あらすじ
日露戦争のさなか。戦場という巨大な密室では、正気を失うことこそ美徳とされる。鶴見中尉と第七師団の面々が出会った、驚くべき事件の数々とは・・・・・・。日露戦争での第七師団を描いた、初のスピンオフノベライズが刊行!! 野田先生による描きおろしイラスト多数!! 第一話 幽霊歩哨《谷垣源次郎》ロシア兵との死闘が続く二〇三高地。死んだはずの兵士が歩哨に立つという。谷垣源治郎はある夜、戦場には似つかわしくない、軽やかな鈴の音を聞いた。そして光の中から、先の戦いで死んだはずの戦友の姿が現れるのを見た・・・・・・。幽霊歩哨の正体とは?/第二話 白い日本兵《菊田杢太郎》ロシア兵のあいだで、「白い日本兵」の噂が広まっているという。白い日本兵は銃弾に当たっても死なずにロシア兵へ向かってくる、おそろしい存在だという。菊田はあることをきっかけに、白い日本兵の真実へ近づいていく・・・・・・。/第三話 羽二重天幕の密室《宇佐美時重》二〇三高地での戦いも大詰めを迎えようとしている。宇佐美は捕虜の尋問をするための天幕の設置を命じられた。戦局を左右する貴重な情報を持っている捕虜だという。尋問の担当は鶴見だったが、天幕のなかで事件は起こった・・・・・・。/第四話 時にはやさしく見ないふり《尾形百之助》奉天でロシア軍への包囲攻撃をかけた陣中、ありえない事件が起こった。日本兵が何者かに次々と殺害されていくのだ。犯人は恐ろしい怪力を持つ、敵の斥候というのだが・・・・・・。尾形はやがて、鶴見から事件のことで呼び出しを受ける。/第五話 鶴見篤四郎は惑わない《月島 基》奉天での戦いは膠着していた。損耗は大きく弾薬も少なく、戦いは難局を迎えていた。ある日の夕食後、月島は鶴見から密命を受けた。それは戦局を決する可能性のある驚くべき秘策であった。
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Posted by ブクログ
ゴールデンカムイ(漫画)本編では、あっという間に出てきてあっという間に散ったキャラたちがしれっと出てきて、まずそこに大興奮した。三島!小宮!前山さん!(どうしても"さん"付けしてしまうw)1〜3話目は確かにミステリだと感じたけれど、4〜5話は「ミステリ?」という感じがしなくもない。とはいえ、とても面白かったし、鶴見中尉の底知れない怖さとか非情さと、部下を思いやる姿という「共存するアンバランス」さが見事に表現されていて、拍手。どのキャラも、脳内で声が聞こえてくるくらい再現度が素晴らしくて、そういう意味でも素晴らしい。二◯三高地の悲惨さを決して美化せず、しかしキャラをブレさせず、というバランスが見事なスピンオフでした。野田先生のイラストも嬉しかったです!!
匿名
原作に忠実で素晴らしいです。
短編ミステリ5篇で読み易い。
特に宇佐美探偵っぷりは、ホームズのようでしたw
独立した5つの話が、戦争を舞台に鶴見中尉の宿願という軸でつながり、
まとまりの良い締め方で、読後感が良かった。
金カムファンは是非。
Posted by ブクログ
みんな大好き鶴見中尉のスピンオフ作品。
金カムファンなら絶対読んでほしい、、!
原作の第七師団は戦いのシーンがメインだけど、この作品はミステリー要素もあったから、小説でも読みやすかった。
月島、宇佐美、尾形も知能高めだけど、そのさらに上をいく鶴見中尉がただただ怖いし、人の心に漬け込むのがうますぎる。
Posted by ブクログ
二◯三高地を舞台とした第七師団のオムニバス。
鶴見篤四郎を筆頭に大七師団が如何に凄惨な戦場を潜り抜けて来たかがミステリ仕立てで語られる上質なスピンオフだった。
Posted by ブクログ
ゴールデンカムイの強烈なキャラクターたちがたくさん登場するけど、伊吹さんはどんなふうに描くのか楽しみに読んだ。
コミックそのままのキャラクターで良かったし、ミステリと野田さんのイラストが楽しめてお得感があった。
Posted by ブクログ
スピンオフ小説。ミステリ仕立てで面白かった。
お馴染み第七師団の面々目線から描かれる事件の謎と”鶴見篤四郎”という謎。
より鶴見中尉の解像度が深まる。
二百三高地から奉天会戦の描写が凄惨で残酷。
お気に入りは菊田特務曹長の「白い日本兵」です。
惜しむらくは、オムニバス形式なのに同じ様な雰囲気で単調だったこと。
特に第三話は、せっかくの宇佐美=探偵なのだから、思い切り遊んでもよかったのかな…と。
いい意味でも悪い意味でも真面目でした。