誉田哲也のレビュー一覧
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警察小説の重鎮、中堅どころ4人の作家による文庫オリジナル短編集。
偶に読みたくなる刑事もの。
事件が発生して捜査本部が立ち上がる。
本部による捜査では働き方改革なんてもってのほかのブラックな労働環境。そこにカタルシスを感じてしまうのは昭和生れの名残りか。
本部と所轄、ベテランと若手、幹部と下っ端。
組織、チームならではの人間模様には確執、軋轢が蠢く。
地道な捜査から浮かび上がる細々とした点と点。それを繋ぐ線はベテラン刑事の長年の経験とある種のカン。ベテランは新人若手を育てる。
ま、警察小説の醍醐味は語り尽くせない。
なので見応え十分な長編も捨てがたいが、キレの良い短辺もナカナカ。本書もそんな感 -
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「ジウ」とは最初は単純に名前かニックネームかなとは思っていましたが、Ⅱでは「自由」が転じて「ジウ」と呼ばれることになったことが書かれていました。
その人の本性とはどれが本当なんでしょうね?私自身についてもよくわからなくなる時があります。家族の幸せを願い、家族を養うために一生懸命働いている自分。一方で犯罪に手を染めることは考えずとも、簡単に大金を手にして好きなことをして生きたいと思う自分。親、兄弟、家族、世間とのしがらみが一切なく自由に生きれるとしたら、どんな生き方を望むのか。そういう環境に置かれてみないとわからないですね。もしかしたら私もアッチ側?の人間かもしれないとか考えると怖くなります -
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何か仕事人らしくなってきたな!
セブン。
ジウと繋がってきたけど、あの頃のストーリーとは、全然別モンって感じ。
歌舞伎町の守り神な感じの役割やけど、そんなに回りで人死んだら、大丈夫なん?って気はする。
でも、歌舞伎町が何でもありな町なんで、ええんかな?
ジウの後継者を謳ってたダムドやけど、そんな貫禄もオーラもないで!
ただのイかれたジャンキーにしな見えない。ジウもイかれてたけど、こんなのではない。役者が違い過ぎて、少し残念。
しかし、あの頃と同様に「新世界秩序」は健在!法律も何でも捻じ曲げて、自身の理想を再構築しようと企む。
唯一、良かったのは、捻じ曲げたお陰で、復活したミサキだけか…
「 -
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多数の犠牲者を出した『西大井信金爆破事件』。
背後にジウが…
公安にも動きが…
警察内部に…
新宿で大沼総理大臣拉致監禁事件が。
そして、歌舞伎町が封鎖される。
事件の背後にはジウとミヤジが。
そして、基子も…
基子はダークサイドにおちてしまったのか…
小野とともに基子救出に歌舞伎町に潜入する美咲。
基子を救えるのか…
どうなってしまうのか。
凄まじい展開。
圧倒されるスピードで進んでいく…
ジウはかわいそうな人間だった、親の愛情を知らない。
だからこそ、基子に『生きろ』って、言ったんだろう。
基子のお腹の中の命を思って。
基子と美咲はどうなるのか…
基子のお腹の中の命は…
ミ -
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ネタバレ-------------------------
秒で、
犯人が見つかる—
テクノロジーとプライバシーが
せめぎ合う現代社会
刑事たちの苦悩と覚悟を
重厚に描いた警察小説
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ちょうど似たような時期に池上彰のスパイの本を読んでいて、そりゃ盗聴も監視もあるんだろうなあ、と。
スパイですら(その職責に覚悟を持っている人であっても)精神を病む人がいるという話だから、警察官であれば正義と反するかもしれない行動(プライバシーの侵害)とのジレンマは大きいものだろうと思います。
しかも、私たちが日々利用しているインターネットの範囲ではなく、さらに深く暗い -
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「疾風ガール」の続編
前回は、バンド仲間の自殺がメインだったけど、「ガール・ミーツ・ガール」は主人公がメジャーデビューするという、音楽中心のお話。
だからバンドやってる自分からすると、こっちの方が面白い。
ただし、やっぱり続編なので、読むんだったら「疾風ガール」から読まないと面白くないと思う。
さて、誉田哲也。
「武士道○○ティーン」の香織と早苗のやり取りがとてもテンポ良く笑ってしまうのだが、この「ガール・ミーツ・ガール」でも、同じように女の子たちのやりとりが展開する。
これが心地よいんだな。
面白い小節です。
前回も書いたけど、読んでるとどうしても映画にするんだったらどういう配役がイイか、 -
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誉田哲也さんの作品でもトップクラスのエゲツなさを誇る作品です。
R18という文句も頷ける、とても残酷な話ですが、不思議と心が痛まず、物語は静かに進むのに何故か高揚し読む手を止められない、そんな不思議な小説です。この内容で清々しい読後感を得られるのは不思議でなりません。
自分は「救い」の物語だと感じました。
主人公は根拠がないにも関わらず姉の死には隠された真相があると考え、調査します。果たして隠された真相はあったのか、あったとしたら辿り着けたのか。辿り着くことが主人公の救いになったのか、辿り着けないことで救われたのか。
すべての主要人物にとって、それぞれ救いが設けられています。そして、すべて