中山七里のレビュー一覧
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中山七里による「刑事犬養隼人シリーズ」の第6弾。
このシリーズは毎回重い社会問題を取り上げる形になっているが、今回の問題は民間医療とカルト。なかなかに闇が深い。
確かに民間医療とカルトはセットになる要素が十分にあり、どちらも信仰がベースにある。そして一度沼にはまると容易に考えが変わることがなく抜け出せない。巻末の解説にも記されているが、安倍元首相の暗殺事件の前に本作が出されたことは予言めいており、とても興味深い。裏返せば宗教団体が起こす異常な事件については何十年も昔から誰もが認識していたにも関わらず放置され続けてきた問題であり、たまたまそのタイミングで中山七里が題材に取り上げたという事だ。
こ -
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音楽大学を舞台に展開する本格ミステリーで、ピアニスト岬洋介が登場するシリーズの第2作。秋の定期演奏会を控える名門・愛知音楽大学で起こる謎の事件に、臨時講師として赴任した岬が巻き込まれていきます。クラシック音楽の知識がなくても読者を引き込む巧みな構成と、繊細な心理描写が本作の魅力です。
若き音楽家たちの葛藤や情熱が、音楽という芸術の持つ緊張感や儚さと重なり合い、ページをめくるごとに深みを増していきます。ラフマニノフの美しい旋律が物語全体に流れ、音と静寂、喝采が聞こえてくるような独特の読後感を残します。
岬洋介の冷静で知的な推理と、淡々としながらも鋭く人間の本質に切り込む姿は、音楽ミステリーの -
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弁護士御子柴シリーズ2作目!
まさに追憶…
ざらーっとした読後感で
ちょっと沈む。
中山七里さんの作品だから
つまらないありきたりな事件で
終わらないだろうとは思ってたけど、
こういうことかー…と凹む。
今作は完全に前作ありきな物語。
前作を読まなくても楽しめるけど
より深く楽しむなら前作から♪
何より前作で謎に包まれてた
大事な部分が今作で明かされる!
思わずそこだけ三度読みしたほど。
被告人は本当に罪を犯したのか。
何よりなぜ御子柴は不利な材料しかない
弁護を引き受けたのか。
後半の畳み掛けから目が離せなくなる!
一番響いたのはラストのラスト、
「償うことで人は生きていけるとい -
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週刊文○・新○のようなスキャンダル雑誌とワイドショー的報道に辟易しているので、途中までは非常に暗い気持ちで読み進めて行った。雑誌の売上や視聴率を上げるために、どんどんメディアはエスカレートしているように思う。それに煽動されるように被害者や加害者を叩く大人や子供達。
主人公の週刊誌の副編集長は分かっていながら、反発する。犯罪者の父親として、ここまで叩かれると会社を辞めたり、引き篭もったりすると思う。被害者の子供と加害者の親として交わることの無い関係が、どんどん濃密に関わってくる。
殺人の原因に違和感が出てくると、先の展開も読めて来てしまう。ドンデン返しも軽いもので、二人の関係も想像の範囲だった。 -
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殺戮の狂詩曲 弁護士「御子柴礼司」シリーズ
著者:中山 七里
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### あらすじ
【偽善という言葉から、これほど遠い小説はない】
高級老人ホームで発生した、令和最悪の凶悪殺人事件。
好人物を装っていた介護職員の心中に渦巻く邪悪。
最低な被疑者への弁護を名乗り出た悪評塗れの弁護士・御子柴礼司が、胸に秘める驚愕の企みとは?
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### **感想**
本作は、2016年7月26日に神奈川県相模原市の知的障害者施設で起きた「津久井やまゆり園事件」を想起させる内容となっています。あの事件を初めて知ったときの衝撃と、理解を超えた恐怖が蘇りました。犯行の異常 -
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弁護士御子柴シリーズ1作目!
とにかく御子柴がすごいに尽きる。
言動がキレッキレで、
御子柴が出てくるたびに
その思考を覗けるのが楽しい♪
題材も踏み込んでて
内容も相俟ってドキドキが増し増し。
でもこのセンシティブなとこを
突きに突くのを楽しめるのも
中山七里さんの魅力のひとつなのかな?
とも思ってみたり。
贖罪…
罪を償うこと…
刑期を終えれば償ったことになる?
遺族は許してくれる?
人の命を何かで償えるわけがない。
贖罪のあり方について、
考えさせてくれた本作。
他シリーズでも毎度大活躍の渡瀬警部の
魅力は相変わらずたっぷり!
いろんなワード、台詞が印象的だったけど、
その