斎藤幸平のレビュー一覧

  • 倫理資本主義の時代

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    ナンシー・フレイザーの資本主義に対するヒステリックなディスりと比べ、大人な感じ。けど、結局、難しいは難しい。

    ナンシー・フレイザー → 白井聡 → 斎藤幸平 → マルクス・ガブリエル → 柄谷行人 → ナンシーへ戻るw

    「子どもをマイノリティにするな」は激しく同意。

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    2024年07月16日
  • 天才たちの未来予測図(マガジンハウス新書)

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    また読みたい。子供にも読ませたい。
    天才も平坦な道を歩んできたわけではないんだな。
    視野がかなり先まで見据えていて、深い。

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    2024年06月11日
  • コモンの「自治」論(集英社シリーズ・コモン)

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    人新世の「資本論」の斎藤幸平、「永続敗戦論」の白井聡、岸本聡子杉並区長ら
    そうそうたるメンバーが自治を語る、コモンを語る、自律を語る。

    正直難易度が高く、頭に入らないものもあった。
    一番理解しやすかったのは藤原辰史さんの農業の自治。

    古来人間は集って狩猟、農業を営んでいた。そこに自治があった。
    種の保管、水の確保、料理。
    最小単位の集団で、自分たちで取り決めをし、少しでも全体の収穫を大きくしようとした。
    ここに国が絡むと、年貢を納めることになるが、これを金銭で納めるようにすれば
    商売の考えが生まれ、余剰金で新しいものが買える。そこにも自治ができる。
    などなど、人類の歴史に根付いた自治の話は分かりやすかった。

    岸本杉並区長も、区長が一人で考えるのでなく、区民の声が区政を動かす、
    その流れをどう作るか。実験を進めてほしい。

    ・・と考えていくと、今の国政が自治とは程遠いことがよくわかる。
    国民の声を聴かず、省庁、大企業の思惑だけで多額の税金が動き、
    ものの見事にムダ金になる。
    前明石市長泉氏の成功の真逆をしている国。
    日本に相対的貧困者が15%もいる、というのは明らかにおかしい。
    やれ五輪だ外苑再開発だ大阪万博だと無意味な金、一部に利権が流れる金の使い方
    をする前に、能登半島支援もあれば、貧困層への対応があるだろう。
    少子化を問題視しながら、若者や子を持つ家庭に手を差し伸べない。
    大学に稼げと言い、奨学金という名の借金を学生に負わせる。
    あ、自治と話がずれてきた。
    いいたいのは、世襲議員と偏差値エリート官僚には、市民の声を聴く気がない、
    ということ。
    そんな奴らに国を任せてはいけない。
    というか、国の単位がでかすぎるのだ。
    今こそ道州制だ。
    まさに地方自治体だ。
    ・・・自治体もろくな職員がいない、という説もあるが、市民が見ている。
    距離が近い。空気が伝わる。
    国には外交と防衛だけやってもらって、それ以外の金の使い方は各道州に任せれば
    よい。
    逆にそうしないと東京一極集中がますます進み、地方が死ぬ。
    地方が死ぬ、ということは文化が死ぬ、ということだ。
    美味しいものも食べられなくなる。それでいいのか。

    ・・・この本の趣旨、斎藤氏の趣旨から反れたかもしれないが、
    私の問題意識だ。


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    2024年05月23日
  • ゼロからの『資本論』

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    面白かったー!現代社会の身近な出来事を例に引きつつ、「資本論」やマルクス思想の意義を問い直している本。難解な名著を噛み砕いて解説していて分かりやすかったー!
    資本論=学生運動のバイブルというイメージでしたし、旧時代の象徴と思い込んでいましたが、まるで今の時代の処方箋のようにも読めるのですね。
    (※私は「資本論」自体は未読です)

    ただ、この資本論的ユートピアが、どこまで現実社会にコミットできるのかは分からない。
    表層的な理解のまま共有されたり、時の政権に利用されるのは危うい。
    それこそ歴史の例として、現実の社会主義国家の実態とか、
    岡倉天心の「アジアは一つ」の言葉だけが一人歩きし、大東亜共栄圏の支えにされてしまったことを教訓にしないといけない。

    本書で解説されている「使用価値を重視する社会」の本質は、マオリのマナ思想が近いのかなと思うのですが、
    「コミュニティの貢献度」が、例えば「生産性」などという貧しい言葉に置き換えられて社会に浸透してしまったら、分断は進んでしまう。
    カネからは脱却できても、共同体や社会が求める「能力」を贈与できない者は、尊厳や相互扶助といった関係性から排除されるのか?という問題が出てくる。

    また、カネの介在しない贈与社会が実現したとしたら、モノや能力の価値が一定ではないわけで、交換には人と人との信頼が大前提になる。
    それって、資本主義に慣らされた私たちにとって、個人の成熟度がすごく求められる気がする。
    ご近所付き合いでの物々交換とはわけが違って、グローバル化が進み、多様な価値観が尊重される広いコミュニティ下での贈与行為は、高度な倫理観も鍛えていかなきゃいけない。

    あとは、上昇志向に代わる価値観として、社会から承認されることがもっと重視されていく気がする。

    …と言っても、SDGsの考えが自然と身についている若い世代の方々が、ボランティアや環境保護活動に積極的な様子を見ていると、
    そう悲観することもないかな、世の中は時々立ち止まりながら、ゆっくりと良い方向に向かっていくのかな、とも思います。

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    2024年05月23日
  • ポストコロナ期を生きるきみたちへ

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    (2022/1/8)
    2020年、まだコロナ第2波くらい、オリンピック延期、という段階で書かれたアンソロジー。

    日本の知性が集結している。多くの方が参加している。

    読み始めたとき、それぞれのお名前の横に簡単な肩書しか書かれておらず、

    もう少し人物紹介すればいいのに、、、と思ったのだが、巻末にまとめて紹介されていた。

    この本は中高生向きなので、それぞれの著者を知らない可能性が高く、人物紹介が長いとかえって予断を持って読み始めてしまうので、避けたのかな、と推察。

    私は彼らの著作を結構読んでいるので、背景を知って読むとより立体的に読めた気がする。

    一つ一つのコラムにコメントをするのは野暮なので辞めておくが、一番心を動かされたのは、雨宮処凛さんのコラム。

    ペット連れの要生活保護者をどう支援するか。役所は「犬を処分してから来い」と言い放つ。

    確かにその考えは自分の頭の中にもある。生きるか死ぬかの状態で支援を求めるのにペットなんて贅沢!と。

    しかしその一方、モノではなく生きているペットを捨てる、殺すなどできるはずもないと、、、

    我が家にも猫がいるが、極端に憶病なので、地震で避難所に行くことになったらどうなるのか?いやそもそも避難所が受け付けないか、、

    話戻ってそうした人を支援する彼女たち。当然お金が必要。これをどう集めるか。

    自分は寄付できるか?

    日ごろ人の役に立ちたい、などと言っていても、そこに目が向くか。

    反省。





    それに関連して、ベーシックインカムに注目するコラムもいくつか。

    クソ面白くない仕事をAIに任せる。

    イギリスをダメにした高福祉、働かなくても食えることに劣等感、感情を持たせるようにしたサッチャー。これは今の日本にもある。生活保護を受けづらくする。

    しかし金はあって暇がある、という状態が様々な文化を生む側面もある。

    オリザさんも別の切り口ではあるが、不要不急の芸術の必要性を訴える。



    ・・・もしAIが何でもやってくれて、富がうまく社会に分配されるようになれば、人々は金のためにあくせくするのではなく、本当に人の役に立つために、自分の好きなことをして働けるのではないかな。

    なまじ労働が貨幣価値に代替されるから、怠ける人が出るのでは、、、



    いくつかのコラムからそんなことを感じた。



    あ、それと、「椎名林檎になるための方法を教えてくれるのはどこの学校か?」と真剣に聞く大学生がいたという話は衝撃的だった。増田聡さん。

    正解が学校にある、と思っている日本の教育システムの膿のような話。



    。。。しかし、こういう本があるということは、日本の知性が捨てたもんじゃないことの証でもある。希望はある。

    こんなコロナ禍ではあるが、前を向いて生きていきましょう!

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    2024年05月21日
  • ぼくはウーバーで捻挫し、山でシカと闘い、水俣で泣いた

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    マルクス研究者の斎藤幸平さんが現場で学ぶに年間の話。「理論の重要性を信じ、理論と実践とは対立しないからこそ、私のほうがもっと実践から学ばなければいけない」と冒頭で話していたが、現場での小さな未来への萌芽を垣間見て希望を抱き、自分や社会の中にある新しい問題点を見た。面白かった。
    新しく知った知識
    コオロギは飼料効率(与える餌と得られる量の関係)が実は高い


    気になった団体、人
    ネクストグリーン但馬
    RE-SOCIAL  鹿肉の会社
    水俣市

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    2024年05月02日
  • マンガでわかる! 100分de名著 マルクス「資本論」に脱成長のヒントを学ぶ

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    あくまで資本主義の全否定というより、資本主義の欠点をこれからどう補うのか?という建設的な観点で読み込むことができました。

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    2024年03月27日
  • コモンの「自治」論(集英社シリーズ・コモン)

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    人新世の資本論で説かれていたことを、さらに具体的にどうやって実現していくか。それを斎藤幸平氏だけでなくさまざまなジャンルの人も語っている。

    杉並区長の岸本聡子さんの章がとてもおもしろかった。
    「共生」や「協力」「包括」「共有」といった、女性的価値で政治や選挙のやり方、組織のあり方をかえていくフェミナイゼーション、地域社会や草の根から発する市民の集合的な行動を大切にして「水平的で多様でフェミニン」なら関係を気づくことを志向することの大切さ(97ページ)とケアの視点、特にフェミナイゼーションが今年の私のキーワードになりそう。

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    2024年01月09日
  • ぼくはウーバーで捻挫し、山でシカと闘い、水俣で泣いた

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    人新世の資本論の著者だったとは。まだそちらは読んでいないが、この本の内容から斎藤さんには十分に興味を持てた。
    ちょっと現場に行ったくらいで全てを知ってるという顔はもちろんできないと思うが何も知らないから何も言わないは決して良いことではないと思う。
    知ったかぶりをしない、排他的にならないというのは心がけたい。

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    2024年01月02日
  • コモンの「自治」論(集英社シリーズ・コモン)

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    資本主義による大量生産、大量消費の時代は終わりつつある。この危機を乗り越えるためのキーワードは「コモン」である。私たちも生き方を見直さなくてはならない。

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    2023年12月05日
  • コモンの「自治」論(集英社シリーズ・コモン)

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    「はじめに」から続く7章と「おわりに」まで、著者それぞれの立場や専門ならではの視点から、「コモンとは?」「自治とは?」を終始問われ考えさせられるのだが、事例が分かり易いし文章も読みやすく、押し付けがましくもないのでずんずん読める。これまでモヤモヤしていたことにやっぱりおかしいものはおかしいと言おうと思えたり、具体的なヒントも満載の一冊。

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    2023年10月23日
  • ぼくはウーバーで捻挫し、山でシカと闘い、水俣で泣いた

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    もういい歳だし、世の中のことをちゃんと知りたいと思って手に取った。
    とても読みやすく、分かりやすかった。こういった本の中には、何となくテーマに沿って綺麗にまとめて終わりというものもあるが、この本は違った。著者の斎藤幸平さんが、自分はどう感じたかを正確にまとめてくださっていることにとても好感を持った。
    他の著書も読んでみたい!

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    2023年09月21日
  • 天才たちの未来予測図(マガジンハウス新書)

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    少子高齢化や格差社会など、明るい話題の少ない日本にも、大谷以外でこんなにも凄い人がいるのかと、少し嬉しくなる一冊。これからの日本、イヤイヤ世界をよろしくお願いします

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    2023年09月09日
  • 撤退論

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    現在のシステムの潮流でのカタストロフィの生じる前の方向転換を撤退論としている。
    コモンの再生と撤退ということで、斎藤幸平が、『資本主義から撤退して里山に行くだけでは不十分。何故ならそのままでは、資本主義が里山を含めた環境を破壊するから。』と言っていたところに納得。彼はだからこそ資本主義は止めなければならないという。当方はまだ、サステナビリティは社会という形での対応が必要と思っている。戦争、技術進化などに対応する上で、経済を止め切ることはできないと思うため。

    撤退とは、単に行くか戻るかの二者択一を意味しない。そのような二者択一を自分に迫っている世界観とは、全く異なる世界観へのパラダイムシフトを意味しているということである。

    難しいと考えているシステムの転換は、現代のシステムの思考の中て考えているから。

    そのためには、イメージから先に変われ。かえ?とは、目標わ着地点をへんこうすることではなく、現在流通している思考や、言葉遣いそのものを変えるということに他ならない。

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    2023年05月03日
  • 天才たちの未来予測図(マガジンハウス新書)

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     4人の天才たちとは,成田悠輔,斎藤幸平,小島武仁,内田舞。それぞれ,外国でも注目されている日本の知性たちです。
     このうち,わたしが著作を読んだことのある人は,斎藤幸平さんだけ。
     どの方の意見も,説得力に富んでいて,なかなか刺激的でした。

     本書の編集者である高橋弘樹氏は,「おわりに」で次のように述べています。

     この本はぜひ,ゆるめのBGMのかかったカフェや,ヒーリングミュージックのかかった寝室でゴロゴロしながら,読んでいただければと思います。(本書,207ぺ)

     わたしは,テレビが鳴っている様な場所では本は読めないのですが,自宅の炬燵に寝っ転がって,延べ4時間くらいで読み終わりました。そしてそれなりに主張も頭に入りました。編集者の意図が実現されていると言ってもいいでしょう。

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    2023年04月07日
  • 天才たちの未来予測図(マガジンハウス新書)

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    これからの日本社会はどう変調していくのか。
    4人の天才たちが最先端の知性で未来予想する。
    これからの自分の在り方にも参考になる本。

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    2023年04月03日
  • ゼロからの『資本論』

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    マルクスの資本論がわかりやすく入ってくる。説明が丁寧でシンプル。前半は特に、あっという間に読み進めることができる。

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    2025年10月15日
  • 別冊NHK100分de名著 パンデミックを超えて

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    この本の内容や感想・意見を、自分なりにどうにか要領よくまとめてみようと試みたが、諦めた。あまりに重く大きい投げかけだから。

    ただ、冷笑主義に陥らず、目を瞑らず、口を閉じず、自身を含む「悪」に向き合って、生きていきたい。生きていけるだろうか。

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    2022年06月07日
  • 撤退論

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    「まえがき」の内田樹の文章の衝撃たるや。
    21世紀末には、総務省の中位推定で、日本の人口は4700万人に。7000万人も減るという。
    そして、この事実を国は知ってはいるが、「このシナリオを国民に対して開示する気がない」にっちもさっちもいかなくなってから、我々に、さて、「日本は沈みつつありますが、生き延びる手立てはもうこれしかありませんと手の内を明かす」だろうと。
    その時には「強者にすべての資源を集中し、弱者は見捨てる」というシナリオは出来上がっている…。

    そうだろうと思う。そうなのだ。たぶんもう出来上がっているのだ。我々庶民はうかうかしてこれからだまされるのだ。

    この「まえがき」と白井聡と平田オリザの論考が、特に優れている。この三箇所だけで、この本は⭐️5つだ。

    白井聡はあまりにもハッキリとこの本で、誰もがそうではないか?と薄々気づいていたことを明らかにした。「われわれは根本問題の所在をはっきりと認める必要がある。日本の政治が見るも無惨な状態にあるのは、官僚機構が、あるいは政界が劣化しているからだというよりも、そうした堕落を許すどころか、腐敗堕落した勢力をわざわざ選択し、それに権力を与えている有権者の無知と堕落のためだ、という事実が正面から認められなければならない」

    とうとう言ってしまった(笑)
    ここを読んだ時間が寝る前だったので、その日は寝付くことができなかった…。白井さん!

    平田オリザの指摘も示唆に富む。
    西洋のリアリズムを情緒、感傷的に読み変える日本文化。
    この甘美な情緒が産むものは何か。

    せめてソフトランディングできたら、と願う。

    兪炳匡の「プランB 」が少しでも実現できたらと思うが、この国はできないだろうな…。
    兪さんの指摘、「著者が懸念するのは、現在の日本で生まれ育った人が、欧米諸国に留学ないし就職する際に、『基本的人権の尊重は建前であり、本音では揶揄・否定しても構わない』との言動をとりかねない」こと、さらに、「個人を評価する時に、日本では、仕事をする能力と倫理観・価値観を『足し算』によって評価」するが、「欧米での評価方法は、『掛け算』ですので、差別発言がある限り、高い研究実績を乗じても0以下になり」、「特定の大学だけでなく欧米の大学・政府組織・企業から永久に追放されます」は重く受け止めた。
    つい最近、映画人をはじめとする文化人のセクハラに関して、その作品までも追放するのか、という発言が、なんと新聞にまで登場したことが思い出される。
    言論人でさえ、足し算に疑問すら持たず、掛け算の発想すらない、その程度の知性が新聞をつくる国なのだなと思う。

    今回の「撤退」に関するアンソロジーは、しみじみ読んでよかったと思うが、しみじみ悲しくもなる。

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    2022年06月01日
  • 撤退論

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    涙あり、衝撃あり。15通りのメガネをかけさせてくれる、とても有意義な一冊。
    一人ひとりの論考をじっくり味わいたい、でも面白すぎるし文章の量も程良いのでもう1人読みたい、もしくはこの人の別の著書を早く読みたい、そんな気持ちになった。
    新しい時代がそこまで来ている、そんな予感がしてくる。

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    2022年05月30日