あらすじ
あの夏からずっと、大人って何か、考え続けてる――。
離婚し、東京・谷中に戻ってきた沢口遥は、近所に『ルーカス・ギタークラフト』という店を見つける。
店主の乾は、ギターだけでなく日用品の修理も行う変わり者。
彼と交流するうち、遥の脳裏に、蓋をしていたある記憶が甦る。
大人になりたい少女、大人になりたくない少女、大人になってしまった少女。
それぞれの悩みと思いが交錯する。青春の葛藤と刹那の眩しさに溢れた群像劇。
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誉田さんの青春シリーズ。お得意の音楽物。
次々と場面が変わり、時代も変わるのだが、いつ誰の話か分からず混乱してくる。タイトルの「二人のルカ」は途中で明かされるのだが、今一つハッキリしないまま終盤まで来てしまう。苗字に秘密の仕掛けがあった。
高校2年から3年にかけての女子高生達の音楽にかける青春が熱い。思いがけずの事件とガールズバンドの崩壊。32歳になった現在、意外な形でバンドが復活する。最後の展開に全てを持って行かれてしまった。
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3人の視点で過去と現在を行ったり来たりします。
一人目のルカはすぐに出て来るが、二人目のルカが最初登場せず、早く知りたいと思いながら読み進めました。
あの夏に対するノスタルジックな気分になれました。
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2つのパートに分かれて話が進む。
大人になった遥の視点のパートと女子高生クミ視点のパートを中心にストーリーが展開される。
遥は、今の現状に全く満足しておらず、自分も、周りの世界も好きになれない。まるで青春時代に何かを忘れてきてしまったような少し暗い生活を送っている。
彼女の鬱屈とした様子は読んでてとても共感できて、どんどん話に引き込まれていった。彼女はこの先どうするのか、奥底にある考え方はどんなものなのかずっと気になってしまった。
私自身、いつも後悔ばかりで、出来ることなら彼女みたいに全てを投げ捨ててどこかに逃げてしまいたいと思うことが何度もある。
一方で別パートの語り部となるクミの学生時代のバンドの話は遥のパートと対照的に明るくて瑞々しい青春時代が描かれる。
物語が後半になるにつれて見えてくる遥という人物のロックな気質。大人への反抗心。それが所々細かい描写のある楽器屋音楽の描写ともマッチしていてとてもよかった。
大人になるとはなんなのだろう。
瑠夏は人のために一生懸命になれる人のことだと言った。これは正直その通りだなと思う。仕事でも、学校でも、他人や仲間や会社のために自走できる人が周りを引っ張っていく。
でも大人になるのが全てではないように思う。
最後遥は大人になって、新しい生活を始めていくような終わり方だった。
ただ正直、個人的には学生時代のギラギラした尖った魅力が抜け落ちてしまったようにも感じてしまった。これは大人にはない子供の魅力もあるということなのかもなと、思った。
学生時代の行動力や内に秘めたエネルギーのようなものは大人になったら無くなってしまうような気がして少し寂しかった。
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軽音部だったころを思い出して、重ねてしまった。
ギターが弾きたくなる。
考えるよりもまず会ってみた方が良いこともあるし、少し視野を広げれば思い悩むことでもなかったなんてことは、いっぱいあるだろうなあ。
後味スッキリでとても楽しめた。
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つくづく、巧みな作家さんだと思う。誉田氏の「武士道シリーズ」が好きで、同じ「青春もの」と思い、手に取った。時間軸が交差している上に、「私」が入れ替わるので、中盤以降まで、かなり複雑な構成で、先が知りたくて止められず、一気に読んでしまった。高校生たちの(当人たちには苦々しくも)甘やかな、複雑な気分が甦るような、懐かしいような雰囲気…。最後は一気に爽やかな読後感で、いい気分を味わえました。
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誉田哲也の青春小説
離婚して地元に戻った女性、その街でギター修理を営む男性、バンドを結成し活動に励む女子高生の3つの視点から、あるバンドにまつわる顛末を描いています。
誉田哲也の青春モノ、音楽モノに間違いはありません。一気読みにて・・・大満足でした!
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感想
最初に主人公が女性であることにオッとなった。話が進むうちにそう言えば、私が誰なのかを明かしていないなぁと気づく。
中盤になって主人公が明かされ、過去との繋がりも明らかにされていく。
才能があっても開花しないこともあるんだなぁ。など感じながら読んだ。
あらすじ
離婚して誰もいない実家の持ちビルに帰った遥。下町である近所にギタークラフト屋を見つける。
一方、久美子は高校生の時にバンドを組んだ。久美子の家はスタジオをやっていた。バンドメンバーを探すべく、実悠、翔子と出会い、後に瑠香、ヨウと出会う。
遥は、気になっていたギターリペアの乾と知り合う。やがて乾の妹が、バンドをサポートしていた瑠香であることが分かる。また、現在の遥が、回想で出てくるヨウと同一人物であることが分かる。
バンドは久美子が瑠香もメンバーだと言い、RUCASという名前にする。そのうち久美子の従兄弟の音楽プロデューサーの慎ちゃんが、一度バンドの音を聴いて、デビューさせたいと言われる。ヨウはそれを快く思わない。
RUCASのメンバーは文化祭での演奏を成功させ、バンド活動を続ける。慎ちゃんの進めで、オーディションに出ることになった。しかし、オーディションで瑠香がトラブルに巻き込まれて、怪我をする。メンバーはヨウに隠して演奏させるも、ヨウは後で瑠香のことを知らされて、激怒し、活動を辞める。
遥は、乾に頼み、瑠香の居場所を突き止める。14年ぶりに再会した二人は、お互いの情報を交換する。そして14年ぶりにバンドのメンバーが再会することになる。
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女子高生のアマチュアバンドを中心とした物語
3人の視点からストーリが進むが、いつ2人目のルカが出てくるのか、2つの時間軸がどう関係してくるのか、ワクワクしながら読み進められました。
思春期特有の行動とか物の考え方とか、瑞々しくて楽しかった。
時間を経て、丸くなって、それも味があって悪くない。
その時その時の、人の輝きを感じた。
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姫川玲子、ジウシリーズの著者が書いた、音楽と青春群像ストーリー。刑事・警察ものとは全く異なる著作で、同じ著者が書いたとはとても思えないような、爽快感溢れる青春もので、姫川シリーズ、ジウシリーズを読んできた私からすると、あまりの落差にびっくりした。
かつて音楽をやっていたという著者だけに、音楽・楽器に対する知識は豊富で、音楽に打ち込む若者の考え方、モチベーション、葛藤、歓びをとても上手く描いていると思う。ジャンルは違うが青春時代から音楽に打ち込んできた私の思い出と重なる部分も多く、とても共感できた作品だった。
また、高校生だった青春時代の物語と、一見全く異なる現在の物語が最後に一つに収斂するところも読んでいて楽しめた。ヨウのボーカルを一度でいいから聴いてみたい。
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誉田哲也のあの夏、二人のルカを読みました。
物語は高校2年生の夏、ギターとボーカルの遙、ドラムの久美子、ベースの実悠、ギターの翔子、そして瑠香の5人でバンドを組んでいたときの久美子の視点で語られていきます。
音楽に目覚めて練習を続けていく彼女たちは文化祭での演奏に向けて準備を進めていきます。
そしてこの物語に、15年後離婚して実家に帰ってきた遥の視点と楽器修理のルーカス・ギタークラフトの店主乾滉一の視点での物語も交互に語られていきます。
遥と滉一と仲間たちの接点はどこにあるのか、わくわくしながら読みました。
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32歳のこじれた女と高校生のガールズバンドの話が並行的に語られる。
ページが進むにつれて、どうやらこれは現在進行形のパートと昔語りを織り交ぜているらしいと見えてくる。
けどイマイチ全容が掴め切れないのは、二つのパートの語り部である「私」が別人であり、主人公の内面と外面が微妙に異なる表情を見せるためだろうか。
二つを繋ぐピースはある。冒頭、殊更意味ありげに示される「ルーカス」とタイトルにある「二人のルカ」。
ぶつりと途切れた少女たちの不完全燃焼の夏と、その後も熾火の様に燻ぶり続ける焦燥感が、ふぅっと色を取り戻して穏やかに動き始めるまでの物語。
まぁ何れにせよ。
瑠香、今からでも絶対お祓いした方がいいと思うぞ。
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青春ガールズバンド小説!ちょいミステリ、ほんのり恋愛模様、といった作品。
誉田さんの青春小説が好きです。特に女性ものの。誉田さんの描く女性はとても魅力的なので。「容姿か整っていて、ある面に突出した才能があるけど、どこか抜けてる(変人)」キャラが誉田さん作品には、よく登場する気がする。今回は「ヨウ」が該当してるかな。天才肌というか、爆発的な感じ、が気になり、そこから怒涛の展開からの、終盤は胸にグッときました。天才もやっぱ生身の人間なんやな。
余談ですが、誉田さんはアイドル(坂道系)のファンなのですが、たまたまかもしれませんが、登場人物の名前がそのアイドルに引っ張られているような気がしました(笑)
その視点から読んでみても楽しめます。。
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青春と恋愛と癒しが詰まった物語です。女子の複雑な心理描写が秀逸でした。そして、バンドなギターにちょっと詳しくなった気がします。なんか、高校生に戻りたい…なんて思ってしまいました。
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離婚して東京の谷中に戻った沢口、その近くにお店を構えている乾、女子バンドを作ろうとする高校生・佐藤。3人の視点によって繋がれる、あるグループによる絆。嫉妬や情熱の詰まった青春群像劇。
誉田さんの作品というと、「ストロベリーナイト」や「ジウ」など警察小説が印象に残っているのですが、「武士道シックスティーン」や「世界でいちばん長い写真」といった青春小説も手がけていて、その幅広さに驚きがありました。
今回は青春小説で、それもテーマは「音楽」。最後の解説に書いてあったのですが、作家の前はミュージシャンを目指していたそうです。
なので、ギターの知識や演奏、音楽に対する情熱などが丁寧に書かれていて、青春ならではの爽やかさも相まって、清々しい気持ちになりました。
物語の構成は、3人の視点が変わるがわる変わっていきます。沢口と乾の物語は、一緒の世界観でわかるのですが、高校生のパートは、異なっています。読み進めていくうちに、いつしか一つの物語として合体していきます。
こうなっていくんだと段々と3人の物語が繋がっていくことに驚きとともにちょっとした満足感も味わえました。
高校生の作るバンドが、爽やかに描かれていながらも、そのメンバー一人一人の考えや嫉妬などビターな部分も丁寧に書いていて、共感する部分もありました。
一緒に活動していると、どうしても他人と比較してしまいます。自分よりも優れていて、その人に追いつこうと練習しても、なかなか上達しない。そういった苛立ちやバンドの目指す方向がバラバラになる時のメンバー間の溝が、日常生活と似ている部分もあり、辛いわとも思ってしまいました。
そういった経験を経てのバンドに起きた悲劇。さらに辛さや痛みも加わり、ため息が出るばかりでした。
しかし、その後のストーリーが感動を誘い、同じ経験をしたからこそグッとくるものがあって、よかったねと思ってしまいました。
進んできた道は違えども、再会すると今までのことが昨日のように感じます。昔の友達と久しぶりに会ってみようかなと思わせてくれた作品でした。
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大人になっても忘れられない過去の夏
学生時代バンドに打ち込んだあの夏を現在、過去と登場人物を変え、3つの視点から描く。
それぞれの異なる視点から徐々に明るみになるあの夏を紐解く経緯が面白かった。
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骨太の刑事から思春期の少女まで、誰を描かせてもリアルな誉田さんですが、今回わたしはヨウのキャラクターをつかみきれず、ちょっとこじらせた子がへそ曲げちゃって、でも大人になるにつれ角が取れ、いいタイミングで再会する話…以上、みたいな感想になってしまいました。
とにかく才能と名がつくものにひとかけらの縁もない凡人としては、才能あるなら自覚あるし、自覚あるなら伸ばそうとすんじゃないの?と妬み全開で思います。
Posted by ブクログ
読んでみて、確かにあの夏の出来事はとても濃厚で忘れられない出来事だったでしょう。
高校時代の話は、クミが主人公のように進むため、私はヨウの事がよく理解出来なかったです。
大人になった遥は別人のようで、私的にはもう少し二人のルカ主体で進んだら分かりやすかったと思います。
Posted by ブクログ
過去と未来が交差するように描かれた青春小説。次々に読ませる展開ではないが、「あの夏」に何があったのか?という一点を知りたいモチベーションで読んだ。誉田哲也の青春小説はあんまり心に残らないのはなぜだろう。