斎藤幸平のレビュー一覧
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仕事に関する本以外はほぼ小説しか読まない私が、推しが心に響いたと紹介していたので読んでみた。推しの紹介でない限り自分からは読まない本だったので世界が広がる。
自分がいかに無知…というよりも無関心だったかを知る本だった。そして、無知より無関心の方が罪深い。
特に洋服のリサイクルの話、外国人労働者の話は、自分が恥ずかしくなった。
最近、編み物にハマっている。少し奮発して買った毛糸で時間をかけて編んだ服は簡単には捨てられない。リサイクルすれば良いではなく、リサイクルしないことこそが気候変動に良いのだという話に納得。
小説のようなエンタメ性ではなく、知的好奇心をくすぐる読書も楽しい、そして世界を広 -
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Posted by ブクログ
日本向けに書かれたという本書は「倫理資本主義」というコンセプトについてガブリエル氏が安易な言葉で解説しています。倫理資本主義とは、一言でいえば経済的価値と道徳的価値のリカップリング、ということです。まず「リ(再)」とついていることからわかるように、近代になってデカップリングされていた2つの価値を再びつなげよう、というメッセージがあります。また経済学的に言えば、公害などの外部不経済と呼ばれるものをいかに減らすか、またプラスの外部経済(例:教育や研究開発など社会全体に染み出る効果)をいかに増やすか、も倫理資本主義のエッセンスと理解しました。
また生活の質と経済学をリカップリングすることも可能だ、 -
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生産力主義的、ヨーロッパ中心主義的な思想家として認識されがちなマルクスの印象をひっくり返そうとする研究。
著者は一個上なんだけど、マルクスの研究者としてヨーロッパで出版した本がその後日本語で出版されるという流れに畏怖の念を抱くな。
資本論が未完に終わってしまったこともあり、マルクスの環境に関する考え方が見落とされている。しかし、晩年のマルクスは自然科学についての研究に熱心に取り組んでいたことがMEGAと呼ばれるマルクス・エンゲルス全集からわかる。マルクスの分析の範囲は社会の領域に限定されず、人間と自然の物質代謝にも及んでいる。
2部はマルクス主義とエコロジーに関する文献レビュー的な。
人新世と -
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とても素敵な本。「自治」の実際が語られていて,なんか,やる気が出るような来ます。著者によっては,少し難解な部分もあるのですが…。
最後の斎藤幸平さんの「「自治」の力を耕す〈コモン〉の現場」より,今の教育現場にも通じる話を引用します。
…労働問題に取り組むNPO法人POSSEの代表である今野晴貴さんは,次のように指摘します。
ブラック企業問題が解決しない原因は,労働法が存在しないからではない。むちゃくちゃな働かせ方を取りしまう法律自体は日本にもある。あるけれども,労働組合が弱体化した日本では,企業のほうが圧倒的に強く,労働者には力がない。そのせいで,法律の運用が形骸化し,「違法労働」がまか -
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「当事者意識を持つこと」の重要性を実感しました。
「自治」というテーマのもと、様々な分野における「自治」のあり方について論じられていました。
特に、現代社会における「上から」の改革の限界を指摘し、真の社会変革は、一人ひとりが「当事者」となることから始まることを強調していました。
この著書における「市民科学」の例は、この「当事者意識」の重要性を感じられます。専門家だけに任せるのではなく、市民自身が社会問題の解決に向けて積極的に行動を起こす「市民科学」の動きは、従来の「上からの」改革ではカバーしきれない問題に取り組む、新しい可能性を感じられました。
p125~武器としての市民科学を (木村あや) -
Posted by ブクログ
第1章 「倫理」「資本主義」「社会」を定義する。
P.43 倫理資本主義とは、倫理と資本主義を融合されられると言う考え方の。道徳的に正しい行動から利益を得ることは可能であり、またそうあるべきである。
第2章 入れ子構造の危機
p.60 自由という価値は個人にかかわるものであり、また個人を形成する。しかし個人は、自らが属する社会的形式が選択の余地を提供しないかぎり自由にはなれない。私たちが近代の自由社会を評価するなは、常に社会的形成の一部にある個人により多くの選択肢を生み出すからだ。
第3章 経済学の危機
p.92 何らかの方法で資本主義と自由民主主義を排除し、環境社会主義その他の柔道の低い -
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装丁とタイトルから得る印象で、一旦は読むのをやめようと思ったこともあったのだけれど、今回通読してみて、特に後書きは結構硬質の社会学というような本だったように思う。
一見良いように思えるやり方が、よくない影響よくない結果をもたらしてしまう事例をいくつも現場で時には実践しながら考察しているのだが一つ一つのテーマが、目にしたこと耳にしたことはあっても見なかったもの目を背けていたもの、そして言葉は聞いたことがあっても内容を知らなかったものなので、さて、これらを知った自分が何をできるのか?著者はいろいろな言葉と知識で示してくれているように思えるが、まだまだ腑に落として自分の衝動として思えていないためなの