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Posted by ブクログ
葛飾区のマンションで起きた女子大生殺害事件。姫川班が捜査に加わるが、浮上した容疑者はすでに別件で逮捕されていた。一方、勝俣は独自の動きを見せる。一見無関係に思える物語が交錯し、事件は思いもよらない方向へと転がり始める。
まさか、こんなスケールの物語になるとは思わなかった。
一つの殺人事件を追っていたはずなのに、真相へ近づくほど、その向こうにさらに大きな世界が見えてくる。姫川玲子シリーズそのものの世界が、一気に広がったように感じた。
それなのに、読み終えて胸に残ったのは、その壮大さではない。
何とも悲しくて、切ない物語だった。
真相が分かるにつれ、同時に「どうにもならないこと」まで分かっていく。
大切な人を救いたい。ただそれだけだったはずなのに、どれだけ願い、行動しても届かない。そしていつしか、自分には誰も味方がいないと思うほど孤独になってしまう。
何をしても解決には向かわない。それでも、何かをせずにはいられない。
その思いを知るほど、真相は重く、やるせないものになっていった。
そして本作では、「加害者」と「被害者」という境界さえ、そう簡単には割り切れない。傷つけられた人間が、その傷を抱えてどう生きていくのか。その選択の違いまで考えさせられた。
読み終えて改めて、『ノーマンズランド』というタイトルが胸に残る。
どれほど手を伸ばしても届かない場所。
誰にも助けてもらえないと思い、自分の居場所さえ見失ってしまう場所。
人と人の間にも、人の心の中にも、「ノーマンズランド」は存在するのかもしれない。
今回はガンテツこと勝俣の人物像もさらに掘り下げられる。それでも、ガンテツはガンテツ。その一筋縄ではいかない存在感は変わらない。
新しく上司となった日下との関係もいい。玲子を部下に持ち、今泉の苦労を実感する姿には、重い物語の中で思わずニヤリ。新たに登場した検事・武見諒太も、この先が気になる存在だ。
そして、玲子。
過去の傷を抱え、林の件を引きずりながらも、周囲に支えられて再び立ち上がる。やはり玲子には、傷つきながらも立ち向かっていく姿が似合う。一度決意したら、一歩も引かない。
今回改めて思った。
玲子は被害者を救おうとするとき、その痛みに自分自身を重ねているのではないか。
救われなかった過去の自分を重ねながら、目の前の誰かに手を伸ばす。誰かを救おうとすることが、同時に玲子自身が再び立ち上がることにもなっているように感じた。
シリーズ開始当初は「姫川玲子を描く物語」だった。
それが本作では、「姫川玲子が生きていく世界を描く物語」へと大きく広がったように感じる。
その世界で玲子がこれからどう生きていくのか――。
その生き様を、さらに追っていきたい。
Posted by ブクログ
調べたらおよそ6年振りの『姫川 玲子』シリーズ8弾でした❗️
6年もの間読まなかった理由は、著者である誉田 哲也さんの、Xでの数々の投稿が余り共感出来なくて、少し距離をおこうと思ったからです
そして今回久し振りに本シリーズを手に取ったのは、単純に『姫川 玲子』というキャラクターが好きだからでした。また、先月文庫化された『マリスアングル』を読んでみたいという衝動に駆られたからにほかありません❗️
さて、本書の感想ですが、姫川 玲子やガンテツが少しチャラくなっているように感じたのは気のせいでしょうか⁉️
個人的には、『北朝鮮拉致問題』というとてもデリケートな問題を正面から描いた、シリーズの異色作だと思っています❗️
もしも貴方の大切な誰かが、国家が絡むような事件に巻き込まれたなら、貴方はどのように対処するでしょうか⁉️読後は非常に居た堪れない気持ちになった作品でした
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