誉田哲也のレビュー一覧
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ネタバレ武士道シックスティーンからこのシリーズにハマって、これがシリーズ最終巻になるのかな。
シックスティーンの時に出会ったがさつで勝利至上主義で剣道一筋の磯山香織と、本来剣道はやりたくて始めたのではなく日本舞踊の延長線上で剣道と出会った西荻早苗の剣道を介して始まった友情と剣道との向き合いがすごく面白く、このシリーズはその後セブンティーン、エイティーンと続いた。
そして、ジェネレーションだ。
それまでのシリーズは剣道とこの二人を中心にした様々な試合や部活などの話がちりばめられていて、あっという間に毎回読み切れるハラハラドキドキの楽しい小説だった。いや、今回がそうでないわけではない。
ただ、早苗が大学生 -
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32歳のこじれた女と高校生のガールズバンドの話が並行的に語られる。
ページが進むにつれて、どうやらこれは現在進行形のパートと昔語りを織り交ぜているらしいと見えてくる。
けどイマイチ全容が掴め切れないのは、二つのパートの語り部である「私」が別人であり、主人公の内面と外面が微妙に異なる表情を見せるためだろうか。
二つを繋ぐピースはある。冒頭、殊更意味ありげに示される「ルーカス」とタイトルにある「二人のルカ」。
ぶつりと途切れた少女たちの不完全燃焼の夏と、その後も熾火の様に燻ぶり続ける焦燥感が、ふぅっと色を取り戻して穏やかに動き始めるまでの物語。
まぁ何れにせよ。
瑠香、今からでも絶対お祓いした -
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ネタバレ武士道シリーズの最終巻。もうこれで磯山さんと早苗のお話が終わってしまうかと思うと寂しくなります。
早苗が進んだ道は、歴史、というか、平和、というか、学問の道?歴史観など、おそらく誉田先生の意見とかも入ってきて、こういう小説で読むにはちょっとそぐわない感じ。ステレオタイプがはいったような留学生を登場させたり、主要な登場人物のジェフに歴史観を語らせたりと、★マイナス1。
一方、磯山さんはもちろん剣道。もはや無双状態です。それにシカケとオサメまで習得してしまって、アメリカの海兵隊のジェフにもかって達人となってしまいました。最後には、素晴らしい道場主になります。
最後はなんだか好きな漫画が最終回 -
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ネタバレ天才ギタリストである夏海が、薫という自殺したバンド仲間の人物像を探し求める話。
あらすじには青春小説と記載されているが、ミステリー要素も少なからず含まれている。
『疾風ガール』というタイトルは、音楽という舞台で天辺に向かって走り続ける夏海のことを指しているのだろう。しかし、私は、物語の後半で突然現れる麻紀こそが、「疾風ガール」と呼ぶにふさわしいと考えた。
夏海が輝くことで、周囲がどのような影響を受けるか。厳しい内容を伝えるだけ伝えると、麻紀は早々に去っていく。脇役なのだが、歯に衣着せぬ物言いで、大事なことを発信する彼女に、とても魅力を感じた。 -
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青春ガールズバンド小説!ちょいミステリ、ほんのり恋愛模様、といった作品。
誉田さんの青春小説が好きです。特に女性ものの。誉田さんの描く女性はとても魅力的なので。「容姿か整っていて、ある面に突出した才能があるけど、どこか抜けてる(変人)」キャラが誉田さん作品には、よく登場する気がする。今回は「ヨウ」が該当してるかな。天才肌というか、爆発的な感じ、が気になり、そこから怒涛の展開からの、終盤は胸にグッときました。天才もやっぱ生身の人間なんやな。
余談ですが、誉田さんはアイドル(坂道系)のファンなのですが、たまたまかもしれませんが、登場人物の名前がそのアイドルに引っ張られているような気がしました( -
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魚住久江シリーズ第2弾。本作は長編。
前作「ドルチェ」同様、派手さはなく地味な展開だが、それだけに人と人との繋がりが丹念に描かれている。
魚住を中心とする警察関係者の視点と、事件に至るまでと事件自体を体験している被害者・加害者の視点が交互に描かれている。その分、人が人を思う思いや人の性などが描かれ、事件に至る経過が徐々に分かるようになっている。よく犯人逮捕後の自白で事件の真相が見えるという小説があるが、本作はそうした急な流れではなく、徐々に本質に近づいていくという印象。そのため本来なら切羽詰まる誘拐事案ではあるが、そこまでのスピード感はなく、むしろじっくりとした感じを受ける。 -
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離婚して東京の谷中に戻った沢口、その近くにお店を構えている乾、女子バンドを作ろうとする高校生・佐藤。3人の視点によって繋がれる、あるグループによる絆。嫉妬や情熱の詰まった青春群像劇。
誉田さんの作品というと、「ストロベリーナイト」や「ジウ」など警察小説が印象に残っているのですが、「武士道シックスティーン」や「世界でいちばん長い写真」といった青春小説も手がけていて、その幅広さに驚きがありました。
今回は青春小説で、それもテーマは「音楽」。最後の解説に書いてあったのですが、作家の前はミュージシャンを目指していたそうです。
なので、ギターの知識や演奏、音楽に対する情熱などが丁寧に書かれていて -
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ネタバレ最初に高校生奈緒と小説を書いているという同級生の希莉が登場する。
その後全く違う設定の3つのストーリーが描かれる。最初、それは希莉が書いている小説なのかと錯覚してしまった。3つのストーリーと奈緒・希莉の計4つの話が並行して描かれ、頭が混乱してきた。
ところがそれぞれのストーリーがやがて一つに繋がりだし、最後には奈緒と希莉までその中に登場するに至り、希莉の小説とは無関係だった事が分かる。
ラストはスリル満点の展開で気持ち良いハッピーエンド。ミステリーとは言え、ストロベリーナイトの誉田哲也がこんな青春ものを書けるとは、その懐の深さに感心する事しきりであった。