中山七里のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
『合唱』岬洋介の帰還
幼稚園で幼児らを惨殺した直後、自らに覚醒剤を注射した犯人 仙街不比等。
この事件の担当検事になった天生高春は、刑法第39条による無罪判決が下る恐れもあり、仙街の殺意を立証すべく取調べに挑むが・・・
なんと取調べ中に突如意識を失い、覚醒した目の前には、仙街の銃殺死体があり、指紋、硝煙反応が検出され、身に覚えのない殺害容疑で逮捕されてしまう。
しかも、担当検事は、岬恭平!
そんな天生を救う為、あの男"岬洋介"が帰還する。
ピアニストとしてではなく、弁護士?
この作品は、中山先生のファンなら、ぐうの音も出ない作品だと思います。
中山作品のあの弁護士、この刑事 -
Posted by ブクログ
千葉県中央区栄町、午前九時四十分
レイハンは、戒律の厳しい国で生まれ育った。風俗街は決して愉快なロケーションではない。だが、清貧な滅亡よりはずっとましだ。
他人の文化を嘲笑するものは、己の帰属する民族なり文化なりが滅びる可能性など露ほども考えないに違いない(実情だと思います)
レイハンは背後にただならぬ気配を感じた。
主人公・高頭冴子は同期の県警生活安全総務課警部山野美香から「中国人留学生就労者の行方不明者が頻発している」と聞いた。行方不明者届が出されている手前、調べてみたら成田から出国した記録が見つかった。
「一応国籍は中国。だけど正確には東トルキスタン」出身が新疆ウイグル自治区だ。
-
Posted by ブクログ
著書のタイトルを見て、どこかで聞いたことがあるフレーズだと思うでしょう。巻末に著者も、『本書は、中島みゆきさんの楽曲「ファイト!」から、作品の構想を得ています』と書いています。
主人公・喜多嶋凛「わたし、今日から教員なんです」とときめきながら埼玉県神室町幼稚園教諭、星組担当で新入生から三年同じ園児を受け持つことになった。
凛が起こすトラブルが、一筋縄では綴れない苦しさを感じます。正論なんだけど…
正しいと思ったことをすぐに口にする。社会との接点が多くなるにつれて正論を吐く事が必ずしも正しい事ではないのを理解し始めてからも、己の胸が異議を唱えた時は口を開かずにはいられない。そしてそ -
Posted by ブクログ
ネタバレクライマックスはまるでブルース・ウィリスの『アルマゲドン』。
それにつけても純一の身勝手さよ。邦彦に託したものの大きさを思えば、刺されて死んでしまうことのなんと楽なことか。信頼と守るべきものを得た歓びの代償はあまりにも大きく、邦彦の人生の悲惨さにやり切れない思いが募る。
***
改めて放射能の恐ろしさと、そこで命を切り売りしながら働く末端の作業員の実情に震えた。実際、国の基準をきちんとクリアして稼働していても、想定以上の地震や津波によって一瞬のうちに多くの命を脅かす存在となってしまう原発。現在は、3.11以前以上の厳しい基準に則って稼働していると聞くが、南海トラフ地震、首都直下地震など、近 -
Posted by ブクログ
中山さんの本があまりにもどれもこれも面白いので、一体どうなってるんだ?と思ったので、楽しみにしてました。
その答えがここに。
話の展開や、登場人物の造形や名前、視点など、そうそう、読者としてはそういう小説が読みたいのよ!と、すごくにやにやしてしまった。
それに、読者を顧客と思って書いてくれているのが伝わってきて、それこそが、「中山さんの本ならば」という信頼につながっている、と思う。
仕事に向きあう姿勢については衝撃的で……今まで読んだ中山さんの本の中で、一番爪痕が残りました。覚悟に、泣ける。
ひたすら読むことがすきなわたしには興味深かったのですが、ミステリ作家を目指す人に役立つのかなあ?
-
Posted by ブクログ
オーディブルにて。
すっかり御子柴弁護士の虜になって3作目。このシリーズは毎回出し惜しみなく重要人物が被告人になるのが面白い。今回は父のように慕う恩師。1作目で描かれた御子柴弁護士の医療少年院時代を思い出しながら読んだ。
冒頭の韓国船沈没事件による「緊急避難」の適用事例から、リーガルサスペンスの面白さが詰まった作品。これまでのヒーロー弁護士作品にありがちな、警察が見逃した決定的な物証を弁護士が見つけて突きつけるというよりは、御子柴弁護士は弁論によって相手の心証を操作するという、どちらかというとリアルな弁護士であるところがこのシリーズの面白いところ。本作はまさにそんな巧みな弁論が見所だった。