あらすじ
見えそうで見えない。手が届きそうで届かない。時と場所、いずれも違うところで起きる五つの殺人事件。その背後にちらつく女の影。追う警察の手をすり抜ける女は幻なのか。いまもっとも旬な著者の連作ミステリー。
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「静加」という女性が関わる複数の事件が、少しずつ絡み合いながら最後に一つの物語として収束していく連作小説。
どの事件の裏にも静加がいて、年齢からは想像できないほどの憎しみと狡猾さにぞっとした。
彼女をそこまで突き動かしたものは何だったのか。
読み終えても答えは出ないが、最終話にはほんのわずかに救いのようなものを感じた。守るべき存在を得たとき、人は同時にその存在に救われるのかもしれない。
決して明るい結末ではないけれど、静かに心に残る終わり方で、このラストには妙に納得した。サスペンスのようでいて、一人の女性の半生を描いた物語でもあり、『白夜行』を思わせる重くて儚い人生だった。
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audible 。刑事ものの連作小説。といってもいろいろな事件解決を一つひとつ片付けて行くだけではない。なんと17年にも渡る多くの事件に1人の女が関わっていた。
暴いた者も暴かれた者もまさしく人間であることを、強く印象づけられた本であった。
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結構かなり好きかも作品。めちゃめちゃおすすめできる。最初はただの警察ミステリかと思いきや、出てくる謎の女イトウシズカ。そのあと、関連なさそうな事件が何個も出てくるが、それが最後に1つの線となって現れる。個人的にはかなり良作であった。
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計6章、計6人の視点から事件の謎、一人の女性の謎を追っていくミステリー作品でした。一つ一つの事件は単調で、犯人の動機や背景にわかりやすいものが多かったですが、いずれの事件に静加という女性が関わっているというのが面白かったです。彼女が直接手を下しているものもあれば他者を巧みにコントロールして手を汚さないものもあって、謎を追えば追うほどに闇が深まっていく構成に痺れました。女性の強さ、儚さ、不気味さ、純粋さ、様々な側面をいくつもの短編を通して見ることができたように思えます。結末は悲しく、寂しさを感じずにはいられませんでしたが、最後の最後まで人々の想像を越えていく静加の凄さを感じられる終わりでもあったように思えます。人生とは、希望とは、幸福とは、なんなのだろう? そんな答えの出ない問いをしたくなるような……そんな余韻を感じることのできる作品でした。
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短編集的な長編小説に圧巻。さすが誉田さん‼︎
面白かった。
幼い少女の中の大人の部分に暗く闇を感じ、なんとも興味深い。
暴力をコントロールする。逞しい女性だ。
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今月の誉田哲也さん。毎月1冊ペースで読ませていただいてます。
悪女を追う連作短編でした。
エログロな表現が盛りだくさんというわけでは決してないのですが、怖い。
特に私は3つ目の腐屍蝶が怖かった。
解説でも触れらているのですが、誉田哲也さんの作品にはとにかく魅力的なヒロインがたくさん登場して、姫川玲子・門倉美咲・紅鈴・柏木夏美…どの作品も楽しませてもらっています。
本作のヒロイン…彼女が玲子と出会っていたらもう少し救われていたのでしょうか…
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2025.08.26
結論、男というとのは「美しい」女性に弱いという事実の確認ができた。
登場する主要な警察官はみな男性。そして、「善かれ」と思って判断を間違えて、結果的に大きな悲劇、失敗をもたらし続けるということ。
男、しかも中年から老年に差し掛かる自分には男のこの愚かしさが肌感覚としてわかるので、よけいにつらい後味。
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男性が射殺される事件が起きる
捜査を進めて行くとシズカという女性に行き当たる
シズカとは一体何者なのか?
暴力団を一掃したのは誰なのか?
残酷な事件なのにせつない気持ちになる
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時と場所、いずれも違うところで起きる五つの殺人事件。その背後につらつく女の影。追う警察の手をすり抜ける女は幻なのか。連作ミステリー。
事件から事件へとピースが繋がっていく話!!謎の女は、幸せになれたのどうか…
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一人の女性が関係する多数の事件から、その女性が浮き彫りになっていく。
暴力を肯定も否定もしない、ただ、利用する。
この作家の作品を寝る前に読むと、寝不足になってしまう。
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犯罪を繰り返す美少女が連作短編の形で描かれる。悪女である。『白夜行』の雪穂や『嗤う淑女』の美智留を思いだした。最後はもの悲しい『ヒトリシズカ』である。
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女はいつでも大人になれる
つくづくそう感じる事を再認識させられる内容だった。先にカンボジアの少女が売春宿に売られ、その後今度はそんな少女らを救うボランティア活動に営む人の本を読んでも思ったが男は心の底からクズだなぁと感じずにはいられない。誉田さんは癖のある登場人物を描かせたら天才だなぁ。
グイグイ引き寄せられて一気読み出来ました。
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バラバラな殺人事件がパズルのように繋がっていく構成が面白かった!
育った環境と大人が悪いのだけれど、それを踏まえても巧妙で残酷と思い読み進めると...終盤で明かされる素顔。
読後題名を見ると切ないな。
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事件を重ねて浮き上がっていく人物像にぞわっとする。それぞれの事件の概要をメモしておけば良かったと思うほど絡み合う5つの話。最後まで静加自身で語られる事のない部分にイヤミスっぽさがありつつも語られないからこそ彼女の暗さが浮き彫りになり魅惑的になるようにも感じた。
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話しが簡単すぎず難しすぎず、シリアスでワクワクできた完成された読み物でした!
時間軸を分けた物語であることを認識しておくと理解が深まりやすいと思います。
闇深い生活を送った少女は、思想も闇に染まりながらも妹に対しては本当の愛を注いできた。
誰が悪いのか、裁かれるものは誰なのか考えさせられると同時に、伏線もあるので読み物としても楽しめました。
登場人物多めなので、紙に書きながら読んだ方が理解が深まりやすいかも知れません。
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ヒトリシズカ 誉田哲也
この本では、女性の強さを感じました。1人の女性が徐々に闇に染まっていく描写であり、最後の結末は、誰もが予想しないのではないかと思います。
ある意味怖い
まるでホラーの短編集を読み解く様に物語が進んでいくのは斬新と言うか、テレビ的な演出ですね。
ただ、主役にしても誰にしても非常に短絡的に行動するのが理解に苦しむ、時間的な演出が少ないからか、突如ブチ切れた様にしか感じられないのがもったいない。
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ドラマ化もされた作品。
色んな事件が起こりストーリーはおもしろい。しかし、謎めいた女性、静の動機や心理がもっと詳細に描かれていれば納得感はあったのかも。
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ヒトリシズカ。
多年草の植物。春に白い花穂を一本だけ出す、はかなく可憐な花。
暖かく優しい面もあるシズカ。もっと別の生き方ができなかったものだろうかと。できなかったからこそのシズカなんだけど。
シズカの子供時代の様子を見ると、できるできない、のレベルではない感じもする。面白かったけど、あまり感情移入ができなかったかも。
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短編ハードボイルドだなぁと思っていたらいつの間にか繋がっていた。最後の繋がり方があっけない感じと終わり方に寂しさを感じるが、警察物はお手のものの作者らしいなと思った。
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ヒトリシズカ
著者: 誉田哲也
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あらすじ:
連作形式の警察小説。子どもの姿を見たいがために現れるであろう犯人を張り込む「俺」。思惑通り現れた犯人を逮捕し、取調べに向かう途中、庁舎の廊下である刑事に声をかけられる。連れて行かれた部屋で明かされたのは、ひとつの事件の裏に潜む、ある女の存在だった。そこから浮かび上がるのは、17年にも及ぶ、警察と“彼女”の執念の追走劇。点と点が徐々に線になり、やがて一つの真実にたどり着く構成が光る、緻密で濃密な警察小説。
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感想:
姫川玲子シリーズで知られる誉田哲也さんですが、本作でもその筆致は健在で、警察小説ならではのリアリティと緊張感が見事に描かれています。連作形式ながら、各話の登場人物や視点が異なり、それぞれの物語が独立していながらも、少しずつ共通点や違和感が積み重なり、ラストには全体が一つの大きな物語としてつながっていく構成が秀逸でした。
物語を通して浮かび上がる“彼女”の存在は、決して一面的ではなく、切なくもあり、恐ろしくもあり、人間の複雑さを感じさせます。警察官たちの描写にも、単なる正義感だけでなく、それぞれの葛藤や揺らぎがあり、誉田さんらしい「人間味のある警察小説」だと感じました。静かに、しかし確実に心を揺さぶる作品です。
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#ヒトリシズカ #誉田哲也 #警察小説 #連作短編集 #心理サスペンス #ヒューマンドラマ #犯罪小説 #ミステリー #姫川玲子ファンにおすすめ #人間ドラマ
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シーンが変わる度に、ガラガラっと登場人物が変わって、一つ一つは短編集みたいだが、キーとなる人物で繋がっていくようなギミック。それを象徴するような、ヒトリシズカというタイトル。フタリシズカではなく、ヒトリシズカ。どちらも花の名前だが、タイトルでギリギリまで前説してしまうという斬新さ。ミステリー展開にそこまで固執しなかったのか。
この小説家の作品を何冊か読んでいるが、得意なモチーフや設定があって、本作でもそれが見られる。癖みたいなものとも言える。タイトルの要素にそれも加わると、何となく次の展開が見えてしまい、世界観に上手く入り込めなかったのが本音。少し残念。
勿論、好きで読んでいるので、それなりに楽しめたのだから、たまには良いかと思いながら。
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暴力を利用することしか生きる道をみいだせなかった悲しい少女の物語。
でもそうするしかなかったほど人生を歪められた壮絶な過去、だからこそ守りたかった大切なもの。
社会的には誤った道を進んでしまったが、そこには少女なりの生への執念が感じられた。
ドラマを観ているようで、あっという間にサクサクと読めました。
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物語の始まりは引き込まれただけに、結末はややあっけなかったと感じでしまった。
偉そうにすみません。
不遇な運命の中、生きていく、生きていかなければいけない生命力には、感心させられました。
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短編連続小説。
悪女ものとしては、白夜行っぽい。
静加の動機がもう少し掘り下がっていればと感情移入しやすかったかも知れないが、読みやすいイヤミスでした。
Posted by ブクログ
連作短編集でした。
タイトルに惹かれつつ読んでいると1人の女性が関わってくる。それが最後のタイトル独静加にて結びつきます。
結局なんだかわからないまま終わった感じですが、女性は謎めいているなぁと感じました。
見えそうで見えない。手が届きそうで届かない。時と場所、いずれも違うところで起きる五つの殺人事件。その背後にちらつく女の影。追う警察の手をすり抜ける女は幻なのか。いまもっとも旬な著者の連作ミステリー。
Posted by ブクログ
たまにはこんな警察小説を読むのもいい。
古本市で手にしたこの本のお蔭で帰りの電車があっという間。
静加というひとりの女性がくっきり浮かんでくる。
願わくば探偵の遺体が発見されますように。
Posted by ブクログ
一人静かに
都内の発砲事件を始めとし、多くの事件に関与する謎の女性に迫った連作短編集。
年月をかけて様々な角度から描かれるミステリアスな人物像は、狂気的でありながら神秘的にさえ映ります。しかし、最終章を読み終わっても輪郭がぼやけたままで消化不良でした。彼女視点の描写もあった方が良いと思います。美化するだけでなく、もっと泥臭さを感じるような内面も見たかったです。