斎藤幸平のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
マルコスの「資本主義」で見過ごされていた「ポスト資本主義」を再考すべきだと言う。それはパンデミック、戦争、気候危機などの慢性的緊急事態の時代から強い国家が要請される現代。これを放置すれば国家の力が強まってファシズムや全体主義となっていく、と予測。格差や搾取、戦争や暴力、植民地支配や奴隷制などの問題に向き合い、国家の暴走に抗いながら自由や平等の可能性を必死に考えるべきで、それから生まれる知恵と想像力から学ぶことが求められる、と言う。正に自国での政治不満が他国への侵略で国民の目を誤魔化し、暴走化し始めた。特にロシア、イスラエルなど自国強化主義・ファシズム化へと動き始めたことは、今後米国、中国などの
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Posted by ブクログ
他のものに転嫁させたり、見えなくすることで、帝国的生活様式、つまり大量生産大量消費の贅沢な社会を享受してきた。
これまではいわゆる途上国に転嫁を押し付けていたが、その余地もなくなり、先進国諸国に影響が出始めてきており、私たちを襲っている。
多くの代替案はある場所での資源の消費をある地点に移動させているだけ。
欠乏を生んでいるのが資本主義というのは、昨今のさまざまな問題を表しているなあ。本書に書かれているような土地に関することや過剰なまでの美への執着など。
本来共同財的であったものが、資本主義にもまれることで、私財化していった。その私財化によって、そのものの価値ではなく、財産的な価値を持つように -
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Posted by ブクログ
前作は娘のために書いた本だったが今回は無き父親との対話的な話。ギリシャ神話の例えとかよく出て読みにくい…
GAFAMに無償でデータを提供し続け、各 CEO達の莫大な富形成に知らずのうちに加担させられる現代の愚民達をクラウド農奴としかつての封建制に例えるのはまぁよくある話だけど、GAFAM批判し過ぎな気もする。それなりの恩恵を受けてるし…そう思う時点でテクノ封建制にやられているのかもしれないが…ちょっと思想が左よりすぎるかな。
自由を手に入れるために何を諦めるのか、本当の自由とは?とみんな思いつつこの資本主義社会の中でなんとか生きていく折り合いを見つけないといけない訳で…映画マトリックスの引 -
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Posted by ブクログ
少し実感とは異なっていたので、言い過ぎかなーというのが第1感であった。たしかにGAFAMのプラットフォームにのり、個人の様々な情報がデータ化され、アルゴリズムが全てを回していく事実はある。
でも一方で、それが分かっているからSNSに乗ってくる広告はまともに見たことないし、さらにいくらスマホが必需品とはいえ24時間のうち使ってるのは数時間だろう。本書に書いてある世界…クラウド農奴は一面から見れば存在するが、その農奴は全てをクラウド資本に捧げているわけではない。
ただ、いまのクラウド領主が本質的には何も生産していないというのはひたすら同意。ザッカーバーグもベゾスも最初は想いがあってビジネスを立ち上 -
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Posted by ブクログ
倫理と経済は再び同期できるというストーリー。最後に、
1企業はCPOという倫理責任者とともに倫理研究部門を設置し、利益と倫理の同時に達成すべき点を開発せよ
2子どもに参政権を与えよ
3欲望をコントロールせよ
4AIそれ自体はインテリジェンスにはならない
などの提言がある。
特に 子どもに参政権を は深く納得した。倫理セクターは今後少しずつ導入されると思うが、哲学が実学として教育されてから時が経てばと思わなくもないので5〜10年ほど変わるだろう。
フィロソフィーマーケティングなどとマーケティングオリエンティッドの安い理論に陥らないことを願う。 -