中山七里のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
高頭冴子のシリーズ2作目にして危険度マックスの作品。タイトルの「越境」を最初は県警の管轄を越えるという意味だと思っていたが、まさかの海外への越境。
本作では中国に迫害されているウイグル民族の問題を取り上げているが、自分が如何にその迫害(というよりも民族浄化)の実態を知らないかという事実を思い知らされた。アマゾネスと呼ばれ男勝りでクールな高頭冴子だが、実は情に厚く、ウイグル人活動家の女性を救い出すべく中国へ出張する。そこで捉えられ言語に絶する拷問を受けるのだが、読んでいて流石に今回は助からないんじゃないかと思ってしまう(主役が助からないなんて話は絶対にないんだけど)。最終的には高頭冴子は救助され悪を成敗するが、とにかく悪役が本当に胸糞が悪いくらい悪役で、これだけ善玉と悪玉が明確に描かれていると主人公に肩入れしやすくもなる。
それにしても改めて中山七里は「カエル男」などでも描いているように残額な描写が得意だな...。 -
Posted by ブクログ
諦めたつもりなのですが、小説を書きたいのかな。
こんな本を手にしています。
中山七里さんの小説は、読んだことがありません。
でも、この方の小説は、映画化されているのが、沢山あるのですね。どれも見ていません。
小説を読んでみようと思います。
これは、作家になるための覚悟を書いた本かもしれません。
インプットが大事。たくさん、沢山、タクサンのインプット。
とりあえず、小説を最後まで書いてみる。
最初に書くのは、好きな作家の真似になってしまう場合も多いが、とりあえず、書く。
そして、たくさん書く。
書いていくうちに、自分のスタイルが出来てくる。
たくさん書くと、仕事が貰える可能性が高くなる。
少ししか書かないと、人の目に触れる機会が減るので、売れる本、売れる作家になるのは難しい。
量産しないと、作家として生き残れない時代。
編集者が面白いと思うものを書く。
その後ろに、何人もの読者がいるのだから。
小説家になりたい、注目を集めるたい、と思う人は、やめた方が良い。
書きたい意欲が止められないのなら、小説家に向いているかも。
書き続けることは、とても辛いから。
50歳でサラリーマンを退職してから、ずーっと書き続けている。遊びたいとも休みたいとも思わずに。
怒らない。怒ると疲れる。
たいてい頭にくることは、視点を変えたらそんなに頭にくるほどのことでもない。
最終的に、生き様を教えて頂いたようです。
ありがとうございました。 -
Posted by ブクログ
名前に7があるなど七に縁持ち作家による、七つの大罪がテーマの七つの短編集(岡崎さんは作家紹介読むまで何繋がりかわかりませんでした)。大罪ネタなだけに、スカッと爽やかな話ではありません。読みごごち重視の人には向かず。でも、どの作家さんも工夫が見られて面白かったです。殺人も強姦もエロも色々出てくるので高校以上向け。
「罪の名は傲慢」中山七里
古手川や渡瀬が最後に登場します。地位のある男が立場を利用して一服盛り、女性を犯す。しかし女性はめげずにすぐに訴えるための行動を起こす。お互いの行動や立場、発言、マスコミの報道のあり方。真実は?
「手の中の果実」(怠惰)岡崎琢磨
七歳の息子、櫂は学校に行きたがらず、行っても嘔吐して帰宅した。いじめも見られないし、何が原因かわからない。勝沼から戻ったあと名探偵を演じたのは予想外の人物だった。
「移住クライシス」(憤怒)川瀬七緒
自閉スペクトラムの息子が移住先の田舎で裏の溜池に落ちて死んだ。自分も再婚した妻も地域の人もきをつけていたのに。悲しみ、悔いる僕と妻の元に、痴呆症が疑われる老婆が怪しく敷地内に立ち入ることが続き、不安と戸惑いに襲われる。
「オセロシンドローム」(嫉妬)七尾与史
漱石の「こころ」についての会話が発展して歯科医師と恋愛していた私。しかし盲目的な独占欲でうまくいかなくなり破綻、ストーカーのような状態になりカウンセリングを受けるのだが、人の感情はもっと拗れていた。
「十五分」(強欲)三上幸四郎
動画配信者として成功していた私は殺人や放火の容疑で収監されている。動画を15分と決めて編集していた私。取材に来た記者は自分のファンだったといい、面会15分を何回か続けて何が起こったか聞き取りをした。そして明かされる真実と思いもかけないもう一つの15分。
「父親は持っているエロ本を子どもに見つからないようにしろ」(色欲)カモシダせぶん
これはタイトルから予想されるものを軽く裏切ってきます。こんな息子いないよーっていうのが一番の感想。あと、エロネタがばんばん来ますが、一番読後感よかったです。金庫に入れてあったエロ漫画雑誌を息子が読み、父に自分の感想を話すのですが…。
「最初で最高のひとくち」(暴食)若竹七海
一番胸糞悪くなったかも。気持ち悪くなるほど嫌な話を読みたい人にオススメの内容でした。息子を可愛がる母親のお話です。 -
Posted by ブクログ
面白かった!!
テーマである「引き篭もり」をきっかけに起きる事件の数々に戦慄し、導入に出てきたシーンが最後綺麗に回収される手腕は圧巻だった。
引き篭もりと家族の溝が、とてもリアルに描かれています。中には犯人に同情を覚える事件もあり、世の中にはこういう家庭もあるのだという勉強にもなりました。
個人的には真琴と古手川のやりとりが好きです。
最後の一文はクスッと笑えて最高でした。
古手川の空気の読めなさは、いっそ好感が持てます。この2人はくっつく直前くらいの温度感で、ずっと痛快な会話をしていて欲しい。
読めば読むほど好きになるシリーズ。
次作も読むのが楽しみです。
-
Posted by ブクログ
氏家京太郎シリーズに出てきた五百旗頭亘が気になり本作を手に取った。
やはり好きなキャラクターだった。
本作を読む前に特殊清掃について動画で予習したのだが、いつからこういう仕事は出来たのだろうか。今の世の中には無くてはならない重要な仕事になっていると思う。
題材が題材だけに中々きつい表現も出てくるがこれが現実なのだろう。
これでもまだ小説として読める範囲に留めていると感じた。
孤独に亡くなってしまった人達の思いを拾って行く構成だが、時にはミステリー、時にはヒューマンドラマに繋がって行く。
中でもミュージシャンを目指していた五百旗頭の部下の白井の旧友が孤独死してしまった話は感動した。
もし独りで逝く事になっても、このように丁寧に思いを拾ってくれるのなら救われる気がする。
今は若者だろうが老人だろうが孤独死の危険性は孕んでいる。
本作にも書かれていたが、こういった職業が儲かるのは複雑な思いだが、大切な仕事である事を痛感した。
自分には出来るか分からない。尊敬せざるを得ない。
中山さんは社会の問題を読みやすく盛り込んでくれる作家のようなので次も楽しみに選ぼうと思う。
本作で氏家氏が出てくれたのも嬉しいポイントだった。