中山七里のレビュー一覧
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ミステリーと障害者スポーツの現状をミックスさせた中山七里ならではの作品。本作では何と犬養隼人と御子柴礼司が登場する。しかも御子柴はちょっとの顔出しではなく、まあまあ重要な役割だ。中山七里のシリーズを越えたキャラクターの共演が楽しめる。
さて、ミステリーの方は途中からある程度タネが想像できたのでここでは言及しないが、障害者スポーツ関連については非常に勉強になった。最近でこそオリンピックとパラリンピックが共催されてテニスの藤枝慎吾や小田凱人、上地結衣などのお陰で多少は認知度が高まってはいるが、それでもマスコミの報道は圧倒的に少なく、当然それに比例して一般人の認知度も高くない。基本的には「無関心」が -
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岬洋介シリーズは現在8作が刊行されていますが、本作はその第3弾にあたります。シリーズと言いつつ、岬洋介はあくまでサブキャラクター的な立ち位置で、作品ごとに主人公が異なるのが特徴です。
「おやすみラフマニノフ」と同様、音楽に関する描写では専門用語が多用されており、クラシック音楽に不慣れな読者にはやや難解に感じられる部分があります。一方で、音楽描写は非常に本格的で、作品全体にリアリティを与えています。
冒頭では、実在の事件であるポーランド政府専用機墜落事故が描かれており、その描写の緻密さには驚かされました。ロシアとの国際関係にも触れ、現実味のある描写が印象的です。
ミステリー要素についてはや -
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宮城県警シリーズの完結編との事で、3シリーズの中で1番被災者の悲哀にスポットが当たっていると感じた。
本作でもやはり境界線の問題が重く伸し掛る。
被災しなかった負い目を感じてしまう蓮田の姿が悲しい。
刑事としての使命を全うせねばならないが、懐かしい友情に揺さぶられる姿が印象深い。
復興を進めたい行政と、思い出深い家を流されて傷付き仮設住宅に住み続けている被災者とのベクトルがこんなにも違うのは辛いの一言だ。
被災地では無遠慮なボランティアが問題になる事もあるらしいが、本作のように怪しいNPO法人も世の中には幾つも存在して来たのだろう。
弱った人間を食い物にするこの手の輩はどうしても湧いてくる -
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これはもしかして「作品紹介」からトリック始まってる?
中山七里らしい意地悪な小説で面白かった。
作品紹介の「金も仕事も住処も失った元エリート・溝端了衛は20年ぶりに故郷に帰る。」なんて、白々しい導入だ。
主人公の了衛は元エリートなどではなく、元エリートだと思い込んでいる自己中心的で軽薄、仕事のできない40男だというのはすぐに露呈する。村に移住して早々、朝早くクラッシック音楽を拡声器で村中に流すとな?とんだ迷惑野郎だが、本人は自分は正しく崇高な音楽を理解できない村人が無教養、そんな無知蒙昧な村人を啓もうするのだと思っている。その後も終始最後の最後まで考えなしだ。
こんな主人公目線で小説が語ら -
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加害者であった過去を持つ御子柴が贖罪をどう果たすのかという重いテーマで、御子柴を許せないと思いながらも、次第に彼の行動の意味を考えさせられ、単純な善悪では判断できない複雑な感情を抱きました。また御子柴の過去の描写で彼がどのように被害者に対して罪を償おうと決心したのかという心情の変化と、弁護士になろうと決心した経緯について周囲との人間関係や出来事をもとに描写されており、彼の贖罪は、ただの反省や謝罪ではなく、罪を背負いながら法の場で戦うことであるように感じ、御子柴の人物像について“元死体配達人”から"御子柴礼司"へ解像度を深めることが出来たと感じました。
作中の証人尋問や証拠 -
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ネタバレ最初から最後まで、まるで崖の縁を歩いているかのような緊張感に包まれた一冊だった。息をつく間もない展開に、ページをめくる手が止まらなかった。
物語の中心にいるのは、公安のエリート・幣原。その息子がまさかのテロリスト志願者として晒されるという衝撃的な展開に、ただただ唖然とした。国の中枢に関わる父親を持ちながら、どうしてそんな道を選んだのか。その謎に迫っていく過程で描かれる幣原の苦悩、そして何よりも母親の切迫した感情が胸に刺さった。
物語の途中、母親の予想外の行動に「ちょっと待ってよ!」とイライラしてしまう場面もあったが、それもまた彼女の必死さの表れなのだと感じた。
そして、ラストに明かされる -
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ヒポクラテスの悔恨
著者:中山七里
**あらすじ**:
「これから一人だけ誰かを殺す。自然死にしか見えないかたちで――」。斯界の権威・光崎に届いた謎の犯行予告。死者の声なき声を聞く法医学の現場で、悪意の影に潜む因縁が明らかになっていく。シリーズ第4弾にして、慟哭の展開を迎える本格法医学ミステリー。
**感想**:
シリーズ4作目となり、主要キャラクターたちの成長がはっきりと感じられました。真琴の冷静さと誠実さは健在ですが、特に古手川刑事の判断力と行動力の増加には目を見張るものがあります。その無鉄砲とも言える突進力と、それを裏付ける鋭い直感には、「これが刑事の勘なのか」と唸らされる場面が多々