斎藤幸平のレビュー一覧

  • ゼロからの『資本論』

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    これまでに読んだ『資本論』の解説本の中で最も分かりやすく、腑に落ちる部分が多かった。
    基本的には『人新生の「資本論」』と共通する主張と情報だが、本書の主題通り、『資本論』、そして『資本論』には収録しきれなかったマルクスの思想の終端に至るまでが解説されていて、理解がさらに深まったように思う。

    個人的には特に、
    「物質代謝としての労働」、「富とはなにか」、「労働力と労働の違い」、「物象化」についての理解が深まった。
    また、BIや福祉国家は「法学幻想」であるが故にポスト資本主義の社会体制とはなり得ないということも非常に興味深かった。

    斎藤氏やマルクスの思想、そして共産主義を批判する論調は、決まっ

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    2023年10月05日
  • ぼくはウーバーで捻挫し、山でシカと闘い、水俣で泣いた

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    もういい歳だし、世の中のことをちゃんと知りたいと思って手に取った。
    とても読みやすく、分かりやすかった。こういった本の中には、何となくテーマに沿って綺麗にまとめて終わりというものもあるが、この本は違った。著者の斎藤幸平さんが、自分はどう感じたかを正確にまとめてくださっていることにとても好感を持った。
    他の著書も読んでみたい!

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    2023年09月21日
  • 天才たちの未来予測図(マガジンハウス新書)

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    少子高齢化や格差社会など、明るい話題の少ない日本にも、大谷以外でこんなにも凄い人がいるのかと、少し嬉しくなる一冊。これからの日本、イヤイヤ世界をよろしくお願いします

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    2023年09月09日
  • 撤退論

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    現在のシステムの潮流でのカタストロフィの生じる前の方向転換を撤退論としている。
    コモンの再生と撤退ということで、斎藤幸平が、『資本主義から撤退して里山に行くだけでは不十分。何故ならそのままでは、資本主義が里山を含めた環境を破壊するから。』と言っていたところに納得。彼はだからこそ資本主義は止めなければならないという。当方はまだ、サステナビリティは社会という形での対応が必要と思っている。戦争、技術進化などに対応する上で、経済を止め切ることはできないと思うため。

    撤退とは、単に行くか戻るかの二者択一を意味しない。そのような二者択一を自分に迫っている世界観とは、全く異なる世界観へのパラダイムシフトを

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    2023年05月03日
  • 天才たちの未来予測図(マガジンハウス新書)

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     4人の天才たちとは,成田悠輔,斎藤幸平,小島武仁,内田舞。それぞれ,外国でも注目されている日本の知性たちです。
     このうち,わたしが著作を読んだことのある人は,斎藤幸平さんだけ。
     どの方の意見も,説得力に富んでいて,なかなか刺激的でした。

     本書の編集者である高橋弘樹氏は,「おわりに」で次のように述べています。

     この本はぜひ,ゆるめのBGMのかかったカフェや,ヒーリングミュージックのかかった寝室でゴロゴロしながら,読んでいただければと思います。(本書,207ぺ)

     わたしは,テレビが鳴っている様な場所では本は読めないのですが,自宅の炬燵に寝っ転がって,延べ4時間くらいで読み終わりま

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    2023年04月07日
  • 天才たちの未来予測図(マガジンハウス新書)

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    これからの日本社会はどう変調していくのか。
    4人の天才たちが最先端の知性で未来予想する。
    これからの自分の在り方にも参考になる本。

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    2023年04月03日
  • 天才たちの未来予測図(マガジンハウス新書)

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    知的好奇心を満たす程、深くロジカルに考察を述べたり、新説が披露されるような本ではない。寧ろ、本著の素晴らしさは、それとは真反対の所にあり、天才たちを手の届きやすい場所まで引き下ろしデフォルメ化する事で、人への興味から学問への入り口に足を踏み入れやすくしている狙いにある。マッタリと読めて、穏やかな気持ちになる。

    意識してそうしている、というのが日経テレ東大学のプロデューサーでもある高橋弘樹氏。コンセプトを補強するのが巻末の天才たちのプライベートエピソードだ。打ち合わせ中にいきなりセロリを食べ始める成田悠輔。会食に牛肉を選ばない斎藤幸平。社会制度上嘘をつかなくてはいけないと言うストレスをアルゴリ

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    2023年02月11日
  • ゼロからの『資本論』

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    マルクスの資本論がわかりやすく入ってくる。説明が丁寧でシンプル。前半は特に、あっという間に読み進めることができる。

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    2025年10月15日
  • 別冊NHK100分de名著 パンデミックを超えて

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    この本の内容や感想・意見を、自分なりにどうにか要領よくまとめてみようと試みたが、諦めた。あまりに重く大きい投げかけだから。

    ただ、冷笑主義に陥らず、目を瞑らず、口を閉じず、自身を含む「悪」に向き合って、生きていきたい。生きていけるだろうか。

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    2022年06月07日
  • 撤退論

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    「まえがき」の内田樹の文章の衝撃たるや。
    21世紀末には、総務省の中位推定で、日本の人口は4700万人に。7000万人も減るという。
    そして、この事実を国は知ってはいるが、「このシナリオを国民に対して開示する気がない」にっちもさっちもいかなくなってから、我々に、さて、「日本は沈みつつありますが、生き延びる手立てはもうこれしかありませんと手の内を明かす」だろうと。
    その時には「強者にすべての資源を集中し、弱者は見捨てる」というシナリオは出来上がっている…。

    そうだろうと思う。そうなのだ。たぶんもう出来上がっているのだ。我々庶民はうかうかしてこれからだまされるのだ。

    この「まえがき」と白井聡と

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    2022年06月01日
  • 撤退論

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    涙あり、衝撃あり。15通りのメガネをかけさせてくれる、とても有意義な一冊。
    一人ひとりの論考をじっくり味わいたい、でも面白すぎるし文章の量も程良いのでもう1人読みたい、もしくはこの人の別の著書を早く読みたい、そんな気持ちになった。
    新しい時代がそこまで来ている、そんな予感がしてくる。

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    2022年05月30日
  • マンガでわかる! 100分de名著 マルクス「資本論」に脱成長のヒントを学ぶ

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    マンガは少なめ、読む部分はたっぷりあります。著者は各所で引っ張りだこのようですが、果たして脱成長で社会はまわっていくのでしょうか。考えるきっかけとして、よい本だと思います。

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    2022年02月08日
  • ポストコロナ期を生きるきみたちへ

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     内田樹さんんが呼びかけて「中高生向き」に書いてもらった,オムニバス本。わたしが知っていた人は6~7人だが,それぞれの呼びかけが面白かった。
     本書のメッセージは,30代~70代の年代別に分かれていて,70代なんて,中高生が大人になった頃はほとんど現役ではないわけで,だからこそ,なにを呼びかけているのかが,気になる。
     新型コロナによって暴き出された現代社会の矛盾は,コロナ禍が過ぎ去ったとしても,なんらかの修正を迫られるはずだ。会社に行かなくても仕事ができる…と分かったからには,満員電車に乗って会社へ行くこと自体が,すでに「必要なこと」ではなくなってしまった。密を避けることは,過疎地域では当た

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    2022年01月10日
  • なぜ、脱成長なのか 分断・格差・気候変動を乗り越える

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    脱成長の定義の条件→お互いのケアとコミュニティの連帯

    脱成長とは? より少ない資源、資金、環境負荷で人間の豊かさを実現すること。

    資本主義社会での人間の常識→物質所有=幸福。経済成長=善、人間の本能

    脱成長主義社会で目指すもの定義→中庸や、分かち合い、自然との調和。ミニマリスト的な生き方

    ・人間の本質的な幸せとは何かを理解する必要がある
    ・人の生き方は社会システムに影響される
    ・資本主義は人が本質的に求めているシステムではない

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    2021年09月25日
  • なぜ、脱成長なのか 分断・格差・気候変動を乗り越える

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    読みやすい文章で、あっという間に読んでしまった。脱成長がなぜ必要か、どのように実現するか提案されている。
    有名なバルセロナの例も出ている。
    巻末には質問への回答があり、よくある質問に対して分かりやすく答えている。
    入門として、または勉強会のテキストとしてもちょうど良いと思う。
    欲を言えば、もう少したくさん具体例が欲しかったかもしれない。

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    2021年09月19日
  • なぜ、脱成長なのか 分断・格差・気候変動を乗り越える

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    成長によって、人種や国内国外への不平等、あるいはジェンダーにおける労働の固定化と不平等を招く、ということがやっと指摘されてきた。
     国連のSDGばかりが強調されて教育でも教えられているが実はそれが開発と強く結びついていることが指摘されている。
     教育でSDGを説明する場合にはこの本も合わせて説明する必要がある。

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    2021年08月27日
  • なぜ、脱成長なのか 分断・格差・気候変動を乗り越える

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    注目している(惹かれている)斎藤幸平が書いているので手に取った。脱成長こそが私たちの直面する危機を乗り越える手だというのは分かる。スローな社会をつくり人間らしい生き方をしてウェルビーイングを維持することを目指すのは大賛成だ。グリーンな経済成長とかSDGsとかのまやかしは警戒すべきだと思う。難しいことだが人間らしくやさしいところが気に入った。
    ただこの本がNHK絡みだというのが合点がいかん。

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    2021年06月30日
  • ポストコロナ期を生きるきみたちへ

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    高校3年生の私でも分かりやすい文章が多かった。新型コロナによって振り回される私たちの未来を前向きに考えていこうと思った。まずは正しい知識を得ること。そしてタテ、ヨコ、算数(本書より)の多角的視点から問題をみつめる。これから大学に進学する上で役立ちそうな知恵を得ることができた。

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    2021年02月19日
  • ポストコロナ期を生きるきみたちへ

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    色んな立場における識者の手による、今の時代ならではのアンソロジー。内田樹編ってところで、それなりのバイアスがかかっていることは間違いないけど、氏の慧眼に心酔している身としては、その選択には疑念の余地なし。通読した後も、その気持ちに変わりはなかった。いくら博覧強記でも、単著では、その言論にそれなりの限界があるものだと思うけど、その点本作は、根っこの部分でのブレをほとんど感じさせることなく、だけどそれぞれに違った見地からの論旨が展開されていて、感じ入ることしきりだった。

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    2020年12月14日
  • ぼくはウーバーで捻挫し、山でシカと闘い、水俣で泣いた

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    京大タテカンの章が痛快だった。
    景観を理由に撤去するなら、隣のギラギラなラーメン屋の看板はどうなんだとは、まったくその通り。
    猥雑さや無秩序が産み出す空気があのあたりの景観だったはず。美は乱調にあり。

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    2025年11月24日