のキャラのよう。ラスコとの掛け合いもおもしろい。
ドゥーニャがルージンをばっさり言うシーンが大好き。ドゥーニャ、もっといろんなことをばっさり斬ってくれ。ご意見版番になってくれ…
こんなにおもしろいものをなんで今まで読まなかったんだろう。ドストすごすぎ!
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2巻は母と妹が上京(ではないのか)してくるところからスタート。私のイチオシラズミーヒン大活躍。そして妹の婚約者ルージンの小物感もすごい(笑)今でいうモラ夫だよな。
ポルフィーリーがラスコーリニコフの論文の話をするところは手に汗握る展開!うぉぉぉっ!ってなった(笑)やっとここでラスコーリニコフがなにを考え殺害に至ったかがわかる。そう言うことかぁ。
後半は私のもう一人の推しキャラであるスヴィドリガイロフ(名前が長い!)が登場。会話が成立していない感じが好き。ソーニャと聖書の朗読シーンは聖書がイマイチわかんないからアレだったけど、ラストのポルフィーリーとの対決は面白かった!
いやぁ、盛り上がり場面が多くてページをめくる手が止まらん。わくわくしながら3巻へ。
Posted by ブクログ
いよいよ、本巻ではラスコーリニコフが追い詰められていきます。本巻でのメインイベントは妹アヴドーチヤの婚約者である成金弁護士のルージンとの対決、ラスコーリニコフと娼婦のソーニャの密会、そしてラスコーリニコフと予審判事ポルフィーリィーとの2度の対決と盛り沢山。
まずは、ルージンですね。彼の人間性自体が今の時代ならセクハラ(笑)。大きく歳の離れたアヴドーチヤに対しての彼の歪んだ愛情(これは愛情と呼ぶよりも所有欲と言ってしまった方が近いかもしれない)が描かれます。
そのルージンの「愛情」とは、『金銭的に不自由している若くて美しく、それでいて不幸な女性に対して、自分と結婚することにより、大金と弁護士の妻という地位を与え、未来永劫、自分に対して神のごとき忠誠を誓わせる』ということに無情の喜びを感じるということです。あまりの成金趣味で男の風上にも置けません。
でも、こういう男って今でもいますよね。奥さんや恋人の人格を無視し、ただ単に「弱き存在」として認識、それを自分の庇護の元に置いてやっているということで自分の自尊心を満足させている男が。しかもそれが絶対的に正しい「愛」なのだと勘違いしている。
もしかしたら大昔はそうだったのかもしれません。でも、約150年前のロシアにおいてすら、このルージンがひどく滑稽な男として描かれているのですから、そこはちゃんと理解しなければいけませんよね。それがどのくらいかっこ悪いことかってことを。
次は、ラスコーリニコフとソーニャとの密会の場面。ソーニャとの密会は、これは非常に精神的でキリスト教的なものがあります。
ラスコーリニコフは純粋無垢な美少女ソーニャが家族を守る為に娼婦に身をやつしていることに対して心を痛めるとともに、変な意味で「仲間」と認識しています。
つまり、ラスコーリニコフは殺人を犯した「罪人」であり、ソーニャも娼婦という職業についている「罪人」であると。そして、無理矢理ソーニャに聖書の一節「ラザロの復活」の章を朗読させます。
このラスコーリニコフの自己本位の考え方は、ちょっと気持ち悪い。
ソーニャもラスコーリニコフのことを「この人、ちょっとキモッ」ってたぶん思っていると思います(当然、そのような描写は本文中にはないです←)。
もし、現代社会の日本でこんなことを突然言ってくる男がいたら、いかに恩人とはいえ
「いきなり聖書読めとか、あんた何なの?バカなの?死ぬの?」
と言われて蹴り出されるのは間違いないと思いますが、我らがソーニャさんはそんなことはしません。涙ながらに美しい声で聖書を朗読します。
その美しい声を聞いたラスコーリニコフは「いずれ、あなたに金貸しの老婆の妹リザヴェータを殺した犯人を教える」と言い残して立ち去ってしまいます。もう、ラスコーリニコフはかなり参ってますね。
キリスト教徒でない人にとってはあまりピンときませんが、この「ラザロの復活の奇跡」とは何かを調べてみると「キリストの友人であるラザロが死に、四日後にキリストがラザロの埋葬されている墓に呼びかけるとラザロが生き返ってきた」という話です。
この話の解釈はいろいろあるようですが、人類全体の罪(ラザロの死)をキリストが贖罪し、生に立ち返らせること(ラザロの復活)の予兆として解釈されているということが主だったもののようです。つまり、ラスコーリニコフはここで「罪を償い、もう一度人生をやりなおしたい」と考えているのだとも言えます。
そして本巻のクライマックスである予審判事ポルフィーリィーとの戦い。
最初の戦いでは、予審判事からラスコーリニコフが以前に書いた犯罪論文について追求されます。ここにかの有名な理論
『選ばれた非凡人は、新たな世の中の成長のためなら、社会道徳を踏み外す権利を持つ』
が書かれているのですね。ラスコーリニコフは予審判事から『非凡人』とは誰であるかという問いについて、「ナポレオンのような英雄」であると答えるんですけど、最後に予審判事からこう言われるんですね。
「あなたは自分のことを非凡人だと思っているのですか」と。
ラスコーリニコフはここで当然はっきり「そうだ」とは言いません。しかし、そこは「それはおおいにありえますね」と言ってしまいます。
『この期に及んでラスコーリニコフ、プライド高過ぎ!』と僕は心の中で、壮絶に突っ込みを入れてしまいます。
自分が凡人であるとは認めたくない。しかし、非凡人であると言えば「殺人を肯定している」、ひいては自分が犯行を犯したことを暗に認めてしまうことになる。このやりとりでポルフィーリィーのラスコーリニコフに対する心証はかなり悪化します。
そして二度目の戦いでは、ポルフィーリィーの刑事コロンボばりセリフ・ラッシュに思わず、ラスコーリニコフがギブアップするか!と思いきや、そこに「自分が殺りました!」と当時殺人現場の同じ建物でペンキ塗りの作業をしていたミコライが突然乱入!
この訳分からんミコライの乱入によりポルフィーリィーとラスコーリニコフの対決は最終ラウンドに持ち越されることになるのです。
ちなみに、刑事コロンボのモデルはこの予審判事ポルフィーリィーなんですね。見た目は冴えないけど、推論や心理テクニックを駆使して犯人を追い詰めていく姿は確かにコロンボと同じです。そんなことを思いながら読むと本書もまた違ったように感じます。
と言う訳で、ラスコーリニコフは逃げ切れるのか、予審判事ポルフィーリィーが追い詰めるのか、謎の男スヴィドリガイロフの目的は何なのか、ルージンとアヴドーチヤの関係はどうなるのか、そして我らがソーニャは幸せになれるのか!
いざ、最終巻へ参りましょう!
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第二巻(収められているのは第三部、第四部)
老女殺しは
てっきり貧乏と、心気症と、老女の因業な金貸しが憎くて殺害かと思ってたけど、それだけではない様子
ラスコの考え方、思想も殺害に影響している
ラスコを追い詰める予審判事ポルフィーリーがおもしろい
「選ばれた人間は思想や自分の信じる道を実現するにあたり、誰かを殺してもかまわない」というラスコの思想を指摘し、
曖昧模糊にラスコをあおって、じらして、頭に来させて、相手の内面を揺さぶり心理的に追い詰める
泳がせて、相手がボロをだす、カマをかけるみたいなやり方で
読みにくさはあるけど、おもしろさもあるので第三巻も読む
Posted by ブクログ
長大な物語を饒舌な会話の力で一気に押し切るという本作の技法は、現代のエンターテインメントにとっても参考になるだろう。読者にとっては、程よい長距離走のような読書体験であり、読後には大きな達成感が得られる。
ただし、「殺人」というテーマの是非については掘り下げがやや不十分かもしれない。ソーニャへの悔悟に関しても、まだその入口に立ったに過ぎない。
Posted by ブクログ
一巻に比べかなり物語の解像度 (犯行動機、哲学的な背景)が高くなってきたが、まだイマイチ犯行動機がしっくり来ない。新しい考えを実現させるためには犠牲者を出してかまわないという持論をラスコーリニコフは持つが、ラスコーリニコフの持つ新しい考えが何か分からず、またそのせいで老婆が殺されたという因果関係もまだ理解できない。これからどうなるのか展開が楽しみ。
それはそうとやはり解説が詳しくて素晴らしい
Posted by ブクログ
「罪と罰」の3部と4部を収録。いやはや細に入った人物とと場面の描写は病的なほど。他言語かつ新訳ではあるが、流刑のどん底期にあったドストエフスキーの鬼気迫る魂が宿る。(実生活では関わり合いになりたくないが)ラスコーリニコフ以外の人間味あふれる魅力的な人々で構成される本作品だが、特にソーニャが聖書「ラザロの復活」を朗読する箇所は必読。
Posted by ブクログ
最後の方のラスコーリニコフと予審判事との腹の探り合いがなんとも面白かった。おかした罪から仮に事実上逃れられたとしても、心理的にはどこにも逃げ場がないというポルフィーリの一言に戦々恐々とするラスコーリニコフの青ざめた感じが目に浮かぶ。一旦は罪から逃れられたように見えても、さらに嘘に嘘を重ねることで、この後どんどん追い詰められる様が想像される。
Posted by ブクログ
前半は個人的に心理描写系の場面が多くてちょっとつまらなかったけど、後半からはストーリーが大きく動いて面白かった。特に最後の方のポルフィーリによるラスコリーニコフの尋問はハラハラして面白かった。
ルージンさん、確かに嫌な奴だしウザい場面もあるけど、そこまで結婚反対するもんなのかな?一応は金持ちだし仕事出来るし。ラスコリーニコフが突っかからなければ形式上はそこそこ良い関係は続けられそうだけど、、、
それだけラスコリーニコフの妹に対する愛情が強かったの?それなら母は自分の娘をそこまで大切に思ってなかったって事にならない?それとも母は人の本性が分からないお人好しかバカって事?
罪と罰というタイトルは何を表しているのだろうか。ラスコリーニコフの犯した罪と、それに対しての罰のあり方を考えるという事?それならラスコリーニコフは最終的に捕まらず、罰として自殺するとか?
とりあえず続きが気になる。早く3巻を読みたい。
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相変わらず好き。
何が好きなのかわからないけど好きなんだ。
ドストエフスキーは、このラスコリーニコフの犯した罪に罰を与えるのか、それとも救いを与えるのか。結末をどう描いているのか、それだけがとても気になる。
Posted by ブクログ
みんみん激推しの『罪と罰を読まない』を読むにあたり、『罪と罰』を知らなくてもめっちゃ面白いとのことでしたが、みんみんと同じじゃつまらないじゃないかねワトソン君
というわけで読まない言うてるのにあえて読むという天のジャッキーなスタンスで読み始めた『罪と罰』ですが思いのほか面白くてなんか得した気分
たまたま寄ったスーパーが特売日だった気分(違う)
久しぶりに着たコートのポケットに百円入ってた気分(違う)
さて罪も罰も続くといった感の第二巻ですが、なんといっても罪を犯したラスコーリニコフと対決する予審判事ポルフィーリーに惹かれましたよ
どこまで確信をもってラスコーリニコフと対峙しているかは伏せられたままですが、彼の方がすこい上手なような気がしますし、この二人の心理戦がすごい面白かったよね
また、この二巻ではラスコーリニコフが罪を犯すに至った潜在的な動機が明かされるんですが、選民思想的な感じがもうどんどんラスコーリニコフから心離れさせられます
同時にラスコーリニコフの善なる部分もこれでもかってほど押し付けてくるので、どう思ったらええねん!という迷路
そしてさらに重要度を増してきそうな登場人物たちがガンガン深掘りされていくことで物語は混迷の一途
どうなるの?!
話が動いてきた
あい変わらず登場人物の感情や行動はよく解らないところがあるが、
まぁ現実世界でも他人の考えてることは解らないのだから
そういうものかもしれない。
話が動きだして面白くなってきた。
マルメラードフの件はなんとなく身につまされるものを感じる。
それはともかく、ラスミーヒンはいい奴だ。
Posted by ブクログ
推理ものを見ているようかの気分だ。ラスコーリニコフは冷静ではなく、聞いてもいないのに自分に不利になるような挙動を取り続ける。罪の意識は人間をこんなにも非合理に走らせるのだろうか。
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罪と罰〈2〉 (光文社古典新訳文庫)
(和書)2009年09月25日 16:22
フョードル・ミハイロヴィチ ドストエフスキー 光文社 2009年2月
ソーニャの部屋で聖書を読むシーンが好きなのです。
読み易くとても興味深く読めました。
次の巻も楽しみ。
Posted by ブクログ
“「でも、きみの罪はなにより、きみが自分をむだに殺し、自分をうらぎったからだ」”(p.314)
“ご自分の猜疑心のせいで、物事に対する健全な目までうしなってらっしゃる、てことを言いたいんです。”(p.376)
Posted by ブクログ
ますます面白くなってきた
ますます趣深くなってきた
ここに描かれていることは
人間の暮らしがある限り
時代を超えて
国境を越えて
時を超えて
ありうる感情なのだ
と 改めて思ってしまう
そして いよいよ
第三巻へ
Posted by ブクログ
二分冊目は、物語の進行に加えて、作者の信条やキリスト教の話が盛り込まれており、より奥行きを感じる内容だった。
また巻末の亀山郁夫さんの解説は、時代背景の詳しい説明や、オリジナリティあふれる解釈で、読みごたえがあった。
自分の読書メモとして、下記3点を取り上げたい。
1.ナポレオン主義について
一分冊目から引き続き、当時のロシアにおけるナポレオン戦争とその後の反動の影響がうかがえる。
物語中でラスコーリニコフが展開する主張では、歴史的な英雄は、従来の社会や伝統を破壊したという意味で犯罪者だ、という。
この主張について、同時代の同じくロシアの文豪トルストイが、ロシアの対ナポレオン戦争を描いた著書『戦争と平和』で繰り広げた歴史観が思い出された。
トルストイの主張は、「一人の英雄が歴史を作るのではなく、歴史の流れが英雄を必要とする」というもので、英雄自身に焦点を当てたラスコーリニコフの主張とは視点が異なる。
以前、「ドストエフスキーを好む人はトルストイを好まず、逆もまた然り」と聞いたことがある。
まだ読んでいる途中で何とも言えないが、この視点の違いが、読者の好みを分かつ理由なのかもしれない。
2.娼婦は自分を殺したか
物語前半から、娼婦の悲惨な身の上について語られていたが、第4部のラスコーリニコフとソーニャのやり取りでは、「じぶんを殺しうらぎった」と表現される。
『地下室の記録』でも似たような見解であった。
この悲劇のヒロインのような描き方に、日本で娼婦を多く題材にした永井荷風を対比させたくなった。
彼は、娼婦をそれほど悲劇の職業とは描いていない。
例えば以下、『ひかげの花』という作品からの引用である。
「正しい職業について、或いは貧苦に陥り、或いは成功して虚栄の念に齷齪(あくせく)するよりも、≪中略≫無智放埓な生活を送っている方が、却って其の人には幸福であるのかも知れない。道徳的干渉をなすよりも、≪中略≫折々の災難を救ってやるのが最もよく其人を理解した方法である」
この荷風の冷静な人生の観察は、ドストエフスキーの描く悲劇性とは似つかない。
宗教上あるいは社会環境の違いもあるかもしれないが、恐らく荷風・ドストエフスキーが各々の信条に基づいて解釈したものであると感じる。
対照的な見解の違いが興味深かった。
個人的には、荷風の方が娼婦を一人の人間として尊重しているように感じる。
3.ユロージヴァヤ(女性)/ユロージヴイ(男性)
巻末の亀山郁夫さんの解説で学んだが、非常に興味深い。
「キリストのために愚者をよそおう」が語源で、この物語では、前出のソーニャと殺害されたリザヴェータがその役割ということだ。
『戦争と平和』でも、アンドレイの妹マリヤが貧しい巡礼と交流する姿がたびたび描かれる。
「愚者をよそおう」というのは、ロシア思想でしばしば登場する「自己犠牲の精神」を体現し、計算ずくではなく神あるいは人のために行動できるという意味ではないか。
思想家のアイザイア・バーリンはその著書『反啓蒙思想』で、「啓蒙されない自己犠牲の精神」と呼び、タルコフスキー監督の映画では、自己を犠牲にして世界を救おうとする人の姿が描かれてきた。
ロシア思想の中で、この「自己犠牲」の部分はより深く学んでいきたいと思う。
次巻も楽しみに読みたい。
Posted by ブクログ
解説を読むことで、なぜここまで狂気と混乱の最中にいる人間の心理描写ができるのか腹落ちできました。ドストエフスキー自身が当時のロシアの社会背景も相まって、人生の中で借金や夫婦関係などにおける窮地に追い込まれていなかったら、ラスコーリニコフの目に映る景色をここまで鮮やかかつ仔細に描き切ることはできなかったのだろうと思います。
なまじ賢い若き青年の選民思想と罪悪感から逃れきれず溢れ出る傲慢で神経質な言動のなんという生々しさ…!彼を取り巻く母や妹や友、ソーニャの抱く得体の知れない恐怖心とポルフィーリーとの探り合いの緊迫感が、ますます昂るラスコーリニコフの混乱を際立たせ、物語の進行を盛り上げます。
いよいよ、ソーニャが朗読したラザロの復活で暗示された伏線を回収しに、いよいよ最終巻•第5部へと進みます…!
Posted by ブクログ
主人公の行動の原点となる思想が明らかになる。「非凡な人間は法を超越し、革新への行程においては大量殺人さえも許される」という、ちょっと聞いただけでも危うさを感じる考え。主人公の痛々しいほどの高慢さと潔癖さが、これでもかと描かれる。ソーニャ一家や妹とのやり取りからは、高潔な人柄も垣間見えるものの、偏屈さがどうにも邪魔をしている。一番の見せ場は、弱みにつけこんで妹を支配しようとしている卑劣漢ルージンをやりこめるところ。
Posted by ブクログ
4よりの★3です。眠くならなかったら★4でした。
2部と3部の初めまでは。。読んでは眠くなるの繰り返し。腹の探り合いは疲れます。
4部からスヴィドリガイロフとルージンのシーンは熱いものがあり、ルージンの思い上がりから突き落とされるシーンは気持ち良かったです。ルージンは俗世に生きる人そのものです。
そしてソーニャのアパートでの会話。「ラザロの復活」の話から、ロージャの先行きも気になりますが、ロージャの言いまわしを借りれば、4部でいきなり脳天にがつんと一撃くらわせられました。
Posted by ブクログ
第二巻。いよいよ盛り上がってきた。ラスコーリニコフは、秀才でありながら、殺人を犯した罪悪感には耐えられない弱いメンタルの持ち主だと判明。ソーニャも動きはじめたし続きが気になる。