伊吹亜門のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
これめちゃくちゃ面白いです!
有名な6名の作家さんがそれぞれ短編で
ミステリーを書いていますが、
それだけではなく、別の作品の推理をしています。
推理小説の3つの謎である、
【フーダニット】…誰が
【ホワイダニット】…動機は
【ハウダニット】…どうやって
が問われた作品がそれぞれ2作ずつ楽しめます。
問題編、解答編、推理編で大きく章が分かれていますが、おすすめの読み方は
まず問題編を読んで自分で推理した後に
推理編を読んで、最後に解答編に行く読み方です。
ほとんどの作家さんが正解していて、
さすがとしか言えないです。
中には「全然わかんない~!けどこうかな~」みたいな人間味のある解答もあってそこも面白いです。
推理編は読書後の感想を作者さんと語り合うような
気分になれてめちゃくちゃ満足感があります。最高 -
Posted by ブクログ
★5 探偵は誰? 大日本帝国時代、作家が事件に巻き込まれ…歴史と人物が学べるミステリ #帝国妖人伝
■きっと読みたくなるレビュー
おもろい、いい作品。
明治から昭和初期、作家の那珂川が様々な事件に遭遇する連作短編集です。
事件は那珂川本人ではなく居合わせた要人が探偵役となって解決してゆく。解決に至った背景として要人のエピソードも語られていくことになる。事件の謎解きだけでなく、この要人は誰なんだ?と想像していくところが興味深く、さらに歴史の学びにもなるという一粒で三度美味しい作品。
帝国時代の時期や場所が様変わりするところも魅力ですね、日本人としてじっくりと味わいたい作品です。
〇長くなだらかな坂
犯罪実録記事のネタを探していた那珂川が、食堂で街の事件について語り合う一幕。青年が母親を訪ねた際に、泥棒を退治したという話なのだが…
会話してるだけなのに面白い!なるほどなぁと、つい感心してしまう。男性は甘えん坊なので、登場人物たちの気持ちがよく理解できる作品。
〇法螺吹峠の殺人
雨が降るなか京都から奈良へ向かう峠で、那珂川は死体を見つけてしまう。発見者のため怪しまれる那珂川であったが、付近にあった茶屋で事件の議論がされ…
雨の中の足あと問題、短いお話ながらも解法も動機もしっかりしていて素晴らしい。要人が解決しようと思った背景にゾワリ。やたらカタカナの台詞で読みづらいのですが、誰であるか判明したところでナルホド感。
〇攻撃!
ドイツのビアホールでの一幕から、日本邸宅の小屋で発生した殺人事件を解決してゆく。
事件も展開も真相も登場人物も衝撃…この人たちならこうなるかもね、という納得感がエグイ。
〇春帆飯店事件
本作イチ推し。満州国時代の上海にある宿館で発生した殺人事件、密室状態だった宿で犯人を見つけ出す。
丁寧なアリバイ捜査から解決に向かうも、そこからの真相と展開に思い切りお茶を吹き出しました。恥ずかしながら要人は存じ上げず、大変勉強になりました。
〇列外へ
戦争終了直後、那珂川の思い詰めた行動とは…そしてどう生きるか。
終章はあまり語りたくないです、ぜひ読んで欲しい。一体誰なのか。日本人が戦争でうけた影響、人は何故生きるのかという苦しみと希望が切々語られる作品。
■ぜっさん推しポイント
まだまだ知らない人物いて勉強になりましたね~きっとあなたも、どんな人だったか調べることになります。
本当にその人がその場に居合わせたなら、まさにそんな行動をしたのではないか。と臨場感たっぷりに思わせてくれる。そしてどんな要人でも人に対する想いが深く、でもほろ苦い風味を帯びていました。 -
Posted by ブクログ
まさに堂々たる歴史本格ミステリ! という連作短編集でした。
舞台となる時代は、幕末から明治という日本の激動期。維新の志士の密室殺人から始まり、明治の日本の雰囲気を湛えた、風格あふれる短編がその後も続いていきます。
史実やこの時代ならではの設定、そして人間感情を巧みに織り込みつつも、一方で本格ミステリとしての論理もおろそかにしない。本格ミステリの楽しみどころ王道は、だれが犯人か?のフーダニットと、どうやって犯行におよんだかのハウダニットだと思うけど、
この小説ではそれに加え、この時代ならではの人の感情の機微や史実を織り込んだホワイダニットが、ミステリとしても、そして小説としても、話を深化させていきます。
そして犯人当てだけでなく、倒叙ものであったり、探偵が陥れられるパターンであったりと、パターンの多さも、作者である伊吹亜門さんの実力の確かさを裏付けしていると思います。どのパターンもいずれもスキがないと感じました。
ミステリとしての完成度はもちろんのことだけど、幕末、明治と日本の激動期の雰囲気を感じさせる筆力も素晴らしかった。時代の雰囲気の描き方や文体が相まって、新人賞受賞作を含むデビュー作と思えない雰囲気や、オーラをまとった作品だと思います。
そして探偵役となる江藤新平と、ワトソン役となる鹿野師光の関係性の変化も見ものだったと思います。抜群の名コンビとして物語全編で活躍するのかと思いきや、お互いの正義の価値観のズレから、徐々にすれ違いが生じ袂を分かつにいたり、そして…
特殊設定ならではのミステリというのは、他にもいろいろ作品はあると思いますが、幕末、明治という実際にあった時代を特殊設定として活用することで、本格ミステリのパズラー的部分に深みが増し、独自の輝きを放つ作品だと思いました。
今後もミステリー系の作品はもちろんだけど、個人的にはミステリーの枠にとどまらない、近代が舞台の超骨太な小説も書いていただきたいと思ったりします。とにかく今後の伊吹さんのご活躍が楽しみになる作品でした! -
Posted by ブクログ
伊吹氏の過去2作品には、実在の人物が登場したが今回は誰もいない。
主人公鯉城武史は元刑事で、ある理由から警察官を退職した。
露木という人物から声をかけられ、探偵事務所を開き共同経営をしている。屋号は、鯉城探偵事務所という。なぜか露木の名前が入っていない。物語を読み進めると、探偵の依頼を鯉城が受け、実際の調査活動も鯉城が遣っているからなのだろうと推測していた。
露木は、事務所にも出勤していない。判断に困る案件があった時だけ、鯉城は露木の家を訪れ相談をしている。事件があっても現場には赴かず、主に鯉城から状況説明や資料を基に推理に徹している安楽椅子探偵なのだ。
目次は以下の通り
第一話 うわん
第二話 火中の蓮華
第三話 西陣の暗い夜
第四話 いとしい人へ
第五話 青空の行方
鯉城と露木の関係は、唯一無二の幼友達とだけ伝えておこう。そして出生の秘密がある。
彼の推理は、いつも鯉城を呻らせる。しかし探偵事務所は、犯人を逮捕する必要がないのだ。露木の推理がどんなに素晴らしくともそれが真実とは限らない。
鯉城の推理は、自分にとって都合のいい物語を創った。
露木が反論「真実が人を救うとは限らないじゃないか」
〈ときに熱く ときに冷たく きみと謎解くいとしさよ〉(帯より抜粋)
過去の作品の中で、この作品が一番面白いと感じた。
読書は楽しい -
Posted by ブクログ
タイムスリップ感覚で歴史旅を楽しみたい人へ! 圧倒的なセンスと品のある仕掛けにワクワクが止まらない歴史連作ミステリー #名探偵の一族
■あらすじ
平安時代から現代まで、千年以上の歴史に渡り様々な謎解きの物語が綴られる連作短編集。全5編から構成されており、どの事件にも必ず「入舟」という苗字を持つ一族が関わっている。
■きっと読みたくなるレビュー
歴史×ミステリーを描かせたら、やっぱり伊吹亜門先生ですよね~。今回の時代背景はなんと、平安時代、安土桃山時代、江戸時代、戦時中の近代、そして現代の5つ。
特に驚きなのは平安時代、遣唐船をテーマにしたお話なんだけど、こんな時代のミステリーなんて読んだことない。しかも事件は船内での密室殺人という本格モノ。トリックの手法よりも動機にびっくりなんだけど、もうタイムスリップしたような感覚に陥る。
他のお話も切り取る題材のセンスが抜群なんすよね。安土桃山の茶器、江戸時代の人魚話、戦時中の特攻艇。誰しもが一度は聞いたことあるようなテーマを用いて、謎解きを仕掛けてくる。
ミステリーとしてイチ推しなのは、江戸時代の人魚にまつわるお話ですね。やっぱりこれも動機が目から鱗で、歴史的背景をどう謎解きに絡めてくるのかってのが一番の読みどころです。
そして最終話、現代の話も粋でいいすね~。女性推理小説作家、入舟清乃が主人公。彼女は幼馴染と共に村で起こった絞殺事件を捜査していくんだけど、それ以上に作中にミステリー小ネタが散りばめられているのがおもろい。そしてオチも衝撃的だし、エピソードの落とし込み方も品がいいのよ。
ミステリー小説というより、日本の歴史を旅するような小説って感じですね。同じフォーマットで、もっと色んな時代のお話を繰り広げて欲しいなー。NHKドラマ『タイムスクープハンター』みたいな感じで。
ページ数も200ページちょっとなので、気軽に手に取ってもらえると思います。いい作品に出会えました、ありがとうございました!
■ぜっさん推しポイント
太平洋戦争末期のお話、特攻兵の日記に読み入ってしまった。その日その時の心情がリアルに綴られるんですよ。そして自身が特攻することについてどう思っているのかが語られるんだけど… 思った以上にすっとしていて、なんかやりきれなくて感情が渦巻きましたね。 -
Posted by ブクログ
ネタバレショート・ショートなので、一編が8ページくらい。その短い中で背景をぼかしつつも確信に迫る書き方してたりするものもあり、うまく咀嚼できないまま終わったものもあり、でも面白い短編集だった。
始まりが不穏なので、大体不穏な話が多い中、最初から最後までハッピーに終わる「切れたミサンガ」が好き。
人でも殺したんかと思いつつ、同じ格好ときたのでSFかと思ったら 笑
安定のホラーの「こわくてキモくてかわいい、それ」も好き。
それが不気味だけど、主人公が見下されてることに気付きながらも知らないふりして難を逃れてて、性格悪い私はざまみろと思ってしまった。
「久闊を叙す」も良い。
こんな形で、我が友李徴子を読むとは。新鮮な感覚だった。 -
Posted by ブクログ
歴史小説×連作ミステリー。
幕末〜明治にかけての動乱期の京都が舞台。
架空の尾張藩士・鹿野師光と、実在の人物で近代日本の司法制度確立に尽力した江藤新平のふたりがバディを組む形で、5つの難事件に挑む。
序盤のうちはオーソドックスな連作ミステリーという感じで、ふたりの関係性が作られていく。
3話あたりからラストに向けて怒涛の展開に。
実在の人物、それも悲劇的な最期を迎えることがわかっている人物を登場させる以上、どうしても結末の方向性は予想できてしまうのだが、序盤からの江藤の尖ったキャラクターから、一体どういう風に展開していくのだろう?とワクワクしながら読み進められた。
最後まで読むと、「刀と傘」というタイトルに「なるほど」となる。
(ラストはちょっと切ないけど)
続編(といっても、話は本作より前の設定らしい)もあるらしいので、手に取ってみようと思う。