中山七里のレビュー一覧
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中山七里による「刑事犬養隼人シリーズ」の第6弾。
このシリーズは毎回重い社会問題を取り上げる形になっているが、今回の問題は民間医療とカルト。なかなかに闇が深い。
確かに民間医療とカルトはセットになる要素が十分にあり、どちらも信仰がベースにある。そして一度沼にはまると容易に考えが変わることがなく抜け出せない。巻末の解説にも記されているが、安倍元首相の暗殺事件の前に本作が出されたことは予言めいており、とても興味深い。裏返せば宗教団体が起こす異常な事件については何十年も昔から誰もが認識していたにも関わらず放置され続けてきた問題であり、たまたまそのタイミングで中山七里が題材に取り上げたという事だ。
この犬養隼人シリーズは小説としてとても出来が良く面白く読んできたつもりだし、これからも興味を持って読み続けると思うが、取り上げる社会問題の深刻さ故に毎回重く嫌~な気持ちになると今更ながら気付かされた。 -
Posted by ブクログ
週刊文○・新○のようなスキャンダル雑誌とワイドショー的報道に辟易しているので、途中までは非常に暗い気持ちで読み進めて行った。雑誌の売上や視聴率を上げるために、どんどんメディアはエスカレートしているように思う。それに煽動されるように被害者や加害者を叩く大人や子供達。
主人公の週刊誌の副編集長は分かっていながら、反発する。犯罪者の父親として、ここまで叩かれると会社を辞めたり、引き篭もったりすると思う。被害者の子供と加害者の親として交わることの無い関係が、どんどん濃密に関わってくる。
殺人の原因に違和感が出てくると、先の展開も読めて来てしまう。ドンデン返しも軽いもので、二人の関係も想像の範囲だった。 -
Posted by ブクログ
第2弾
といっても、これで終わりかな?
「さよならドビュッシー」読んだ人なら、元太さんのこと分かるはず…(T . T)
おじいちゃん、おばあちゃんコンビやけど、動きは軽快!
頭の回転も速い!
おばあちゃんは、法曹界に身を置いた正義を貫いた人。
おじいちゃんは、一人で事業を大きくして成功した事業家。清濁合わせ飲んで大きくした。
ある意味、2人は真逆の人やな。
こんな人らが、事件に入り込んだら、一悶着も二悶着もあるか…
正統派攻撃(静さん)で、警察、判事を動かして、容疑者を窮地に!
上手くいかん場合は、非正統派攻撃(玄太郎さん)で、容疑者の商売敵を巻き込んで、容疑者は、生活出来んようになって窮地に!
でもね。
話の途中でも、玄太郎おじいちゃんの行く末は分かっているので、そればっかり考えしまう。
半身不随だとしても、こんな元気でバイタリティあるおじいちゃんが…(´°̥̥̥̥̥̥̥̥ω°̥̥̥̥̥̥̥̥`)
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Posted by ブクログ
ネタバレ「もういちどベートーヴェン」は、中山七里の人気シリーズ「岬洋介シリーズ」の第5作目に当たり、天才ピアニストとしての道を一度は諦めた岬が、親の強制する司法試験にトップ合格し、司法修習生として新たな人生を歩み始める場面から幕を開ける。この物語は、単なるミステリーにとどまらず、人生における「これ以上ない岐路」――つまり、才能と情熱、義務と自己実現の間で揺れ動く瞬間を鮮やかに描き出している。
岬洋介は、ピアニストとしての輝かしい才能を持ちながらも、ある挫折を機に音楽の道を捨て、法曹界へと進む。しかし、彼の心の奥底に眠る音楽への思慕が、司法修習の中で再燃し、同期との出会や事件を通じて、再び音楽と向き合う運命が訪れる。
岬が取り調べに立ち会う場面で、殺人容疑を否認する絵本画家・牧部日美子の事件に介入する瞬間は、彼の論理的思考と音楽的感性が交錯するターニングポイントで、自分が本当に進むべき道を模索し始める。
岬が法曹界での成功と音楽への回帰という二つの選択肢の間で特に葛藤する様も見せず『何が自分にとっての本当の幸福か』という問いへの答えを見つけ実行する強さだけが目立つ
ベートーヴェンの楽曲が物語に織り込まれることで、感情の高ぶりや内省がより深く伝わり、彼の選択が単なる職業の変更ではなく、魂の再生ともいえる重みを帯びていることが感じられる
人生の岐路とは、時に後戻りできない決断を迫られる瞬間であり、「もういちどベートーヴェン」はその過酷さと美しさを余すところなく描き出す -
Posted by ブクログ
『悪徳の輪舞曲ロンド』
「弁護士・御子柴礼司シリーズ」
中山七里(著)
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### **あらすじ**
報酬のためには手段を選ばない悪徳弁護士・御子柴礼司の前に、三十年ぶりに妹・梓が現れる。彼女の依頼は、夫殺しの容疑で逮捕された母・郁美の弁護だった。かつて“死体配達人”と呼ばれた御子柴が実母を弁護することに動揺する検察側。母子二代にわたる殺人の系譜は存在するのか――?
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### **感想**
シリーズが進むにつれて、御子柴礼司という人物の核心にどんどん切り込んでいく展開が魅力的です。今回は、彼が母の弁護を引き受けるという、極めて難しい状況に直面します。
「正義」とは、見る角度によって異なるものです。その客観的な指標として法律が存在し、私たちは法律の枠内で生きています。しかし、その境界線は決して明確ではなく、曖昧さを孕んでいるのが現実です。本作では、御子柴自身がその境界線のどちら側に立っているのかを問い直しながら、彼の眠っていた感情が少しずつ目覚めていく様子が描かれます。この内面的な変化こそが、本シリーズの大きな見どころの一つです。
とはいえ、御子柴の過去の罪は決して許されるものではありません。その過去と向き合いながら、彼が社会とどのように折り合いをつけ、罪を犯した者と社会との関係をどのように描いていくのか。本作を読んで改めて、このシリーズの行方を最後まで追いかけたいと強く思いました。