中山七里のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
引きこもりと、家庭内で起こる連続不審死がなぜ連動するのか。
そして、プロローグの先に待っているものは何なのか。
シリーズの中で、一番面白くて、一番考えさせられた一冊。
ヒポクラテスシリーズ、やっぱり面白い。
目次におけるタイトルの意味が、引きこもり問題などで語られる「〇〇歳(親)×〇〇歳(子供)という、世代間の年齢問題を表しているのだと、読後に気がついた。
タイトルの意味がずしんと重く感じられた。
この生きにくい社会の中で、子どもたちをどう育てていけばいいのだろう。
読み終えたあとも、親としてそんな問いが頭を擡げてくる。
ミステリーとして面白いだけではなく、親として、そして一人の人間として、いろいろなことを考えさせられる一冊だった。 -
Posted by ブクログ
冒頭から重篤犯罪の現場。しかも、この犯罪に関わっているのは主人公のようだ。かつてダークヒーローものは読んできたつもりだが、類を見ないサイコパスぶりに慄く。
御子柴礼司シリーズの存在は知っていたものの、読む機会を失っていた。もっと早く読めばよかったと後悔するほど、目が離せない。御子柴自身の境遇や心理もさることながら、弁護士としての手腕、裁判の行方、そしてこの窮地からどうやって無罪を勝ち取るのか。さらに殺人事件への関与まで疑われる御子柴が対峙するのは、本音の見えない被疑者、切れ者の検察官、そして渡瀬刑事。やっかいな相手ばかりだ。
「どうせ、ブラック・ジャックみたいな感じでしょ?」と高を括っていたが、そんな単純なものではなかった。
一冊読み終えても、まだ御子柴の深いところは見えてこない。むしろ、もっと知りたくなった。これは……シリーズを読まなくては。 -
Posted by ブクログ
ネタバレとても面白かった。展開がどんどんと進み、御子柴を知る度にどんどん話に引き込まれていった。最後のどんでん返しの連続には何度も驚かされた。感情を表す表現や風景などの表現の一つ一つが細かく、臨場感があった。初めは性格が悪くて冷酷だと思われていた御子柴が、過去を知るうちにいい人だと見方が変わっていったのも面白いし、御子柴や登場人物の心理表現が本当に繊細で情景を想像しやすかった。
ただ自身の読解力不足かもしれないが、里美についての深掘りがあまり無かったため、御子柴の悪徳ぶりを引き立てるのにはいいかもしれないが、最終的にはなんだったんだという若干なんとも言えない気持ちになってしまった。もっとこの女性の苦しみなどを知りたいと思ってしまった。ただ、本題である殺人について、その中でも価値観についてをより深く考えさせるという意味ではとても重要なキャラだったのかもしれない。
また、御子柴がなぜ今回の裁判を引き受けたのかがよくわからなかった。受けなければいけないという使命感があったとかそういう描写が多かったから、もしかして医療少年院にいた頃の友達である雷也が、無理だと思われていた裁判をひっくり返すヒーローのような弁護士になりたいと言っていたことの実現になるかもと思ったり、次郎が母親に見捨てられて死んだことから、母親が捕まって少年一人残されるという状況と重なったことと重なって使命感を持ったのかもしれないとは思った。 -
Posted by ブクログ
パスカル『パンセ』の以下を何度も思い起こしながら読んだ。
「どうしてきみは僕を殺すのか。」
「君が川の向こうに住んでいるからだ。友よ、もしこちら側に住んでいれば僕は人殺しだ。でも向こう側だから僕は勇者だ」(若干意訳)
住んでる国が違うだけなのだ。
社会は完全じゃない。
でもより多くの人が幸せになるように少しづつ変わっていってほしい。
その願いみたいなものがまさにこの本なのではないか。多くの人が考えるきっかけになっている。
自分が今後難病になって回復の見込みが無ければ安楽死したい。
今そういう法は日本に無い。
明日にも事故や病気で激痛を伴う症状に自分も、誰もがなりうる。
今、声を上げなくていいのか。
こういう問題は当事者が元々多くない上に死亡寸前のケースが多く、意見の集約が難しい。
当事者になる前にそれを想像して社会や政治に声を上げる人はなかなか多くない。
子育て世代の意見ですら集約が難しいのに。
だからこそ本書の意義は大きいと感じた。