伊吹亜門のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
昭和10年8月、陸軍省にて相沢三郎歩兵中佐が軍務局長・永田鉄山少将を惨殺する事件が発生。その際、醜態を演じ、事件後に自害した山田元兵務課長。憲兵大尉・浪越破六(なみこし ばろく)は、渡辺錠太郎陸軍大将から、山田の身辺調査の命を受ける。相沢が襲撃直前に言葉を交わした古鍛冶兼行大佐と襲撃現場に居合わせた六角紀彦憲兵大佐。浪越が二人のキーマンの調査に乗り出す中で、さらなる事件が…
二•二六事件の舞台裏で起きていたかも知れない事件を描いた歴史ミステリ。政治腐敗や君側の奸を排除して天皇親政を実現することを目指す皇道派。一方、第一次世界大戦後の世界情勢を踏まえ、総力戦体制の構築を目指す統制派。相沢事件を皮切りに、皇道派と統制派が火花を散らして対立に向かっていく世相が事件を通して描かれる。
主人公の憲兵大尉・浪越破六は統制派•渡辺の命を受けて、皇道派が起こした殺人事件の調査にあたる。危ない場面に度々出くわしてはタフに乗り越える浪越はハードボイルドなキャラクター。誰がどういう思想を持ってるのかわからない状況で、時に立場を偽りながら対人折衝をする様はサスペンスフルで、スパイ小説的な面白さもある。
実在人物と架空人物両方出てきて登場人物が多いのが難点。謎解き要素は控えめ。この時代の歴史に興味がある人にはオススメ。
本格ミステリ・ベスト10 13位
SRの会ミステリーベスト10 5位
ミステリが読みたい! 9位 -
Posted by ブクログ
読みたい本が溜まっていく中でまた溜まっていってしまうと思いながら恐る恐る手に取った。結果、既読の本がまあまああったのもあるが、そこまで読みたい本が増えることはなかった。安堵(笑)
現役作家たちの書評を読むのは楽しいし、各話の終わりにある読者アンケートも楽しかった。自分の選んだ選択肢が少人数だと少し嬉しい。
読んでいてはっきり思ったのは、私が好きなミステリは「犯人の動機がしっかり納得できるものであり、その動機がびっくりするようなものであったらなお楽しい」だということ。
あと帯文に関しては「どんでん返し」とか「二度読み必須」等できれば書かないで欲しいということ。書かれていたからと言ってその本を敬遠する訳ではないのだけれど、一定の層の人は帯文で敬遠してしまう。それは勿体無いと思うからだ。
ミステリを読むことは人生にとって不可欠。本書は良書だと思うが、ミステリ含め読みたい本を片っ端から手に取るのみ。 -
Posted by ブクログ
大正時代の京都が舞台。元警察官の探偵鯉城と、伯爵の血筋で蒲柳の質ゆえ屋敷に引きこもっている露木の安楽椅子探偵バディモノ……この手の連作短編集を読み慣れていない人ほど純粋に楽しめると思うんだが、悲しいかな、ミステリ読み慣れてる人ほど、途中から不穏な気配を気取って、これは途中からアレがアレする奴では?みたいな勘ぐりが働き出すのが勿体ない(これは読者側の問題。私がそうなっちゃったので)。
東京創元社のシリーズが実在の人物も登場する史実寄りのミステリで、講談社の奴は現代のファンタジー要素も入れたライトな読み物路線。で、今回のハヤカワさんところのはなるほどこの路線で来たかーと。大正時代の男→男のクソデカ感情をここまで織り込んだ作品を仕上げてくるとは。BLかと言われるとそこまではいってないな、って感度ですが、ブロマンスバディものとは違う爆弾を抱えているこの二人の物語は本作のさらに続きを読んでみたいです。
四話のタイトルが秀逸でしたね。あれは、読み終わった後にあの話に登場する人物全員それぞれの視点で考えて、どれでも成立する良いタイトル……。そこで残酷で素晴らしいのが全て矢印の向きが一方通行なのだ……。