誉田哲也のレビュー一覧
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離婚して東京の谷中に戻った沢口、その近くにお店を構えている乾、女子バンドを作ろうとする高校生・佐藤。3人の視点によって繋がれる、あるグループによる絆。嫉妬や情熱の詰まった青春群像劇。
誉田さんの作品というと、「ストロベリーナイト」や「ジウ」など警察小説が印象に残っているのですが、「武士道シックスティーン」や「世界でいちばん長い写真」といった青春小説も手がけていて、その幅広さに驚きがありました。
今回は青春小説で、それもテーマは「音楽」。最後の解説に書いてあったのですが、作家の前はミュージシャンを目指していたそうです。
なので、ギターの知識や演奏、音楽に対する情熱などが丁寧に書かれていて、青春ならではの爽やかさも相まって、清々しい気持ちになりました。
物語の構成は、3人の視点が変わるがわる変わっていきます。沢口と乾の物語は、一緒の世界観でわかるのですが、高校生のパートは、異なっています。読み進めていくうちに、いつしか一つの物語として合体していきます。
こうなっていくんだと段々と3人の物語が繋がっていくことに驚きとともにちょっとした満足感も味わえました。
高校生の作るバンドが、爽やかに描かれていながらも、そのメンバー一人一人の考えや嫉妬などビターな部分も丁寧に書いていて、共感する部分もありました。
一緒に活動していると、どうしても他人と比較してしまいます。自分よりも優れていて、その人に追いつこうと練習しても、なかなか上達しない。そういった苛立ちやバンドの目指す方向がバラバラになる時のメンバー間の溝が、日常生活と似ている部分もあり、辛いわとも思ってしまいました。
そういった経験を経てのバンドに起きた悲劇。さらに辛さや痛みも加わり、ため息が出るばかりでした。
しかし、その後のストーリーが感動を誘い、同じ経験をしたからこそグッとくるものがあって、よかったねと思ってしまいました。
進んできた道は違えども、再会すると今までのことが昨日のように感じます。昔の友達と久しぶりに会ってみようかなと思わせてくれた作品でした。 -
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The 青春
宏伸がカメラと出合い、カメラを通じて成長していく。宏伸目線で書かれていて、読みやすかったです。
ただ、従姉がクチが悪すぎて。この時代にこんな女性いるのかって。違和感をおぼえながら読みました。 -
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姫川玲子シリーズ第8作。
玲子さんも何だか丸くなったものだ。『一つ歩を進める前に、一瞬だけ立ち止まり、考えてみる』とか、子ども相手に自らを「おばちゃん」と呼んでみたりとか。
周りから“死神”と呼ばれるほどに近しい人が次々と死んでいけばそうもなろうというものだが、もう35歳になるようだし、時の流れを感じるな。
(そう言えば、竹内結子さんも死んじゃったな。どうして、あんなことになるんだろう…)
さて、物語に入れば、亀有署にいる湯田を引っ張り出し葉山や井岡や石倉も登場するなど昔の事件や作中の人間関係を肴にしながら進む、シリーズ物ならではの作り。
冒頭から3つの話が輻輳して描かれる。埼玉の女子高校生の失踪(?)事件、玲子が配された葛飾のマンションでの女子大生殺し、ガンテツこと勝俣が関わる政治家絡みの不穏な動き。
本も半ばを過ぎてそれぞれの繋がりが見えてくるのだが、それにしても女子高生の失踪があんなことに繋がっていくなんてね。結構面白い展開でした。
で、今回もまた自衛隊とともに憲法改正について触れられる。
こういう本の中で正面切って語られるのはあまり良しとは思わないのだけど、417頁を読んで改めて日本国憲法の前文を読んでみた。
久し振りに読んだ気がするが、この憲法が出来て20年後あたりに私らが学んだ時代では国民の思いにもしっくり来たと思われるこの文章も、確かに今の世界情勢の下では考えるべきところはあるかな。
勝俣のセリフに『…問題を放置してきたのは、この国の政府だ。ただ、そんな国の代表を選び続けてきたのは俺たち、日本国民だ』とあるが、コロナ禍の世の中でも平気で夜の銀座に繰り出す国会議員の姿を見るにつけ、同じく『砂場の砂をひと粒ひと粒、縦に積み上げて塔を築くような…そういう人間を代表に選ぶしかねぇ』というセリフに首肯。
まあ、勝俣も若い頃は正義感に燃えた優秀な警察官だったのだな。今回でも良いところあるしな。
一場面しか出て来ないが「見当たり捜査班」の人たちがグッドジョブ。
初めて登場した検事の武見と玲子さんがどういった関係になっていくのか、かなり心配。 -
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疾風ガールの続編
前作のラストで、ペルソナパラノイア・ラストコンサートを観た梶尾が正式に夏美を勧誘した事で、無事フェイスブロ入りした夏美。
初の音楽系アーティストをプロデュースするにあたって、敏腕プロデューサー・石原を招聘したフェイスだだったが、夏美のデビュー曲「Thanks!」が急遽清涼飲料水CMのタイアップと決まり、その曲製作を巡って「データ打ち込み」で行こうとする石原と、バンドの一発録りを主張する夏美が激しく衝突してしまう。
どちらもが折れる気配の無い中、梶尾が動き…
電光石火、天才ドラマー・池上ゴンタを押さえ、ベースは夏美で行くという落とし所を見つけるのだった。
ゴンタとのリズムパートのセッションで、最高の感触を得た夏美は、上機嫌で歌録り、CM撮影を順調に終えるが、ふと覚えた違和感の正体が自分が本当にやりたい事がバンド活動である事に気付き決意を新たにする。
すると程なく、七年前失踪した父親らしき人物から連絡が入り感動的とは言い難い再会を果たすも、父親の置かれた状況に気を揉む中、期待を上回るヒットを遂げたCMの打ち上げで、伝説のピアニスト・井場岳彦(ガク)と出会う。
一方、
祐司がミュージシャンを諦めるキッカケとなったシンガー・島崎ルイは、恋人でありプロデューサーの秋吉ケンジとの破局によるゴタゴタで干され、尚且つエクセルレコードとの契約で身動きが取れない状況の中、フェイスプロに助けを求めてくる。
やがて、嫌がらせに等しい契約の消化方法を模索する梶尾は、年末のスペシャル生番組での夏美とのデュオ構想をブチ上げる。
もともとルイを毛嫌いしていた夏美は…
借金を背負った父親との関係、そしてゴンタ・ガクのバンド参戦は… -
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4.3
最近中毒のように誉田作品を次々読んでいるが、「幸福の条件」以来久々のハートフルな青春作品で、メチャクチャ楽しんだ。
この人の中に潜む二面性というか、この両極端な表現を見るに、作家というのは凄い商売だなと…
自身の心の襞を、恰もストリッパーの如く晒すような・・
過去、メジャーを夢見るバンドマンだった宮原祐司は、バンドの兄貴分だった梶尾が専務を務めるロリ顔・巨乳アイドル専門の芸能事務所、フェイス・プロモーションで、スカウト活動に明け暮れていた。
ある日、予定に穴を開けたお詫びに訪れたライブハウスで、オーナーに薦められて観たペルソナのステージで、紅一点のギタリスト・夏美に釘付けになる。
かつて、スカウトした一人の女の子の貴重な時間を食い潰してしまったトラウマから、魂の抜けた仕事を続けていた祐司だったが、夏美に賭けてみたいという想いに取り憑かれて行く。
夏美の付き人・真緒の応援もあり夏美との関係を深める中で、ある晩夏美の心酔するペルソナのボーカル・薫が自宅マンションの駐車場で自らの命を絶つ。
夏美が「このままずっと一緒に演って行きたい」と、自分の想いを伝えた直後の事だった。
薫の生い立ちや出身地すら
知らなかったメンバー達は、刑事から城戸薫という名前が偽名であった事を知らされる。夏美は今まで魂で繋がっていた筈の薫の全てが、幻だったかのように思えて来るのだった。
そんな、抜け殻のようになった夏美の元に訪れたのは…
思いつきに等しい手掛かりを元に、薫の真実を探す旅に出た夏美と祐司は…
何が薫を死へと誘ったのか
そして、
夏美のメジャーデビューは…
◯柏木夏美…ペルソナ・パラノイアというロックバンドのギタリスト。相棒はレスポールジュニアWカッタウェイ。天才的音楽センスを持ちピアノ・バイオリンもこなす。薫に憧れ女性バンド、ピンクノイズからペルソナに移籍した。
父親が倒産し、母親を癌で亡くしている。
◯城戸薫…ペルソナのボーカル。超美形で夏美の憧れの男。物静かで透明感がある。
◯真島塔子…薫の年上の同棲相手。凄い美形のキャバ嬢。
◯平泉真緒…夏美を信奉する高校生。付き人だが、ほぼバンドのマネージャー。
夏美にはペルソナよりももっと上のステージがふさわしいと思っている。
◯木村仁志…ペルソナの天才ベーシスト。下ネタ連発のスケベ男だがベースを持つと人が変わる。
◯畑中出…ペルソナのリーダーでドラマー。
◯葉山千鶴…祐司の彼女。
◯広田麻紀…元・ピンクノイズのボーカル。夏美とは一番ソリが合わなかった。結婚して一児を儲ける。
◯奥田謙造…元は有名なチェリスト。事故で妻と才能溢れる長女を亡くした。
薫の…