中山七里のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
昔俳優をやっていた事から、人の嘘を見抜く力がある刑事・犬養隼人が主人公のシリーズ第二作。
二作目から読んでも問題なく入れました。
赤い水・黒いハト・白い原稿・青い魚・緑園の主・黄色いリボン・紫の供花
と七篇の事件が収録されている。
それぞれに性質の違う、一筋縄ではいかない事件ばかりで、それぞれに仕掛けがあり面白い。
一話と七話が繋がりがあったりというお楽しみ要素も。
文学賞のやらせをテーマにした白い原稿が、物書きの怨念が籠もっているようで印象的。
人の嘘を見抜くが、女の嘘は見抜けない、という主人公の設定も面白い。
私も演劇の人ですが、嘘は見抜けないなぁ…。 -
Posted by ブクログ
ネタバレパイセン本。
中山七里著『祝祭のハングマン』は、法の網をすり抜ける悪を裁く「私刑執行人=ハングマン」という、ダークヒーロー的存在を核に据えた作品である。その設定は単なる勧善懲悪の枠を超え、人間の心に潜む復讐心や正義への渇望を鮮やかに照らし出す。主人公たちの姿は、理性と激情のはざまで揺らぎながらも、許されざる者を断罪するという一点に収斂していく。その過程は倫理観を鋭く突きつけると同時に、読む者に強いカタルシスをもたらす。序盤の静謐な展開から、後半にかけての昂揚は見事であり、闇に潜むハングマンの存在が現実に顕現したかのような迫力を放つ。正義と悪の境界が溶解する中でなお、人はなぜ「裁きたい」と願う -
Posted by ブクログ
タイトルの「静おばあちゃん」は『テミスの剣』の高円寺静裁判官。
ストーリーはともかく、『テミスの剣』を先に読んでいたからこそ、心に響いた静おばあちゃんの言葉。
「どんな行為にも言い訳がある。どんな人間にも正義がある。でも、それは本人以外の目で測ると歪んでいることがままあってね。しかも組織という枠組みの中にいるともっと頑迷に、もっと歪んでしまうの」
「正義というのはね、困っている人を助けること、飢えている人に自分のパンを分け与えること。定義なんてそれで充分」
「権力を握った人間は自分が正義だと思い込んで、その正義を揺るがすものを赦そうとしない」
「仕事の価値はね、組織の大きさや収入の多 -
Posted by ブクログ
ネタバレ『作家刑事毒島の暴言』は、「文壇の闇」を題材にした短編連作で、炎上商法に手を染める新人作家、インフルエンサー書評家と若手作家を煽って対決企画を仕掛ける編集者、実績がないのに小説教室で荒稼ぎする講師、身の丈を超えて直木賞を渇望する作家、宗教法人に雇われる代筆作家――といった“承認欲求モンスター”が次々と登場する。
①炎上でバズりを狙う作家の自己演出が破綻する過程、②“文学系インフルエンサー”と老害文学評論家の対立を煽る編集の倫理、③看板だけ派手な小説教室の搾取構造、④受賞願望が現実認知を歪める心理、⑤信仰とビジネスが絡んだ代筆のグレー――いずれも「評価されたい」という承認欲求が犯罪や破滅へ接続 -
Posted by ブクログ
ネタバレ2025/48
とっても考えさせられて良かった。
子供が自分の意思で、または親の意思で臓器を抜き取られる。率直にいうとゾッとする。
とくに中国から養子に出された子が、わけもわからず臓器を取られ、術後不良で死ぬってつらすぎる。
香典目当ての父親にも心底腹が立った。
だけど後半になるにつれて、私も犬養刑事と同様どこかで揺れ動くような感情を持たされて
正しさってなんなんだろう。正解ってなんだったんだろう、って考えずにいられなかった。
執刀医、閉腹医、口止めの殺人犯がすべて異なるというのも面白かった。長束さん……
高千穂が少し刑事として成長していて嬉しい。
相変わらず感情的なんだけど、頼れ -
Posted by ブクログ
ネタバレ本作は、元刑事で現在は作家となっている毒島真理の“刑事時代最後の戦い”を描くシリーズ第0話的な立ち位置。自身が優秀であると勘違いし、承認欲求を拗らせている犯人たちを取り調べを通じて落としていく舌戦が見ものの作品。
各話のバックボーンには「教授」と呼ばれる人物が存在し、承認欲求や歪んだ夢を抱えた人間たちを心理的に追い込み、間接的に犯罪を実行させていた。
単なる犯人ではなく、弱さに付け込んで弄ぶ存在であり、社会にこれからも同じ悲劇を生み続けるであろう知能犯で、裁判という正義の執行では止められない相手であると判断し、舌戦で教授を追い込み自殺へと誘導した。 -
Posted by ブクログ
作家毒島刑事シリーズ第4弾!
これ、編集者の間でバカウケしてるらしい。それだけ、業界内の事描いてるんやな。(でも、そんなもんやないらしい^^;)
相変わらず、犬養刑事は、本関連の事件だと、全力で逃げる。
どんなけ、若手の時に、毒島刑事から、凄い教育をされたか想像はつくな(^◇^;)
しかし、やはり、殺人事件よりも、業界内の辛辣な意見が、作家さん本人とオーバーラップしてしまって…(^◇^;)
気持ちはよく分かる。
作家目指すのもええけど、もっと現実見ろや!って言いたいやと思う!
会社員よりも、もっと厳しい世界。
一握りしか成功しない世界に入って甘えてんな!みたいな。
それも、努力なんか普 -
Posted by ブクログ
ネタバレ元捜査一課の刑事でありながら人気作家となった毒島真理が、出版業界を舞台に起きる事件を、鋭い観察眼と容赦ない毒舌で解き明かしていく連作短編集。
編集者や作家、ドラマ業界など、出版を取り巻く人間模様の中で次々と事件が展開する。
事件の謎解き以上に、夢や憧れに取り憑かれた人間の脆さを暴き出すのが痛快だった。毒島は「アイドルやスポーツ選手は素養があるが、作家志望者の9割は根拠も才能もない」と言い切り、編集者の苦労を代弁する。さらに「被害者意識は金言を雑音に変える」「夢は人生を拗らせる重荷になる」といった言葉で、人間の自己正当化や承認欲求を容赦なく断罪する。
『作家刑事毒島』は、推理小説の体裁を取りなが -
Posted by ブクログ
ネタバレ物語の舞台は、岡山県・津山市に存在する山深い村─姫野村。そこに残るのは、戦後まもなく村人6人を惨殺した元地主・巌尾利兵衛の呪い。70年以上にわたり、鬼哭山(おになきやま)からの咆哮とともに“祟り”が襲いかかるという伝承がある。
令和の新型コロナ禍におけるマスク着用の同調圧力や情勢不安の鬱積─その中で東京から移住してきた麻宮をきっかけに、不穏な空気が村を覆い、次々に不審死が起きる話。
姫野村での閉鎖的な環境で日々の不満が蓄積すると余所者への攻撃が正当化されてしまう。陰性証明書のような証明があったとしても陰謀論に飛びつき、話を聞こうともしない。私自身の地元も多少田舎なので心当たりのある話だった。