斎藤幸平のレビュー一覧
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マルクスのノートから読み込み、マルクス経済学を現代に当て嵌めて考察する第一線のマルクス研究者である斎藤幸平氏。一般向けとは少し線を引いた学究的内容だが、同氏の学者としての本気(恐らく、そのほんの一部分だが)を垣間見るような読書だった。
地球は有限である。だから我々は競争する。競争するためのルールは概ね、資本主義でいこうという事になった。共産主義という選択肢もあったが、一国では成し遂げられぬ概念であり、結局、共産主義は、資本主義と競争する事になる。また、共産主義は、こうした有限性に対し、人口抑制の論理を内在化している。資本主義は、資本家のエゴによって有限性を無視して暴走し易い。勝手な解釈だが、 -
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「哲学界のロックスター」と言われ、来日講演したりEテレの番組にも出演したりしたことのある新進気鋭の天才哲学者である著者が、初の日本書き下ろしを出版したということで2024年の夏休み図書として購入。
本書は3部構成となっており、第1部ではまず、「倫理」「資本主義」「社会」について、あえて経済的側面から定義するところから論考が展開される。そしてそれらの定義や概念に基づき、資本主義のインフラを使って道徳的に正しい行動から経済的利益を生み出し、社会を大きく改善することができる、またはそうすべきだと冒頭で筆者は述べている。
かつてミルトン・フリードマンが主張した「企業の目的は利益追求である」から、「企 -
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学者は、もっと現場で学ばなければいけない、ということで、人新世の資本論で有名な著者が、全国の社会問題の現場を訪ねて、見たこと聞いたこと、時に体験したことを文章化したもの。
表題はかなりキャッチーなコピー、だから、本人は真剣に論じてるのだろうけど、リアクション芸人と化してるように思えてしまった。
とはいえ、著名人が人々の関心を惹いてくれて、知らしめてくれて、考えさせてくれるような本書の試みは大事。頑張れ!斎藤先生。
まるで人ごとな声援ですみません。
ウーバーイーツ、テレワーク、林業、五輪問題、男性メイク、性教育から、気候変動、外国人差別、水俣病、部落差別、被災地、アイヌと多岐にわたってのルポに -
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「大義で見えなくなる物」
人新世の資本論を読んでいる頃、斎藤幸平先生が義母の友達のご子息であったと知り驚いた(つながり薄すぎ)
思想的にマジョリティーではないからSNSなどで叩かれることもある先生ではあるが、研究室に閉じこもらず矛盾の集中する現場に飛び出しで「実践」を行っていくのは個人的には好感を持っている。
入り口はyoutubeなんかと親和性が高そうだが(フードデリバリーしたり、虫食ったり)主題は深遠だった。
「共時者」の概念は響いた。虐げられた人たちの苦しみを「そんなこと知らない」と片付けてしまうのは簡単だけれど、あえてそうしない人が増えると、競争して勝つという「当たり前の」世界が -
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筆者がフィールドワークを通じて学び、感じ、時に新たな問題点を見つけては切ない思いをしたことを書いたレポート。そう、本と言うよりは、レポートです。とても軽快な言葉で綴られた、レポート。
とはいえ内容は軽くはなく、斎藤さんは案件ごとに真摯に向かい合われてますし、そこからご自身が感じたことを非常に平易な言葉で表現されている、という話で、◯◯論とか◯◯学とか専門的なことを知らなくても十分に学びのある一冊です。
ただし、平易であるがゆえにあまり深掘りはしておらず、さらっと読むとあまり印象に残らないかも。あまり身近ではない(日常生活とは関わってこない)件についても色々触れているので、読んで何かひっかか -
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本書は、脱成長の基本ビジョンが分かりやすく説明されるとともに、世界各地における実践例が紹介されており、入門書として適当な一冊だと思います。
ただ、「脱成長」について思うこと。
どうにかしなければならないことは理解できる。無駄なもの、ここまで必要ないだろうと思うモノやコトも多い。しかし、経済成長が良いことだ、パイを大きくしないと豊かになれないという考えが沁み込んでしまっている人間(自分だってその一人だ)が大勢の中で、政治を変え、脱成長の経済にしていくことを現実化していくのはとても難しいだろうと思う。
特に国際社会において対立の度が深まっている現在、これまで不平等を強いてきたから先進国が -
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成田さん
・不真面目に、遊びや趣味の延長線をフラフラと生きている人の方が、競争力を持つ社会になる?王道人生を歩む道からズレるように工夫した方がいいなと思った。
斉藤さん
・アメリカと日本の比較。格差の大きいアメリカ→資本主義は間違っているのでは。
・問題の外部化。時間・場所的軸において。先進国が利益追求、環境配慮するために、遠く離れた後進国から搾取している→商社で働く上で、そうなのか実際に自分の目で見て、それを改善する、そうしないで日本を豊かにできるようにしたい。忘れてはならない視点。
・更なる豊かさを求めることが目的になっている。資本主義に組み込まれている私たち。特に会社で働く上では気をつ -
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前著「大洪水の前に」と重複するところも多い気はするが、よりマルクスのテクストに深い入り込みつつ、晩年のマルクスの思想を再構築していく。
そのプロセスに知的好奇心が動きつつも、なんで今更マルクスが著作にできなかったことを今あれこれと推論しなければいけないんだろうという気持ちがしばしば起きてしまう。
マルクスが本当に考えていたことはこうなんですと言って、20世紀に破綻したと思われるマルクス主義を環境、持続可能性という観点から再構築しなければいけないんだろう?(そういう意味では、タイトルの解体というより再構築という方が相応しいと思う)
それって、マルクスの神格化ではないか?
という批判は、当