中山七里のレビュー一覧
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毒島節が今回も小気味よく響き渡る。
文庫本の表紙には、多少髪は乱れているがスマートな見た目の刑事のイラストが描かれている。
だけど、実際の文中では温和なとか柔和な顔とか書かれていて、少し印象が違う。
さらには毒島刑事のセリフ回しからは、どうしても中山七里さん本人の顔がチラチラする。
しかしまぁ、そんなことはどうでも良い。
文庫本中、1話ごとの仕切りの黒紙、表紙イラストの凝り様など、この本に対する力の入れ方がすごい。中身も負けてない。犯人を捕まえただけで終わらない。その次、さらにその次、と話の階層が深まって行く。
やはり推理小説って好きだー、と再確認した。 -
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秋山善吉。昭和ひとケタ生まれで80歳になるが、まだまだ現役の大工の棟梁だ。
義理人情に厚く曲がったことが大嫌い。頑固一徹で余計な口は聞かないが、頭の回転は速いし腕っぷしも強い。おまけに顔も広いときた。怒らすと厄介な頑固じじいである。
そんな善吉のもとに身を寄せてきたのが、息子の嫁と孫2人。先日起きた火災で息子の史親が焼死し、自宅も全焼したからだ。
優しいことばをかけてやるなどしない善吉だが、嫁や孫たちの抱える悩みはお見通しであった。
秋山善吉の快刀乱麻の活躍を描く、ヒューマンドラマ。
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木造瓦葺き2階建ての古い日本家屋が見えてきたとき、「馬鹿野郎!」と -
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『鑑定人 氏家京太郎』
著者:中山 七里
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### **あらすじ**
民間の科学捜査鑑定所〈氏家鑑定センター〉。
所長の氏家は、女子大生3人を惨殺したとされる猟奇殺人犯の弁護士から再鑑定の依頼を受ける。
容疑者の男は、2人の殺害は認めるが、もう1人への犯行は否認している。
相対する警視庁科捜研との火花が散る中、裁判の行く末は——。
驚愕の結末が待ち受ける、圧巻の鑑定サスペンス!
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### **感想**
警察小説や医療小説はよく見かけますが、本作はその中間的な立ち位置にある「科学捜査鑑定所」が舞台となる点が新鮮でした。主人公・氏家が繰 -
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物語としては複雑な人間関係やら
岩明均の「寄生獣」を彷彿させるジンさんの存在などユニークな内容。
しかし相続税の申告どうしたんだろう?
鴇川行平は不動産収入あったなら所得税の準確定申告もあるだろうし
普通申告が絡む不動産評価は税理士がするでしょと
島民と同じように主人公に対し疑問を持ちながら読み進める。
ラスト付近になり税理士ではなく
相続鑑定士(土地家屋調査士?)じゃないといけない理由が判明。
だって測量などしない税理士では気づかんでしょ。あれは。
わたくしからみなさんに伝えたい大事なことは、
申告書は期限内に提出すること、
それと台風の日は出歩かないことです。殺人事件が起こります。 -
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ネタバレあまり自分ごととして考えたことのなかった、臓器移植、ドナーとレシピエントとの関係についての本だったが、とても考えさせられた。私は臓器提供の意思を書いていないし、考えてもいなかったので、実際に臓器移植をした人たちや、対する遺族の考えなど知ることができた。本の中にあったように、脳死判定され、意思を示していた側としては生きているうちにどうぞ使ってくださいと軽く?思っているかもしれないけど、残された遺族としては脳以外の臓器は全て健康なまま死亡判定されるのは辛く、また移植された臓器が今どこで生きているのか、またどのように生かされてるのか気になると言うのは共感できた。犯人についても、医師としての名誉が関わ
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うわーーーこれ面白かった。
一気に読んでしまったよ…目がしぱしぱする。
創作への情熱を思い出すような内容で、結構えげつないことも書かれてたけど、不思議と背中を押された感覚があった、ものすごく。
私はインプットもアウトプットも両方不足してるから、とにかく描きたいし、何か見たい、読みたいって思った。
読んで良かった…近年のやる気不足を吹き飛ばしてくれる内容だった。
こんななけなしのやる気、出してもしょうがないし、才能もないから…って思うけど、それをバネに「悔しい…見返してやるーーー!!」っていう気持ちを教えてもらった。
それはほんとに大事な気持ち。
悪いものもプラスに変換していきたい!
この本なか -
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現在の社会を象徴しているような小説。
情報化社会の便利さに隠れた負の部分を、とても表現していたと思う。前日まで、自分の正義を、振りかざしていた普通の人たちが、何か一つでも踏み外すと、瞬く間に糾弾される立場になるということ。一瞬に情報は広がり、もちろん殺人など重罪は論外だけど、会ったこともない顔も知らない数えきれない人たちからの非難で、命の危険さえも感じられる状況、本当に怖い。
ある日突然、大学生の息子が、ストーカー殺人を犯して自らも自殺した疑いがあると、警察が家へ訪ねて来た。そしてその直後から加害者家族という立場になり、出版社の週刊誌の副編集長であった志賀倫成は、逆に取材される立場となり、生 -
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カインはアダムとイヴの長男だが、神は弟のアベルを可愛がったため妬んでアベルを殺害した。そのカインがタイトルになっている。そして刑事犬養シリーズ5作目である(切り裂きジャックの告白、七色の毒、ハーメルンの誘拐魔、ドクター・デスの遺産の順)。私はタイトルに拘るので、タイトルだけで面白いと思ってしまう。
中山七里さんの切り裂きジャックの告白とは似て非なる事件が起こる。被害者は10代。犬養隼人が高千穂明日香と犯人を追う。中山七里さんの作品は動機、手法、機会がきちんと描かれているところが気に入っている。更に専門的な見聞も取材により現実的でリアリティが高い。
なぜ10代ばかりが犠牲になるのか?臓器移植 -
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ゴミ屋敷や死体の発見された部屋のハウスクリーニング-特殊清掃を行うエンドクリーナが扱った事例を4本集めた本だが、死体が発生する強烈な臭いの描写が何とも凄かった.オーナーの五百旗頭と新入社員の秋廣香澄、社員歴の長い白井寛が依頼物件を扱うが、関口麻莉奈が母との生き方の違いで「みんな滅びろ」と書き残して孤独死する「祈りと呪い」.社員の女性を私的に部屋に招いて優雅な生活を楽しんでいた伊根欣二郎が、浴槽で死んでいた「腐蝕と還元」では物件オーナーの娘との接点から事故原因が判明する.白井の学生時代のバンド仲間が死体で発見された「絶望と希望」では、ボーカル担当だったみかろんこと山口美香が突然売れ出した曲の出所
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『ラスプーチンの庭』
中山 七里 (著)
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### **あらすじ**
中学生の娘・沙耶香を見舞うため病院を訪れた警視庁捜査一課の犬養隼人は、沙耶香の友人である庄野祐樹という少年と出会う。長い闘病生活の末、突如自宅療養へと切り替え退院した祐樹だったが、1カ月後に急死。告別式に参列した犬養は、遺体に奇妙な痣があることに気付く。さらに、同じ痣を持つ女性の自殺遺体が発見され、事件は一気に動き出す。捜査を進めるうちに浮かび上がるのは〈ナチュラリー〉という民間医療団体。主宰者の謎めいた存在と、団体設立に隠された真の狙いとは――?
先進医療と民間療法、その光と闇を鋭く抉る社会派医療ミス