中山七里のレビュー一覧
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ネタバレ今回もベートーヴェンを聴きながら読書。
てっきりピアニストとしての話だと思ったらなんと司法試験のトップ合格者の岬。何をしてもトップをとれるのが凄い。そんな中でもピアニストを目指して欲しかったわたしは天生にお礼を言いたい。ほんとにありがとう。岬洋介を音楽の世界に戻してくれて。あと司法の勉強をしてたから難解事件も楽々と解決してきたんだなと納得。あと鷹村くんのことだけは友達と思っていたのは胸熱。そして天生くんとも友達になれたね。
・「友達はいたのかよ」「高二の時に一人だけいましたよ。少なくとも僕はそう信じています」
・仕事の価値は自分以外の人間をどれだけ幸福にできるかで決まる──。
・「あなたにサントリーホールへ連れていかれ、〈皇帝〉を聴いた。あれが引き金の一つでした。折角それまで封印してきた音楽への想いをあなたは再燃させてしまった」
・コンクールで入賞できるコンテスタントは成績で選ばれているんじゃない。 音楽の神様に選ばれているんだ。
・「司法修習を完了していない人間に弁護士資格は与えられませんよ。天生さんなら知っているでしょう」「それでもいいから助けに来い。君のことだからどんなことをしてでも弁護士資格を捥ぎ取るはずだ」 少しだけ考え込んでから、岬は頷く。「僕でよければ地球の裏側からでも駆けつけますよ」「きっとだぞ」 -
Posted by ブクログ
この表紙はなんだか中山七里先生の作品じゃないみたいと思わせておいて、読後はあぁ~やっぱこの表紙はこの作品によく似合うと思わせてくれました。静おばあちゃんと孫娘の円、葛城刑事もこれまで読んできた作品に登場してきたので、そこも得した気分にさせてくれます。特に、4話「静おばあちゃんの醜聞」は「テミスの剣」のことだなぁ~と!そちらも読んでいたので、いい感じにデジャブ感を味わえました。そうそう、イケメン犬養刑事もちょこっと登場します(^-^)
前置きでちょっと触れましたが、静おばあちゃんは日本で20番目の女性判事を務めた経験があり、孫娘の円は自分も法曹界で働きたいと大学で法学を学んでいます。そして葛城刑事は、誰からも好印象をもたれる人の良さそうで聞き上手の刑事です(ちょっと葛城刑事もいいかも♡)。葛城刑事が遭遇した事件に、円がアドバイザーとして参画する(実は静おばあちゃんの助言を得て)5編の短編集となっています。
それぞれの短編は、まぁまぁ…そうなるよね!みたいな感じだったんだけれど、エンディングでやられました!あと円と葛城刑事の恋路もまた新鮮で面白く読めました。
静おばあちゃんが、乱れた円の部屋を目の当たりにして注意する場面…
「本棚はその人の知性を、部屋の状態はその人の精神状態を表すのよ。この部屋の住人は精神錯乱なの?そんな風だから、あなたは鈍感で人を見る目も洞察力も半人前で」
これ…私のことを言われてるんじゃないかと思っちゃいましたよ(^▽^;) -
Posted by ブクログ
犬養隼人シリーズで「ドクター・デスの遺産」の続編。
前作のトラウマが残っている犬養&高千穂コンビにまた悪夢が訪れる。今度は前作とは違い200万円の高額報酬を受け取っており更にタチが悪い。ちなみにミステリとしては、今回登場するある役人キャラクターの出方にあまりにも違和感があり容易にオチが想像出来た。そのため驚きもなく、この点の評価は低い。
それにしても読むほどに考えさせられるのがこの安楽死問題だ。もしも自分や家族が...と考えると、長く苦しみながら延命治療をされるよりも楽にしてもらいたいし、家族にはそうした方が幸せかとも思う。作中でもこの手の事件の特異性として「被害者がいない」という点が挙げられているのも頷ける。その反面、安楽死が認められた場合、その制度を悪用する輩がたくさん出るであろう事も想像に難くない。本件のようにアングラならまだしも、法制化された方がより一層大手を振って悪用されるケースが頻発するかもしれない。
どうするべきかは安易に結論が出ないが、だからこそ本作にあるように軽々に法制化に動くのではなく、国民全員で議論を尽くすプロセスが必要だと思う。 -
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ネタバレ物語は「急進革マル派」を名乗る極左勢力による一連の事件から始まる。出版社放火、キャンパス内殺人、米軍基地反対デモでの殺人、そして選挙爆破テロ未遂──連鎖する凶行の背後には、思想的に洗脳された加害者たちの姿があった。
ここで描かれる「普通の人々」とは、真面目で、人が良く、しかし未熟で、自分は恵まれていないと感じている人たちである。彼らは、自力で解決できない課題を環境や政治といった外部要因のせいにしやすく、その弱さゆえに極端な思想へと取り込まれてしまう。
犯人はその心理的な脆さを熟知し、彼らを「左翼活動家」へと仕立て上げ、社会を震撼させる事件の実行者に変えていく。思想的暴力の影響で、ありふれた市民が加害者に転落していく過程を描いた作品で、ストーリー性が面白いと感じた。 -
Posted by ブクログ
ネタバレミステリーと言い切ってしまうには少し違うかな?と思いましたが、相変わらず楽曲の表現は美しくてガーシュウィンについても、ラプソディー・イン・ブルーについてもより知れた気がします。
〈愛国者〉が誰なのかが気になるポイントのひとつではあるけれど、そこに至るまでの世界情勢であったり、差別された側の心の傷だったり…を鑑みるととても悲しくもあり切なくもあり…な最後だった。
生きたかった本来の自分の姿とはかけ離れてしまったけれど、〈愛国者〉の音楽への愛情は深くて、最終的に憧れたエドと岬に伝わっていたのは救いがあったかも。
あと私も気になったんですがアメリアがー!
アメリアの考え方は変わるのかなと思ったんだけど触れられずに終わっちゃった…。
でも岬が終盤で言った「音楽が全ての人を救えるとは限りません」の言葉で納得したかな。
ここでアメリアの考え方が変わらなかった事が、いっそう現実味を増すスパイスになった気もしました。これで良かったのかも。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ
今回も前回同様聴ける曲は聴きながら読んだ。
そして今回は岬先生の高校時代の話で岬洋介シリーズ0みたいで楽しく読めた。
鷹村くんとのやり取りは岬先生の初めての理解者が出来たみたいで嬉しかった。あんなにも理解して守ってくれる人がいるなんて素敵。それなのにあの別れ方は辛すぎる。せめて学校を出ていくことくらいは伝えて欲しかったけど伝えないのが岬洋介なんだよな。
そしてびっくりしたのが岬はこの時から突発性難聴を発症していたと言うこと。そして諦めたはずのピアノの世界にまたいること、次作はピアノとどう向き合うのか気になる。
・「楽聖と比べるのはおこがましいけど、彼と同じ立場になって改めて思い知らされる。聴力を失って、尚も音楽の世界に踏みとどまった彼は紛れもない超人だよ。彼を羅針盤にしたいなんて言ったけど、僕にはそんな資格すらない。片方の耳が数分使い物にならなくなる程度で、もう逃げ道を探そうとしている」
・「君を裏切った。それでも俺を赦してくれるのか」「赦さなきゃならないことなんて、ない」「じゃあ、責めるつもりもないのに俺を呼び出した理由って何なんだよ」「演奏を聴いて欲しくて」「そんなもの、いつだって聴いてやるよ」「これが最後の、演奏になると思う」
・「これでもう、悔いはない」 そう言って僕の肩に手を置くと、静かに音楽室を出ていった。それ以来、岬は僕たちの前から姿を消してしまった。あの日が彼の最終登校日だったのだ。
・それを見た瞬間、僕は彼が甦ったことを遅まきながら知ったのだ。懐かしさと歓喜が同時に訪れ、僕はしばらくテレビの前で目頭を熱くしていた。