【感想・ネタバレ】帝国妖人伝のレビュー

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Posted by ブクログ

 作家の那珂川二坊が人生を通じて不可解な事件に遭遇し、出会った人物が謎を解いていく五編を収録した短編集で、真相が明かされた後で最後の頁に「探偵役は○○だった(実在した歴史上の人物)。」と明かされて、ミステリーの中にちょっとした仕掛けがあるのが面白かった。また、那珂川二坊が明治から昭和(第2次世界大戦後)を経た人生で何を見たのか、誰と遭遇したのか、という「一人の作家の生涯を綴った人物史」という側面も物語を引き立てる要素だと感じた。

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2024年06月09日

Posted by ブクログ

★5 探偵は誰? 大日本帝国時代、作家が事件に巻き込まれ…歴史と人物が学べるミステリ #帝国妖人伝

■きっと読みたくなるレビュー
おもろい、いい作品。
明治から昭和初期、作家の那珂川が様々な事件に遭遇する連作短編集です。

事件は那珂川本人ではなく居合わせた要人が探偵役となって解決してゆく。解決に至った背景として要人のエピソードも語られていくことになる。事件の謎解きだけでなく、この要人は誰なんだ?と想像していくところが興味深く、さらに歴史の学びにもなるという一粒で三度美味しい作品。

帝国時代の時期や場所が様変わりするところも魅力ですね、日本人としてじっくりと味わいたい作品です。

〇長くなだらかな坂
犯罪実録記事のネタを探していた那珂川が、食堂で街の事件について語り合う一幕。青年が母親を訪ねた際に、泥棒を退治したという話なのだが…

会話してるだけなのに面白い!なるほどなぁと、つい感心してしまう。男性は甘えん坊なので、登場人物たちの気持ちがよく理解できる作品。

〇法螺吹峠の殺人
雨が降るなか京都から奈良へ向かう峠で、那珂川は死体を見つけてしまう。発見者のため怪しまれる那珂川であったが、付近にあった茶屋で事件の議論がされ…

雨の中の足あと問題、短いお話ながらも解法も動機もしっかりしていて素晴らしい。要人が解決しようと思った背景にゾワリ。やたらカタカナの台詞で読みづらいのですが、誰であるか判明したところでナルホド感。

〇攻撃!
ドイツのビアホールでの一幕から、日本邸宅の小屋で発生した殺人事件を解決してゆく。

事件も展開も真相も登場人物も衝撃…この人たちならこうなるかもね、という納得感がエグイ。

〇春帆飯店事件
本作イチ推し。満州国時代の上海にある宿館で発生した殺人事件、密室状態だった宿で犯人を見つけ出す。

丁寧なアリバイ捜査から解決に向かうも、そこからの真相と展開に思い切りお茶を吹き出しました。恥ずかしながら要人は存じ上げず、大変勉強になりました。

〇列外へ
戦争終了直後、那珂川の思い詰めた行動とは…そしてどう生きるか。

終章はあまり語りたくないです、ぜひ読んで欲しい。一体誰なのか。日本人が戦争でうけた影響、人は何故生きるのかという苦しみと希望が切々語られる作品。

■ぜっさん推しポイント
まだまだ知らない人物いて勉強になりましたね~きっとあなたも、どんな人だったか調べることになります。

本当にその人がその場に居合わせたなら、まさにそんな行動をしたのではないか。と臨場感たっぷりに思わせてくれる。そしてどんな要人でも人に対する想いが深く、でもほろ苦い風味を帯びていました。

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2024年04月14日

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ミステリとしてもよくできてるし、歴史ものとしてもよくできてる。
探偵が歴史好きにはくすぐるキャラが多い

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2024年05月27日

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明治〜昭和戦後設定のおはなし。無名に近い作家・那珂川が遭遇する犯人は誰かと解き明かす探偵は実は誰なのか!の短編が5作。探偵役は歴史上の有名な人物なのだけれど名前だけの方が多すぎてあとから調べてみたりして、作品の流れとの関係が面白かった。この時代設定が面白さを増していたような気がする作品でした。

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2024年03月06日

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語り手はいわばワトソン役。事件の真相とは別に、探偵役の正体が各話最後で明かされるという、変わった趣向の連作ミステリー。僅かなヒントから途中でピンとくる物知りな人はともかく、有名人5人の名にどこまで反応できるかで評価が分かれそう。自分はまずまず楽しめた。明治生まれの三文文士の数奇な人生譚としても面白い。伊吹亜門氏、まだ若いのに史実の絡ませ方が本当に巧い作家さんだと思う。

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2024年02月22日

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わたしの知ってるあの人もこの人も…!著名人が探偵役になるミステリーで、エンタメ的に読んでいたのですが、最後の一編に度肝を抜かれました。なんて壮絶な、凄惨なお話なのかと。
作品中の人物が固執する、人の情念てやつが、濃厚に散りばめられていたと思います。

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2024年02月17日

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明治から太平洋戦争にかけて、那珂川二坊という作家を語り手にした謎解き連作短編集。毎回謎を解くのはその場に居合わせた歴史上有名な人物だが、最後まで正体が伏せられているので、わかったときの驚きが心地よい。このあたりは京極夏彦の”弔堂”と似ている。
また時代が移り変わるごとに語り手の立ち位置や心境が変化してゆくのもなかなか切ない。地味だが面白い話だった。

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2024年05月07日

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昭和の雰囲気が楽しめる文体。ミステリー楽しみながら、漢字の勉強にも。それぞれの人は意味がよくわからない…探偵の真似事?

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2024年04月25日

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懐旧の情が漂う5つの事件。筆を折ろうか悩む那珂川。北大路、夢野、石原、川島、山田たちの鮮やかな謎解きを回想し…物語の端々に、江戸川乱歩を彷彿とさせる端整な妖しさを感じた。

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2024年04月22日

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明治から昭和初期にかけて売れない小説家が巻き込まれる殺人事件の短編集。
主人公は本当に巻き込まれだけで、事件を解決するのは後に名を残す偉人達。短編の最後に偉人が誰だったか明かされるのだが、その人が実際どういう人物だったかに興味が持て面白かった。

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2024年03月24日

Posted by ブクログ

明治から第二次世界大戦で日本が負けるまで、つまり日本が大日本帝国と呼ばれていた時代を舞台にした連作短編ミステリ。主人公は小説家の那珂川二坊。二坊は探偵役ではなく、事件を解決するのは毎話登場するゲストの著名人だ。物語の中ではその人物の素性はよく分からず、最後に種明かしがされる趣向になっている(歴史に詳しい人なら途中でピンと来るのだろうけど、私は分からなかった。そして、正体が判明しても全然知らなかった人もいる)。
相変わらず結末は、ほろ苦いどころかめちゃくちゃビター。この辛口さが伊吹さんの好きなところでもありますが、やっぱり辛いですね。

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2024年03月18日

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