伊吹亜門のレビュー一覧
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読みたい本が溜まっていく中でまた溜まっていってしまうと思いながら恐る恐る手に取った。結果、既読の本がまあまああったのもあるが、そこまで読みたい本が増えることはなかった。安堵(笑)
現役作家たちの書評を読むのは楽しいし、各話の終わりにある読者アンケートも楽しかった。自分の選んだ選択肢が少人数だと少し嬉しい。
読んでいてはっきり思ったのは、私が好きなミステリは「犯人の動機がしっかり納得できるものであり、その動機がびっくりするようなものであったらなお楽しい」だということ。
あと帯文に関しては「どんでん返し」とか「二度読み必須」等できれば書かないで欲しいということ。書かれていたからと言ってその本を敬 -
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大正時代の京都が舞台。元警察官の探偵鯉城と、伯爵の血筋で蒲柳の質ゆえ屋敷に引きこもっている露木の安楽椅子探偵バディモノ……この手の連作短編集を読み慣れていない人ほど純粋に楽しめると思うんだが、悲しいかな、ミステリ読み慣れてる人ほど、途中から不穏な気配を気取って、これは途中からアレがアレする奴では?みたいな勘ぐりが働き出すのが勿体ない(これは読者側の問題。私がそうなっちゃったので)。
東京創元社のシリーズが実在の人物も登場する史実寄りのミステリで、講談社の奴は現代のファンタジー要素も入れたライトな読み物路線。で、今回のハヤカワさんところのはなるほどこの路線で来たかーと。大正時代の男→男のクソデ -
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大正時代の京都を舞台にした探偵バディもの。
元刑事の鯉城(りじょう)が調査を担当し、貴族の隠し子で病弱で家から出られない露木が安楽椅子探偵のように謎を解くという構図。
二人は共同経営者であるが幼馴染。鯉城にとって露木は謎を解き明かしてくれる名探偵であり彼の縁故もまた探偵事務所の経営に一役買ってくれているのだが、露木にとってもまた鯉城との探偵業経営は外との世界を繋ぐものでもあり、また鯉城との絆を深めるものでもあった。
誰もいないのに騒ぎ声が聞こえる山荘。
ストーカーの焼身自殺。
浮気調査を受けた夫婦とその疑いを受けた男三人の斬殺事件。
社長夫人を脅迫する元夫と現夫の死。
男女の情念が絡んだ事 -
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最近お気に入りの伊吹さんの作品。
明治から昭和(第二次世界大戦終結)までに那珂川二坊なる売れない作家が遭遇した様々な事件を描く。
といっても探偵役は那珂川ではなく、それぞれの事件で出会う人たち。その探偵役たちが後の有名人であったというのが最後に明かされる趣向。
事件そのものも楽しいが、むしろこの探偵役が誰なのかというのが途中から気になって読んでいた。
あの人かな?と思いながら読んだものの、結局分かった人はほとんどなし。自分の無知を改めて知ることになってしまった。
徳川公爵邸に忍び込んだ賊を捕まえた活躍譚の綻び。
豪雨の中で起きたクローズドサークル的殺人。
雪の山荘的密室殺人。
これまた同じ -
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ミステリー作家5人が、15冊ずつミステリ小説の書評を書いたものを収録。合計75冊(+おまけで紹介されている本もあり)という大ボリュームなブックガイド。
1冊ずつの書評は見開き2ページなので、隙間時間に読むのに最適。
ミステリー作家さんたちがどんなところを気にしながら読んでいるのか、どこを面白いと思うのかが人それぞれで、紹介されている本はもちろんだが、5人の作家さんたちの書かれた本も読みたくなる。
結果、読みたい本が一気に増えて、とても楽しいミステリーツアーだった。
他のジャンル(恋愛、青春、お仕事小説など)や、他の作家さんたちのツアーもぜひ読んでみたい。 -
Posted by ブクログ
大正時代の京都が舞台の探偵モノ。
寺町二条に事務所を構える元警官の探偵・鯉城と、事務所の共同経営者で伯爵の血筋である露木が、様々な謎を解いていく連作五話が収録されております。
京都の風情と、各々の事件の背景に渦巻く“人の業”といった“陰”の気配が絶妙にマッチして、全体的に薄暗いけどしっとりとした雰囲気が漂う物語。
で、この雰囲気自体は結構好きなのですが、これは文体との個人的な相性だとは思うのだけど、ちょっと読みにくかったかな・・というのはありました。
さて本書は、外で探偵業務をする鯉城に対して、蒲柳の質で家から出れない露木が、鯉城から事件の情報を聞いて安楽椅子探偵ばりに推理をするという流れ