中山七里のレビュー一覧
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4作目。
今回の焦点は実母である。
14歳で少年院に入り早30年ばかり。
それまで一度も顔を合わせなかった妹の梓が事務所に乗り込んでくる。
内容は、御子柴の実母、郁美が再婚相手を殺したと逮捕されたため弁護しろ、とのこと。
御子柴は他を当たれと言うが、どの弁護士も引き受けてくれない。「死体配達人」の母親だからだ、と。
御子柴にとって、家族とは14歳で逮捕された時に全て縁が切れた存在。
自分にとって父親は教官だった稲見。縁が切れた実の母、妹より、血の繋がりのない稲見の方が大事に思う気持ちが大きい。
だからか、妹の梓が尋ねて来たあと、御子柴は稲見の元を訪れた。
稲見は言う。その場で決めないという -
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今回も面白かった。
本当にこの岬洋介シリーズ大好き。
特に今回は、わたしも好きなガーシュウィンのラプソディインブルーということで、YouTubeで流しながら読書しました。
(わたし的には特に、サントリーホールでの角野隼斗さんのラプソディインブルーが素晴らしいです!)
岬洋介が登場すると時間を忘れて読んでしまう。
こんなピアニスト現実に存在するかな?
とにかくなんかとてつもなくかっこいい。
欲を言えばもっといっぱい活躍させて欲しかった。
今回ちょっと薄めだったかな?
とにかく、いつも素晴らしい演奏と事件解決までしてしまう岬洋介に拍手喝采です!
次のタイトルはどの音楽家になるのかな?
岬洋 -
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ネタバレ今回は笘篠ではなく蓮田が主人公。
宮城県警三部作、これがラストらしい。
笘篠の相棒、蓮田は震災で家族を失うことはなく、本当の意味での共感ができず、罪悪感を感じていた。南三陸の仮設住宅で男が死体で見つかる。その男は仮設住宅にまだ残っている人の家を訪ねて公営住宅に移住するように勧めている人だった。そしてこの死体は密室で見つかった。蓮田の幼馴染たちが事件に関わってくる…
このシリーズも最後かあ。
笘篠推しだったので、蓮田は少し物足りないかなあ。
このシリーズ、笘篠の妻子が震災で亡くなっていることが前作、前々作でわかるのだけれど、笘篠と妻の最後の会話が描写されていて、笘篠が悔やんでも悔やみきれない -
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audible 。さすがの中山七里というほかない。
近ごろ、ドラマ「能面検事」をみているが、笑わない上川隆也の評判がいいらしい。北川景子の「ヒポクラテスの誓い」も見た。うーん、ピタリとは来ないもんだ。
比べてaudible での緊張からどんでん返しの感じの方が優っていると思う。中山七里とaudible は相性がいい。
追加。忘れるところだった。作中の春潮社って新潮社のことだよね。7年前ヘイト議員に誌面を与え、猛烈な反撃にあって廃刊に追い込まれた「新潮45」の出版社。
主人公はその社の編集者だということをわかって読むとひと味違うと思う。
中山七里あっぱれだね。文学が分断社会に対し何ができるかを -
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ネタバレ『絡新婦の糸』は、SNS時代の人間心理と群衆行動の危うさを表現するミステリー。
物語の中心には、「市民調査室」と名乗る匿名アカウントが存在し、このアカウントは一見、公益のために動いているかのように見えるが、実際には選び抜かれた情報と刺激的な言葉でフォロワーを煽り、特定の人物や組織を糾弾させていく。その結果、老舗高級旅館の支配人と女将が自殺に追い込まれるという痛ましい事件まで発生する。
ネットに氾濫する玉石混交の情報の中で、人は自分が信じたいものだけを選び取り、それを裏付ける情報ばかりに視界を奪われていく。本作は、その思考の偏りがどれほど容易に形成されるか、そしてそれがいかに破壊的な力を持ちうる -
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冤罪事件をテーマとした社会派ミステリー。
死刑判決で解決となった強盗殺人事件。後日、捜査にあたった刑事は冤罪に気づき真実を求めるが、誤りを認めたくない警察・検察組織から疎まれることに・・・
上記の主筋にさらに二重三重の展開が施され、読み応えたっぷりの重厚な作品でした。
冤罪という重いテーマに向き合いながらも、しっかりとエンタメでもあり、社会派小説としてバランスよく仕上がっていると感じました。
多くの要素を盛り込んでいるにも関わらず、詳細まで良く練られているので、矛盾感や違和感もなく、作者の筆力に感服です。
最期に、自身が根の単純な子供みたいな人間なので、このような逆境に立ち向かうヒーロ -
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中山七里さん祭り再開!
(まだ、予約中あり、最新はリクエスト中)
まずは、御子柴シリーズの最新から!
凄い人の弁護人に!
しかも、国選弁護人なんで、大したお金も貰えんのに…
介護施設で、無抵抗の人達を9人も殺す鬼畜!
令和最初で最悪の凶悪犯と呼ばれて…
それの弁護する。
「元〈死体配達人〉が令和最初で最悪の凶悪犯とタッグを組む!」
この見出しだけで、話題騒然やん!
弁護士会の重鎮も、事務所の事務の人も大反対するも、宣伝効果とか言って弁護を請ける御子柴さん…
あんまり、勝ち目も見えんけど…
被告人は、自分のやった事が正しい事って信じてるけど、なんか違和感が…
接見していくうちに、ある真実が… -
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期待を裏切らない!
殺人事件ものはどうしても被害者や刑事、検察側が主人公のストーリーが多いですが、これは民間の鑑定センターの所長が弁護人側に立ち奮闘する珍しいタイプです。
科捜研の技術の確かさはドラマなどでもはや真実なのが当たり前、という中でその無謬性に一石を投じる氏家さん。
すごく尖ったキャラではないのに人情味があり、親友のために奔走する義理固さと、物的証拠を第一とする客観性を失わないバランス感覚がたまりません。
ラストまでの怒涛の展開は目が離せません!
まさか真実があんなことだったとは…科学は嘘をつきませんが、人は嘘をつく。目の前の物的証拠が真実ではない、と思い知らされました。 -
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最近のアンソロジーは本当に豪華というか、ハズレがなくおもしろいよね。
有栖川有栖『ミステリ作家とその弟子』は【砂男】で既読だったけれど、再読でも作家と弟子のやり取りがおもしろい。
退職代行とかZ世代とか、境界知能、ペロペロ動画に闇バイト…すごく今が詰まっている一冊だった。
何十年後かに読まれたら「あ~令和っぽい」ってなるんだろうな。
米澤穂信『供米』は途中まで「うーん、好きな米澤穂信ではない」なんて思ったけど、最後がすごく良くてさすが!という感じ。
中山七里『ハングマン-雛鵜-』は最後続きが気になる終わり方だったな。スッキリさせてほしい!
せっかくだから『祝祭のハングマン』を読んでみよう