斎藤幸平のレビュー一覧
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学者は、もっと現場で学ばなければいけない、ということで、人新世の資本論で有名な著者が、全国の社会問題の現場を訪ねて、見たこと聞いたこと、時に体験したことを文章化したもの。
表題はかなりキャッチーなコピー、だから、本人は真剣に論じてるのだろうけど、リアクション芸人と化してるように思えてしまった。
とはいえ、著名人が人々の関心を惹いてくれて、知らしめてくれて、考えさせてくれるような本書の試みは大事。頑張れ!斎藤先生。
まるで人ごとな声援ですみません。
ウーバーイーツ、テレワーク、林業、五輪問題、男性メイク、性教育から、気候変動、外国人差別、水俣病、部落差別、被災地、アイヌと多岐にわたってのルポに -
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「大義で見えなくなる物」
人新世の資本論を読んでいる頃、斎藤幸平先生が義母の友達のご子息であったと知り驚いた(つながり薄すぎ)
思想的にマジョリティーではないからSNSなどで叩かれることもある先生ではあるが、研究室に閉じこもらず矛盾の集中する現場に飛び出しで「実践」を行っていくのは個人的には好感を持っている。
入り口はyoutubeなんかと親和性が高そうだが(フードデリバリーしたり、虫食ったり)主題は深遠だった。
「共時者」の概念は響いた。虐げられた人たちの苦しみを「そんなこと知らない」と片付けてしまうのは簡単だけれど、あえてそうしない人が増えると、競争して勝つという「当たり前の」世界が -
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筆者がフィールドワークを通じて学び、感じ、時に新たな問題点を見つけては切ない思いをしたことを書いたレポート。そう、本と言うよりは、レポートです。とても軽快な言葉で綴られた、レポート。
とはいえ内容は軽くはなく、斎藤さんは案件ごとに真摯に向かい合われてますし、そこからご自身が感じたことを非常に平易な言葉で表現されている、という話で、◯◯論とか◯◯学とか専門的なことを知らなくても十分に学びのある一冊です。
ただし、平易であるがゆえにあまり深掘りはしておらず、さらっと読むとあまり印象に残らないかも。あまり身近ではない(日常生活とは関わってこない)件についても色々触れているので、読んで何かひっかか -
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本書は、脱成長の基本ビジョンが分かりやすく説明されるとともに、世界各地における実践例が紹介されており、入門書として適当な一冊だと思います。
ただ、「脱成長」について思うこと。
どうにかしなければならないことは理解できる。無駄なもの、ここまで必要ないだろうと思うモノやコトも多い。しかし、経済成長が良いことだ、パイを大きくしないと豊かになれないという考えが沁み込んでしまっている人間(自分だってその一人だ)が大勢の中で、政治を変え、脱成長の経済にしていくことを現実化していくのはとても難しいだろうと思う。
特に国際社会において対立の度が深まっている現在、これまで不平等を強いてきたから先進国が -
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成田さん
・不真面目に、遊びや趣味の延長線をフラフラと生きている人の方が、競争力を持つ社会になる?王道人生を歩む道からズレるように工夫した方がいいなと思った。
斉藤さん
・アメリカと日本の比較。格差の大きいアメリカ→資本主義は間違っているのでは。
・問題の外部化。時間・場所的軸において。先進国が利益追求、環境配慮するために、遠く離れた後進国から搾取している→商社で働く上で、そうなのか実際に自分の目で見て、それを改善する、そうしないで日本を豊かにできるようにしたい。忘れてはならない視点。
・更なる豊かさを求めることが目的になっている。資本主義に組み込まれている私たち。特に会社で働く上では気をつ -
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前著「大洪水の前に」と重複するところも多い気はするが、よりマルクスのテクストに深い入り込みつつ、晩年のマルクスの思想を再構築していく。
そのプロセスに知的好奇心が動きつつも、なんで今更マルクスが著作にできなかったことを今あれこれと推論しなければいけないんだろうという気持ちがしばしば起きてしまう。
マルクスが本当に考えていたことはこうなんですと言って、20世紀に破綻したと思われるマルクス主義を環境、持続可能性という観点から再構築しなければいけないんだろう?(そういう意味では、タイトルの解体というより再構築という方が相応しいと思う)
それって、マルクスの神格化ではないか?
という批判は、当 -
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タイトルに惹かれて読んでみた。新聞での連載をまとめた本だとは知らず、興味を惹かれもっと知りたいと思うトピックはあったものの、一つ一つのページ数は少なく内容は薄かった。その中で関心を持ったもの、面白かったものは以下。
・あつまれどうぶつの森をやってみた話
・東京五輪のための国立競技場建て替えに伴う都営アパート移転の話(「東京オリンピック2017都営霞ヶ丘アパート」というドキュメンタリー映画があるようで見てみたい)
・今も続いている水俣病問題
・アイヌの施設ウポポイと慰霊施設
上記の関連図書・映像作品や著者の他の本を読んでみるのが良いのかも。 -
Posted by ブクログ
2020年、COVID-19が席巻した世界では次々と社会の歪みが露呈した。そのコロナ期とポストコロナ期に、次世代の若者たちがどう生きるべきかを内田樹をはじめとした様々な年代の言論人たちが語る。
内田さんが声をかけて集まった様々な分野の今をときめく著名人たちがコロナとコロナ後の世界をテーマに執筆しました。内田さんのセレクトだけあってみんなけっこう尖っていて(偏っていて)どれも読み応えのある内容でした。中学生向きということで平易な文章で一編が短いのも読みやすくていいと思います。そしてみんな分野が違うので、コロナ期というものを違う角度から見ているのも面白い。また、分野が違っても結局、多くの著者が今