中山七里のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
エンタメとして、ミステリーとして成立させながらも、群衆心理や思想の課題と、自我肥大による犯罪者をぶった斬る。現代社会の扇動的な世論に対して、主語を大きくしないとか、好き嫌いが思想の衣を纏うなど、情報に対するリテラシーの上で大事なことも伝える小説。主人公のセリフで表されたのと同じ作者の矜持を実現した様な小説。
しかし、思想を嗜好と思考と行動とにを徹底的に理論的に分解して、破壊していく主人公の様は、ある意味でいかなる思想も倫理をも認めない、全てはエゴ?的な危うさも感じ、核分裂により全てを破壊する様な印象もある。作中で原発と揶揄したあだ名がつけられるのも頷ける。それ故に主人公は、法の執行官という役割 -
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ヒポクラテスの誓い
著者:中山七里
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**あらすじ**
浦和医大・法医学教室に「試用期間」として配属された研修医の栂野真琴。彼女を待っていたのは、偏屈で妥協を許さない法医学教授・光崎藤次郎と、遺体に対して独特の愛着を持つ外国人准教授・キャシー。光崎は一見事件性のなさそうな遺体でも執拗に解剖を行い、「既往症のある遺体が出たら教えろ」と真琴に指示する。その真意とは? 医学と司法が交差する本格法医学ミステリーの幕が上がる。
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**感想**
中山七里さんのシリーズ作品を読み進める中で、本作は特に異色の存在感を放っていました。医療ミステリーの中でも「法医学」に焦点を当てたジャンルは非 -
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ネタバレ岬洋介の過去が詰め込まれた話。
中山先生による音楽ミステリーの続編。
岬がどれだけの才能を持ったバケモノなのか、他の音楽科のクラスメイトと対比させる形で描かれる。
天才と凡人の間の越えられない壁があることに気づかなければならないなんて残酷だなあ。
自分はきちんと適所で勇気を持って決断できてるのかな。
選択すること、諦めることには勇気がいるというフレーズに共感した。決断する勇気の前に、それらと向かい合おうとすることもしんどい事だから、人生選択に幅があるうちに、勇気を出すべきタイミングがあるんだろうなあと思った。
左手でペン回しとわざわざ書いてあったので、犯人はあっさりと分かった。
ミステリ -
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しまった〜
ベートーヴェンには前作があったのか
(どこかでベートーヴェン)
ドビュッシーは読んで
映画も観たのだけど
岬シリーズがそんなにあるとは
うかつでした
天が何物も与えちゃってる岬氏
実写映画のイメージを払拭するところから
(某ピアニストのアンチではありません)
ちょっと「アマデウス」風味もありながら
でも人たらしの岬くん
みんなからやっぱりどうしたって嫌われなくて
身近にいたらどんな感じかな〜
練習スタジオのドアから覗く
天生くんみたいに
私も覗いてただうっとり⋯かもな
発売当時の時代の雰囲気としても
これはどうだろう?という部分が少しあった
(ジェンダー面とか?) -
Posted by ブクログ
子宮頸がんワクチンの副反応被害と絡んで7人の少女たちが誘拐されるという劇場型事件が発生、警察が翻弄されていく。犯人の目的は何か、犯人は誰か?
私は、子宮頸がんワクチン問題が起こった時、実際に産婦人科のある病院の管理者をしていた。また小説にでてくる薬害エイズ事件の時は真相究明と被害者救済を求める運動のメンバーだったので一言。確かに製薬会社と医師(学会)と厚生省の癒着の構造などは近似しているのかもしれない。それでも血液製剤の中にエイズウイルスが混入していた(今はない)問題とワクチンの問題を同列に論じることには違和感がある。そもそも全く安全なワクチンや薬剤などはなく(医療そのものもリスクを含んでいる -
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悪徳弁護士と言われている、御子柴礼司が活躍するリーガルサスペンス。
御子柴の暗い過去から始まり、夫殺しの容疑で逮捕され弁護人として、
裁判に挑んでいたへっぽこ弁護士を騙して、御子柴が弁護人を引き受けたが、
そこには何かしらの訳があるのだろうか・・・。
びっくりするような出来事が待ち受けていた。
もう、ある程度読んでいくと、何となく犯人を予想できてくる、
何となくわかりやすい?って感じの作品でしたが、それでも騙されてしまう、
とんでも展開が待ち受けていました(勘の鋭い人は、これにも気づいてるかもね)。
御子柴礼司が悪徳弁護士と言われる由縁は、前作及び別作品でも、
知ることができ、前作を読んでい -
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中山七転八倒
著者:中山七里
**あらすじ**:
雑誌連載が10本に減り、焦燥感に駆られながらもブランデーを片手に原稿に向かう――。数々のどんでん返しで読者を魅了する“どんでん返しの帝王”中山七里が、自らの創作の舞台裏を赤裸々に語る爆笑エッセイ。プロットの行き詰まり、編集者とのやりとり、そして時には体を張った執筆の日常がユーモアたっぷりに綴られる。執筆論でありながら、一種の冒険記でもある本作は、創作者ならずとも楽しめる一冊。
**感想**:
中山七里さんの作品はこれまでも数多く読んできましたが、今回はフィクションではなく、著者自身の創作の裏側を描いたエッセイということで、ま