誉田哲也のレビュー一覧
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魚住シリーズ二作目。
現在と回想録の二つの章が交互に書かれ、最後には交わっていく書き方が、シンプルで長編でも飽きさせない内容であった。心理描写や内面にフォーカスしているからか、肚という文字が何度か使われており印象的だった。
一部二部とイタリア語の作品名称で続いていることも気になる。
今後色んな誉田作品をみることでそれらも読みとることができれば嬉しい。
客観的には馬鹿げているような犯人だが、こういう狂気にも似た自分勝手な輩は実際の世界でもいないとは思えない。自分は大丈夫だと思っていても、巻き込まれた時は予想外に抜け出せない状況に陥ると思う。そんなリアリティさも感じられた。 -
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ネタバレ武士道シックスティーンからこのシリーズにハマって、これがシリーズ最終巻になるのかな。
シックスティーンの時に出会ったがさつで勝利至上主義で剣道一筋の磯山香織と、本来剣道はやりたくて始めたのではなく日本舞踊の延長線上で剣道と出会った西荻早苗の剣道を介して始まった友情と剣道との向き合いがすごく面白く、このシリーズはその後セブンティーン、エイティーンと続いた。
そして、ジェネレーションだ。
それまでのシリーズは剣道とこの二人を中心にした様々な試合や部活などの話がちりばめられていて、あっという間に毎回読み切れるハラハラドキドキの楽しい小説だった。いや、今回がそうでないわけではない。
ただ、早苗が大学生になり日本史を勉強したかった早苗の目指して入った大学の教授が退職されていて、その思想的な部分(慰安婦問題はなかった、南京大虐殺は無かった)という話の組み立てが、中高生が読んでなんか一方的な知識を色を付けてしまうのではないかと心配した。確かに、慰安婦問題は朝日新聞の記者の間違った部分のある記事が下げられたが、慰安婦問題は全くなかったわけではないし、南京大虐殺も人数には誇張があるかもしれないが、全くなかったわけではない。どちらも戦争という狂乱した世界では起こりうることであり、現にその被害者や記録があるのだから日本に都合の悪いことは無かったと言い切るこの小説の書き方は??であった。
早苗が結婚した充也の友人のアメリカ人ともその後そのことで論戦を繰り広げたりするのだが、このあたりの心情的な部分は作家の思いが大いに露呈したのだと思う。
小説は早苗の夫充也と香織が通う桐谷道場が廃業するかもしれないという部分が今回のストーリーの真ん中にあり、その方針を何とか香織が阻止しようと充也とその方針を変えるために道場に伝わる裏剣道?を伝承して道場主の玄明先生に納得してもらおうと必死に習得していく中で、様々なストーリーが流れていく。
結婚した早苗と充也の夫婦仲もそれによっていろいろと波乱があるがこの小説は基本ハッピーエンドなのは変わらない。
ただ何度も書くが、歴史観を一方的な視点から押し付けている部分はいかがなものかと心配する。 -
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32歳のこじれた女と高校生のガールズバンドの話が並行的に語られる。
ページが進むにつれて、どうやらこれは現在進行形のパートと昔語りを織り交ぜているらしいと見えてくる。
けどイマイチ全容が掴め切れないのは、二つのパートの語り部である「私」が別人であり、主人公の内面と外面が微妙に異なる表情を見せるためだろうか。
二つを繋ぐピースはある。冒頭、殊更意味ありげに示される「ルーカス」とタイトルにある「二人のルカ」。
ぶつりと途切れた少女たちの不完全燃焼の夏と、その後も熾火の様に燻ぶり続ける焦燥感が、ふぅっと色を取り戻して穏やかに動き始めるまでの物語。
まぁ何れにせよ。
瑠香、今からでも絶対お祓いした方がいいと思うぞ。 -
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ネタバレ天才ギタリストである夏海が、薫という自殺したバンド仲間の人物像を探し求める話。
あらすじには青春小説と記載されているが、ミステリー要素も少なからず含まれている。
『疾風ガール』というタイトルは、音楽という舞台で天辺に向かって走り続ける夏海のことを指しているのだろう。しかし、私は、物語の後半で突然現れる麻紀こそが、「疾風ガール」と呼ぶにふさわしいと考えた。
夏海が輝くことで、周囲がどのような影響を受けるか。厳しい内容を伝えるだけ伝えると、麻紀は早々に去っていく。脇役なのだが、歯に衣着せぬ物言いで、大事なことを発信する彼女に、とても魅力を感じた。 -
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青春ガールズバンド小説!ちょいミステリ、ほんのり恋愛模様、といった作品。
誉田さんの青春小説が好きです。特に女性ものの。誉田さんの描く女性はとても魅力的なので。「容姿か整っていて、ある面に突出した才能があるけど、どこか抜けてる(変人)」キャラが誉田さん作品には、よく登場する気がする。今回は「ヨウ」が該当してるかな。天才肌というか、爆発的な感じ、が気になり、そこから怒涛の展開からの、終盤は胸にグッときました。天才もやっぱ生身の人間なんやな。
余談ですが、誉田さんはアイドル(坂道系)のファンなのですが、たまたまかもしれませんが、登場人物の名前がそのアイドルに引っ張られているような気がしました(笑)
その視点から読んでみても楽しめます。。 -
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魚住久江シリーズ第2弾。本作は長編。
前作「ドルチェ」同様、派手さはなく地味な展開だが、それだけに人と人との繋がりが丹念に描かれている。
魚住を中心とする警察関係者の視点と、事件に至るまでと事件自体を体験している被害者・加害者の視点が交互に描かれている。その分、人が人を思う思いや人の性などが描かれ、事件に至る経過が徐々に分かるようになっている。よく犯人逮捕後の自白で事件の真相が見えるという小説があるが、本作はそうした急な流れではなく、徐々に本質に近づいていくという印象。そのため本来なら切羽詰まる誘拐事案ではあるが、そこまでのスピード感はなく、むしろじっくりとした感じを受ける。