5作目
序章。みどりちゃんという名前から佐原みどりちゃんの話だろうと予測できた。そして最後に告げられた名前に心が反応する。
「洋子ちゃん」
そう、今回は御子柴法律事務所の事務員、日下部洋子のお話。
始まりは弁護士会に一般人から送られてきた懲戒請求の話だった。今まで何度も食らってきた懲戒請求だが、今回は訳が違う。一般人から、しかもその数は計800通を越えるという。しかも中身は同じ文言一字一句変わらない、違うのは名前だけ。
資格取得以前の行為は懲戒事由には成りえない、どんなに届こうとも無効になる。しかし、無効になるという結果を全ての人に送らなければならない。
配達証明なら1通825円、簡易書留でも最低392円
弁護士会+対象弁護士+日弁会なのでその3倍
弁護士会の谷崎からこの事を聞かされた御子柴は懲戒請求してきた全員に名誉毀損と業務妨害で損害賠償を請求、和解金は一律150万。
開けるだけでも大変な作業だが、これを事務員の洋子さん1人に任せることに。
今まで普通に過ごしてきたが、御子柴はここでようやく洋子に対して疑問に思う。
君はなぜここにいるんだ?
怖くないのか、死体配達人は知っているのか、また自分があんな事件を起こすとは思わないのか。
御子柴は畳み掛けるように疑問をぶつけるが、洋子さんはのらりくらりと交わして平然としている。
そして仕事終わり、とある男性と食事をして帰宅した次の日、出社するや否や警察が訪ねてきて逮捕された。
御子柴は洋子が逮捕されるや否や警察署へ向かい、弁護を引き受けると共に事件を洗い直していく。
そしてまた思う。
自分は洋子の事を何も知らない。
そして何も知らない洋子さんの事を事件を追っていくうちに知っていくことになる。
彼女の抱える事情。幼き頃の交流。前職での働きぶり。そしてなぜ、御子柴法律事務所の求人に応募してきたのか。
最後にどんどん明らかになる事実にえ!え!?えぇ!?となりながら、洋子と御子柴の会話に何となくほっこりした。洋子が御子柴の元に行こうと決意した動機は、その人を本当によく観察して居ないと分からないことで、しかもそれを今もまさに実行し続けてるんだから、洋子は御子柴にとって欠かせない存在になるだろうと思った。
だって御子柴先生、倫子ちゃんにはすっごい優しいもんね!!笑