中山七里のレビュー一覧

  • 作家刑事毒島の嘲笑

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    エンタメとして、ミステリーとして成立させながらも、群衆心理や思想の課題と、自我肥大による犯罪者をぶった斬る。現代社会の扇動的な世論に対して、主語を大きくしないとか、好き嫌いが思想の衣を纏うなど、情報に対するリテラシーの上で大事なことも伝える小説。主人公のセリフで表されたのと同じ作者の矜持を実現した様な小説。
    しかし、思想を嗜好と思考と行動とにを徹底的に理論的に分解して、破壊していく主人公の様は、ある意味でいかなる思想も倫理をも認めない、全てはエゴ?的な危うさも感じ、核分裂により全てを破壊する様な印象もある。作中で原発と揶揄したあだ名がつけられるのも頷ける。それ故に主人公は、法の執行官という役割

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    2025年05月10日
  • ヒポクラテスの誓い

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    ヒポクラテスの誓い
    著者:中山七里

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    **あらすじ**
    浦和医大・法医学教室に「試用期間」として配属された研修医の栂野真琴。彼女を待っていたのは、偏屈で妥協を許さない法医学教授・光崎藤次郎と、遺体に対して独特の愛着を持つ外国人准教授・キャシー。光崎は一見事件性のなさそうな遺体でも執拗に解剖を行い、「既往症のある遺体が出たら教えろ」と真琴に指示する。その真意とは? 医学と司法が交差する本格法医学ミステリーの幕が上がる。

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    **感想**
    中山七里さんのシリーズ作品を読み進める中で、本作は特に異色の存在感を放っていました。医療ミステリーの中でも「法医学」に焦点を当てたジャンルは非

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    2025年05月09日
  • どこかでベートーヴェン

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    ネタバレ

    岬洋介の過去が詰め込まれた話。
    中山先生による音楽ミステリーの続編。

    岬がどれだけの才能を持ったバケモノなのか、他の音楽科のクラスメイトと対比させる形で描かれる。
    天才と凡人の間の越えられない壁があることに気づかなければならないなんて残酷だなあ。
    自分はきちんと適所で勇気を持って決断できてるのかな。

    選択すること、諦めることには勇気がいるというフレーズに共感した。決断する勇気の前に、それらと向かい合おうとすることもしんどい事だから、人生選択に幅があるうちに、勇気を出すべきタイミングがあるんだろうなあと思った。

    左手でペン回しとわざわざ書いてあったので、犯人はあっさりと分かった。
    ミステリ

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    2025年05月08日
  • 七色の毒 刑事犬養隼人

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    ネタバレ

    オーディブルにて。

    今回は連作短編集?
    バス事故を起こした運転手、いじめで自殺した中学生、殺された小説家、新婚の中年、認知症のおばあちゃん、性同一性障害の男子、殺された老人。

    法律は行動しか裁けず、殺意の立証は難しい とあり、なるほどなと。今回は殺人教唆とはいかなくても犯人の身近に殺意があり、それが焦点に。

    面白かった。

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    2025年05月07日
  • 夜がどれほど暗くても

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    息子が大学の先生にストーカーをし、先生とその夫も殺し自分も亡くなったと警察から連絡を受けた父親
    週刊誌の副編集長をしていた父親が加害者家族になり、妻にも出て行かれ仕事もうまくいかず、そんな時出会ったのは被害者の14歳の娘だった

    ラストはよかった!

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    2025年05月07日
  • 総理にされた男

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    ネタバレ

    面白かった。
    現実には、政治に興味のない一市民が総理大臣の影武者をするのは無理があるだろうとは思うが、総理大臣も賢いか知らんがただの人間であることを思う。国を動かす力があるとしても、所詮はちっぽけな人間であるのに、人の生死にかかわる判断を進めていかなければいけないとは大変な仕事だと思う。
    政治家には、この主人公の影武者のような、本当に国民を想って物事を進めてくれる人がいてくれたらと願わずには居られない。

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    2025年05月07日
  • 切り裂きジャックの告白 刑事犬養隼人

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    臓器がくり抜かれた遺体とジャックと名乗る犯人からの声明文。臓器移植などをテーマにした社会派ミステリー。犯人の動機が薄いなぁと思ったけど、最後まで楽しめた。

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    2025年05月06日
  • 作家刑事毒島の暴言

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    ネタバレ

    相変わらずの毒島先生っぷりでしたが、なんというかそれ以外の部分の七里先生っぷりもまた今回いつにもましており、何度もあちこちで『ンフフムフフフ…』と低い笑い声が漏れてしまいました。
    途中、幻冬舎さんのことだけは実名なんだなぁーと思ったら幻冬舎さんからの出版だし。んふ。
    トドメは最後の一言ですねぇ。
    面白く拝読しました。

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    2025年05月06日
  • 作家刑事毒島の嘲笑

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    2冊続けて中山七里。真犯人は誰なんだろうと思っていたが、今作は本当に分からなかった。逮捕された小物が真の黒幕ではないと言うのは薄々感じていたが、今回は「どんでん返し」と言うことばそのものの結末だった。これだからやめられない、中山七里。

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    2025年05月06日
  • もういちどベートーヴェン

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    しまった〜
    ベートーヴェンには前作があったのか
    (どこかでベートーヴェン)

    ドビュッシーは読んで
    映画も観たのだけど
    岬シリーズがそんなにあるとは
    うかつでした

    天が何物も与えちゃってる岬氏
    実写映画のイメージを払拭するところから
    (某ピアニストのアンチではありません)

    ちょっと「アマデウス」風味もありながら
    でも人たらしの岬くん
    みんなからやっぱりどうしたって嫌われなくて

    身近にいたらどんな感じかな〜
    練習スタジオのドアから覗く
    天生くんみたいに
    私も覗いてただうっとり⋯かもな

    発売当時の時代の雰囲気としても
    これはどうだろう?という部分が少しあった
    (ジェンダー面とか?)

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    2025年05月06日
  • 作家刑事毒島の嘲笑

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     公安刑事とコンビを組んだ毒島先生が、思想への耽溺に自己実現を託した犯罪者たちを十八番の毒舌口撃で追い詰める。

     基本1話完結ながら、事件の根底にいる黒幕を探していくスタイルは前作に続いて健在で、あっと驚くどんでん返しに喫驚した。

     毒島先生に嘲笑されない生き方がしたい。

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    2025年05月06日
  • 秋山善吉工務店

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    まだまだ中山七里初心者だけど、どんでん返しが楽しかった。微妙な伏線を置いていかれるんですよねー。伏線とも言えないようなほんの微かな引っ掛かり。
    表紙が「和」な感じなので思わず珍しく時代物かと思ったけど、時代に取り残されたようなねじり鉢巻に半被姿の工務店の爺さんだった。その印象そのままの登場人物が活躍する。やっぱ濃いキャラのお話だった。

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    2025年05月05日
  • 切り裂きジャックの告白 刑事犬養隼人

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    ネタバレ

    オーディブルにて。

    臓器を抜かれる殺人というサイコパスによる犯行かと思いきや…

    サイコパスとは言わないが、やばい人のように見えたドナーの母親が最後にはとても温かい人のように見方が変わった。

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    2025年05月05日
  • 夜がどれほど暗くても

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    ネタバレ

    息子がストーカー殺人をした上に自殺したという疑いを雑誌の副編である父が翻弄する話。途中被害者の娘とのやりとりなどなんだかびっくりな展開なのだが、一気に読んでしまった。ページ数が減りまくった状態でまだ犯人が出てこずで、結論まで終わるのか?と不安になりながらも最後はあっという間に終わってしまった。

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    2025年05月04日
  • 禁断の罠

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    期待以上でちょっとびっくり。
    期待値がそもそも低かったかもしれないが。

    「大代行時代」と「妻貝朋希を誰も知らない」がよかった。

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    2025年05月03日
  • ハーメルンの誘拐魔 刑事犬養隼人

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    子宮頸がんワクチンの副反応被害と絡んで7人の少女たちが誘拐されるという劇場型事件が発生、警察が翻弄されていく。犯人の目的は何か、犯人は誰か?
    私は、子宮頸がんワクチン問題が起こった時、実際に産婦人科のある病院の管理者をしていた。また小説にでてくる薬害エイズ事件の時は真相究明と被害者救済を求める運動のメンバーだったので一言。確かに製薬会社と医師(学会)と厚生省の癒着の構造などは近似しているのかもしれない。それでも血液製剤の中にエイズウイルスが混入していた(今はない)問題とワクチンの問題を同列に論じることには違和感がある。そもそも全く安全なワクチンや薬剤などはなく(医療そのものもリスクを含んでいる

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    2025年05月03日
  • 追憶の夜想曲

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    悪徳弁護士と言われている、御子柴礼司が活躍するリーガルサスペンス。
    御子柴の暗い過去から始まり、夫殺しの容疑で逮捕され弁護人として、
    裁判に挑んでいたへっぽこ弁護士を騙して、御子柴が弁護人を引き受けたが、
    そこには何かしらの訳があるのだろうか・・・。
    びっくりするような出来事が待ち受けていた。

    もう、ある程度読んでいくと、何となく犯人を予想できてくる、
    何となくわかりやすい?って感じの作品でしたが、それでも騙されてしまう、
    とんでも展開が待ち受けていました(勘の鋭い人は、これにも気づいてるかもね)。
    御子柴礼司が悪徳弁護士と言われる由縁は、前作及び別作品でも、
    知ることができ、前作を読んでい

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    2025年05月02日
  • 毒島刑事最後の事件

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     毒島さんのエピソード・ゼロ。刑事を辞めたきっかけの最後の事件が描かれる。

     前作に続いて、承認欲求が服を着て歩いている者たちの犯罪を、針のように鋭い毒舌で滅多斬りにする痛快さが堪らない。

     しかし、痛快なだけで終わらないのが中山先生だ。見事、術中に嵌っていて震えた。

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    2025年05月02日
  • 殺戮の狂詩曲

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    ネタバレ

    御子柴礼二シリーズは相変わらず安定した面白さがある。 少し事情聴取の下りが沿革がなく退屈には感じたがラストまでの持って行き方はさすがという感じだった。 今までと比べるとインパクトこそ薄れるが人の狂気をこうも簡単に操れてしまうことに少し恐ろしさもありつつ、人間の価値について考えさせられる内容だった。押野も後悔はあれど 誠二郎はうらんでいる様子はなかったし、むしろどこか気持ちが安らいでいたようにも感じた。法的秩序の下では罪を償うことになったが、生産性的観点でみてしまったときにはどうしても押野側に気持ちは偏ってしまう

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    2025年05月02日
  • 中山七転八倒

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    中山七転八倒
    著者:中山七里

    **あらすじ**:
    雑誌連載が10本に減り、焦燥感に駆られながらもブランデーを片手に原稿に向かう――。数々のどんでん返しで読者を魅了する“どんでん返しの帝王”中山七里が、自らの創作の舞台裏を赤裸々に語る爆笑エッセイ。プロットの行き詰まり、編集者とのやりとり、そして時には体を張った執筆の日常がユーモアたっぷりに綴られる。執筆論でありながら、一種の冒険記でもある本作は、創作者ならずとも楽しめる一冊。

    **感想**:
    中山七里さんの作品はこれまでも数多く読んできましたが、今回はフィクションではなく、著者自身の創作の裏側を描いたエッセイということで、ま

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    2025年05月01日