誉田哲也のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
「前科あり」の記号が付くと、その人の想いや人柄よりも、その記号で判断されてしまう。
記号は強い。記号を無視することはできない。
運転が上手くても免許が無いなら運転できない。建物の構造を理解していても建築士でないなら設計できない。
運転の下手な免許取得者や、設計の下手な建築士もいる。けど、「有資格者」の記号を持っていないと、土俵に上がれない。
問題は、資格はあとから努力で取れるけど、前科者の記号はあとから努力で消すことができないんだ。
罪を償ったこと。
それから⚪︎年間真面目に働いてきたこと。
信頼してくれる仲間が⚪︎人いること。
そういう新しい記号を、細々と増やしていくほかない。
まと -
Posted by ブクログ
ヒトリシズカ
著者: 誉田哲也
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あらすじ:
連作形式の警察小説。子どもの姿を見たいがために現れるであろう犯人を張り込む「俺」。思惑通り現れた犯人を逮捕し、取調べに向かう途中、庁舎の廊下である刑事に声をかけられる。連れて行かれた部屋で明かされたのは、ひとつの事件の裏に潜む、ある女の存在だった。そこから浮かび上がるのは、17年にも及ぶ、警察と“彼女”の執念の追走劇。点と点が徐々に線になり、やがて一つの真実にたどり着く構成が光る、緻密で濃密な警察小説。
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感想:
姫川玲子シリーズで知られる誉田哲也さんですが、本作でもその筆致は健在で、警察小説ならではのリアリティと緊張感が見事に描かれて