斎藤幸平のレビュー一覧
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内田樹さんんが呼びかけて「中高生向き」に書いてもらった,オムニバス本。わたしが知っていた人は6~7人だが,それぞれの呼びかけが面白かった。
本書のメッセージは,30代~70代の年代別に分かれていて,70代なんて,中高生が大人になった頃はほとんど現役ではないわけで,だからこそ,なにを呼びかけているのかが,気になる。
新型コロナによって暴き出された現代社会の矛盾は,コロナ禍が過ぎ去ったとしても,なんらかの修正を迫られるはずだ。会社に行かなくても仕事ができる…と分かったからには,満員電車に乗って会社へ行くこと自体が,すでに「必要なこと」ではなくなってしまった。密を避けることは,過疎地域では当たり前であり,過疎であるわたしの地域で影響を受けたのは「年に一番密になる地元のお祭」ぐらいだ。
指導者たちは,巨大な経済システムの中で,無駄を省くことを第一条件として進めてきたことのツケが,あまりにも大きかったことにやっと気づいたのだろうか。もっとも,10年前の東日本大震災の津波による原発事故のときにも気づいたはずだったのだが…それが,いつのまにか,どっかへいってしまっていた。今回,また,違う形で自然が教えてくれたんだが。
内田さんがいうように,今後の社会は決して楽観的に過ごせるわけではないだろう。高齢化率や出生率などを見ても,その大変さがよく分かる。
じゃあ,今後はだれがどんな社会を作ってくれるのか…いや,君が作っていくんだよ,それは君がやりたいことを選んでやっていくんだよ…というメッセージが,少しだけ勇気を与えてくれる。
60代のお爺ちゃんは,孫たちの世代に何を残せるのだろう。まだわたしにできることはたくさんありそうだ。 -
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この書籍の元になったのは、NHKテレビの「100分de読書」という番組であるらしい。
その放送に出演した(書籍内での紹介順に)斎藤幸平氏、小川公代氏、安田登氏、による、それぞれなりの「読書論」を紹介するとともに、番組ディレクター秋満吉彦氏による各人との対談、番組での思い出、印象深かった事項、を紹介する構成となっている。
そのような内容であるから、この書籍の文章を読むことによって、文脈を自分自身で咀嚼して得られるような、読書ならではの感慨深い気持ち、を得ることは少々難しいかもしれない。
ただ、三者がそれぞれなりの解釈で述べている読書論を自分なりに理解し、そこで紹介されている数々の書籍、について調べていくと、実に興味深い、自分の読書に対する好奇心を刺激される、事が多々あった。これは自分の読書遍歴(まだ5年ほどであるのだが…)の中でまた一つのわかりやすい道標となった、ような気がしている。
事実、私は既に斉藤幸平氏の「人新世の資本論」、(本書の中で紹介のあった)メアリー・シェリー氏の「フランケンシュタイン」、を既に読み始めている。読書、という行為に何らかの「マンネリ感」「閉塞感」を感じている方には、無理せず読んでみる事をお勧めしたい。 -
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テック右派やその周辺の思想をほとんど知らなかったが、面白く読めた。新書のような読みやすさがあるので一気に読めた。
政府との蜜月や運にも恵まれてマスクがここまで成り上がったのがよくわかる。
マスクの夢見るユートピアはハイエクの批判した設計主義的合理主義のような理性への大きな信頼が根底にある印象を受けたので、そう簡単に実現するのかは定かではない。この本のマスクに対する批判もマスクと同じくらい、テクノロジーの可能性に信頼をおいているからこそ、実現しかねないユートピア(ディストピア)思想の持ち主として彼を批判しているように見える。
ともあれマスクへの金持ちのツイ廃というイメージは更新されたので良い本だった。 -
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すごく面白かった。
止められない気候変動にファシズム化する世界…もうしょっぱなからお先真っ暗な世界の状況が語られる。え、もう世界は終わりじゃないかな…と思うのだが、斎藤氏はなんとか私たちが助かる道を探そうとする。
気候変動について、既にそれを食い止められる地点はすぎてしまったという。
近代社会の後にやってくるのは、「必要と自己保存」の動機が強力に支配し、「正義」が停止する世界である。これからは世界の災害化にいかに「適応」していくかが求められるという。「資本主義的な適応」と「社会主義的な適応」の分かれ道に来ている。世界が向かっているのは「資本主義的な適応」だが、その先には気候ファシズムが待っているという。本書はそれに対抗する「社会主義的な適応」を可能性をさぐる。それが、自由と民主主義を守る唯一の道だと著者は言う。
進歩の終わりを受け入れながら資本主義を捨てる道として、著者は「暗黒社会主義」を唱える。そして、計画経済を推奨する。確かに自由主義市場は無駄が多すぎるし良いかも!と思ったのだが、ハイエクによる計画経済批判を読むと、やっぱり計画経済なんて無理なんじゃ…と思えてくる。しかし、私たちは「ハイエクの呪縛」にとらわれているのだと斎藤氏は言い、その呪縛を丁寧に紐解いていく。
これからの危機に対して、かなりラディカルで踏み込んだ対処法が描かれていてびっくりしました。だけど、もうこれくらいやらないと、間に合わない危機的状況なんですよね…。私たちは呑気過ぎたんだな…と反省。 -
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資本主義以外の道があることを知ることができて良かった。普段意識することができないから。
一方でこれは、アカデミックの話、データ上の話がベースになっている点は注意しないといけない。実際にビジネスの世界に関わっている私たちからしたらどうだろうか。何がどうなると今の資本主義は変わっていくのだろうかというと、そう簡単には変わらないと思う。世の中のほぼ全ての人に変えたいという意識が無いし、比較的権力のある資本主義の勝者は資本があるからゆえ資本主義を変える動機が無いからだ。
そんな中で、資本主義だけじゃない概念が存在する、資本主義が全てではないと指摘されたことにこの本の価値があると思う。
成田氏が「よくわからないことをする」というのは重要だと思った。既存の価値尺度に囚われない生き方をすることによって、自分自身が価値ある生き方ができるからだ。 -
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実際に小説や名著と言われる古典的作品を読んで、実生活に活かすことができるのか疑問に思い、「血肉となる読書」というタイトルに惹かれて手に取った。
学術書や専門書は使うことを目的としているため、活かしやすいと思っているが、文学作品を読んですぐに生活に活かすというイメージが湧きづらいと思った。
本著で参考になった考えとして
・転換期と言われる先行きの不明な世の中を生きるにあたり、100年前を生き延びた当時の人類の知恵や経験から学ぶこともある。
・ネガティブ・ケイパビリティ
容易に答えの出ない状態に耐える、不確実生を受け入れる能力が文学作品を読むことで他者の思考パターンや心理、喜びや苦しみを通じて身につけることができる。
・本棚ピオトープ
定期的に本棚の並びを変えることで、積読を解消する。
・問を持つ
誤った問い
1努力して自分で調べればわかること
2知人に聞けばわかること
3自分の10年後にはわかっているであろうこと
4私の個人的な見解
5プライベートに関すること
自説の開陳は論外。
正しい問とは自分から積極的に働きかけ、何らかの行為をすること。
効率よくすぐに答えを求めようとしないことが大事です。
・1000年前に語られていたように読む
本は目で読むものよりも声に出して読むもの。
夏目漱石の吾輩は猫であるなども声に出して読むことでその面白さが初めて伝わるように書かれている。
元々古典は口伝えで語られてきたという歴史がある。
・古典の一文を反芻する、誰かに語る。
覚えることで反芻できる。
誰かに話そうとすることで記憶に残る。
・本を偶然で選ぶ
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ネタバレ人新世の「資本論」
マルクスの思想の再評価と気候変動時代のポスト資本主義への提言を行っている本です。
資本主義が全てのものに限定価値を設定しそれをウィルスのように増やすことが最優先であるがゆえに、有限資源の地球上では限界を迎える。それが見えてきたのが気候変動。気候変動を限定的にして人が生き残るためには今のSDGSなどの生ぬるい規制では駄目で、資本主義そのものを捨てて使用価値に重きを置いて生産手段を共同管理するコミュニズムが必要と説いています。
主張としては理解できるのですが、紛争すら止めることができない人に今一番大切だと思われている富を捨てろと言った時点で実現性が乏しくなってしまうと思います。
竹蔵的にはAIによる生産性革命により生まれた膨大な富をベーシックインカムとして配り、好きなように生きられるようになれば、競争が好きな人は競争するでしょうが、そうで無い人は無駄な富を求めて地球資源を浪費しなくなるのでは無いかと思っています。
本書の中ではテクノロジーの発達により危機を回避することはできないと言い切っていますが、科学教の信者である竹蔵は可能性はあるのではないかと思っています。そう思うこと自体が宗教なのでしょうけど・・・
残念ながら最悪のシナリオとして、レミングみたいに崖から落下している時点で人は誤りに気づくのかもしれませんが、その時には海面が迫っている。
レミングは後悔しない(多分)ぶんだけ幸せなのかもしれません。
今までに5度の大量絶滅があったという学説がありますが、人新世が6度目にならないことを祈るのみです。
竹蔵