中山七里のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
タイトルの「静おばあちゃん」は『テミスの剣』の高円寺静裁判官。
ストーリーはともかく、『テミスの剣』を先に読んでいたからこそ、心に響いた静おばあちゃんの言葉。
「どんな行為にも言い訳がある。どんな人間にも正義がある。でも、それは本人以外の目で測ると歪んでいることがままあってね。しかも組織という枠組みの中にいるともっと頑迷に、もっと歪んでしまうの」
「正義というのはね、困っている人を助けること、飢えている人に自分のパンを分け与えること。定義なんてそれで充分」
「権力を握った人間は自分が正義だと思い込んで、その正義を揺るがすものを赦そうとしない」
「仕事の価値はね、組織の大きさや収入の多 -
Posted by ブクログ
ネタバレ作中、刑法39条が再三取り沙汰され、それを盾に無罪を勝ち取る凶悪犯。(この刑法を下敷きにすれば『凶悪犯』と言う呼称も適当ではないだろう)
この国の法曹界では更生の名の下、加害者の人権を手厚く擁護することがままあるが、亡くなった被害者の人権は『死人に口なし』的に甚だ蔑ろにされている様に思える。
まぁ、死者は公にクレーム言えないからね。
例えば、
声高に39条堅持を唱える方々の可愛らしいお子さん達が異常者の歯牙にかかり無惨な死体となった時、果たして同じロジックを展開出来るのかね?
高いところからもの言ってないで、まずは自身の身に置き換えるべきと痛切に思う。
39条の内容については恐らく類 -
Posted by ブクログ
ネタバレ『作家刑事毒島の暴言』は、「文壇の闇」を題材にした短編連作で、炎上商法に手を染める新人作家、インフルエンサー書評家と若手作家を煽って対決企画を仕掛ける編集者、実績がないのに小説教室で荒稼ぎする講師、身の丈を超えて直木賞を渇望する作家、宗教法人に雇われる代筆作家――といった“承認欲求モンスター”が次々と登場する。
①炎上でバズりを狙う作家の自己演出が破綻する過程、②“文学系インフルエンサー”と老害文学評論家の対立を煽る編集の倫理、③看板だけ派手な小説教室の搾取構造、④受賞願望が現実認知を歪める心理、⑤信仰とビジネスが絡んだ代筆のグレー――いずれも「評価されたい」という承認欲求が犯罪や破滅へ接続 -
Posted by ブクログ
ネタバレ2025/48
とっても考えさせられて良かった。
子供が自分の意思で、または親の意思で臓器を抜き取られる。率直にいうとゾッとする。
とくに中国から養子に出された子が、わけもわからず臓器を取られ、術後不良で死ぬってつらすぎる。
香典目当ての父親にも心底腹が立った。
だけど後半になるにつれて、私も犬養刑事と同様どこかで揺れ動くような感情を持たされて
正しさってなんなんだろう。正解ってなんだったんだろう、って考えずにいられなかった。
執刀医、閉腹医、口止めの殺人犯がすべて異なるというのも面白かった。長束さん……
高千穂が少し刑事として成長していて嬉しい。
相変わらず感情的なんだけど、頼れ -
Posted by ブクログ
ネタバレ本作は、元刑事で現在は作家となっている毒島真理の“刑事時代最後の戦い”を描くシリーズ第0話的な立ち位置。自身が優秀であると勘違いし、承認欲求を拗らせている犯人たちを取り調べを通じて落としていく舌戦が見ものの作品。
各話のバックボーンには「教授」と呼ばれる人物が存在し、承認欲求や歪んだ夢を抱えた人間たちを心理的に追い込み、間接的に犯罪を実行させていた。
単なる犯人ではなく、弱さに付け込んで弄ぶ存在であり、社会にこれからも同じ悲劇を生み続けるであろう知能犯で、裁判という正義の執行では止められない相手であると判断し、舌戦で教授を追い込み自殺へと誘導した。