中山七里のレビュー一覧
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大阪地検の一級検事の不破俊太郎、警察での取り調べでまったく自供をしない
容疑者が送検されて担当すると、表情を一切変えることなく、容疑者を
短時間で自供まで追い詰める、少し変わった検事であり、周りからは、
能面と呼ばれていた。
今作品では、主に2つの事件および大スキャンダルが発生し、
それに能面検事こと、不破俊太郎と新米事務次官の惣領美香が事件を担当する。
検事の事件に対する意欲?が、一般的な感情の持ち主とは逸脱している面が、
何を物語るのか、なぜ能面で感情を表に一切出さず行動するのかが明かされていく。
積読していて、やっと読んだのは、2025年6月ってことで、
知っている人もいるかと思いま -
Posted by ブクログ
前作「贖罪の奏鳴曲」で主人公を純粋な気持ちで応援できないのもあってしばらく放っておいたシリーズ。確か大怪我したよな…と思いながら読み始めた。うん、なんか彼の体調は大丈夫そうだった(;^ω^)
第1審でほぼ量刑まで固まっていたある事件の第2審で御子柴弁護士が割って入ってきた。検察側も被告人も、戦々恐々。敵が多い御子柴弁護士は、何のためにこの裁判に首を突っ込んできたのか、この事件に何かあるのか。
『御子柴は自分にだけは真実を語れと言った。冗談ではない。あんな得体の知れない人間に全てを打ち明けられるものか。あの男が弁護できるのは事件の一部だけ。全てを明るみにし、全てを弁護できる者などいるはずがない -
Posted by ブクログ
全てが手に入るわけじゃない。仕事柄倫理観で理性を抑えようとする反面、どうしても犯人を許せず鉄槌を下したくなる遺族としての気持ちのせめぎ合いが細かく描かれています。
しかもそれが言葉に出せなくて叫んだり、物に当たったり、誰にも理解できないもどかしさが事件の進展とともに表現されて苦しい感情になります。
誰にだって怒りに身を任せて法律を破る瞬間があるかもしれない。でもそれを行動に移すか移さないかは大きく変わる。
その人の心の中の何かを失ってしまっても後悔はしないのか、抑えられた気持ちの行き場として正解だったのか問われているような感覚になりました。
そして世間がハングマンを支持しているかどうかも、遠回 -
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また新シリーズが誕生した。
中山七里が書くテーマの一つに「無謬性の問題」がある。「テミスの剣」では警察(刑事)と裁判所(判事)を対象にそれを描いた。今回は科学捜査を担当する科捜研の無謬性にスポットを当てるため、民間の鑑定センターとして自ら独立した氏家京太郎というキャラクターを主役にしたのだと思う。刑事などの警察官よりも科捜研の方が確かに無謬性の妄信に陥りやすそうだ。「科学」という単語が間違いのないイメージに繋がりやすいのだろうか。しかし分析・鑑定を行うのが神ならぬ人間である以上、そこに誤謬は発生する。司法判断にしろ科学鑑定にしろヒューマンエラーは起こり得ると考え、組織やシステムを過信しないこと -
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特殊清掃の仕事を請け負うエンドクリーナーで
働く3人のそれぞれの視点で綴られる物語。
亡くなった人の部屋を清掃する中で
見つけた謎を解いていくミステリーの側面もあり
長編ではないけれど読み応えがありました。
人は亡くなると物体として扱われ、
肉は腐るし、虫は湧く…
なんとも言えない切なさを感じました。
作品の中で知り合いだった人の亡くなった部屋を
清掃する話があるけれど
個人的には1番印象に残る話でした。
大切な人がもし孤独死した時に
その現実を受け止められる自信は正直ないけれど
亡くなった人の想いを尊重して
その人のことを忘れずにいることが
大事なのかな。
改めて、特殊清掃の仕事につい -
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再びの法医学シリーズ。いつもどおりの、長編の顔した短編集。忙しい日々の中で一息つける、お茶の時間のような読書体験。このシリーズの面白いところは、毎回そのときそのときの時事問題や社会問題を扱うところ。
今回は、引きこもりの大人たちと年老いた親たちがテーマ。本書では、長らく引きこもりのまま中年になった人たちが、家で自殺や事故でなくなる事案が増えており、解剖によってそれが親が仕組んだ殺人であることが明らかになる、といった事件がいくつも描かれている。
読んでるとやるせない。ひきこもりになったのはひょんなことがきっかけかもしれない。親が甘すぎたのかもしれない。社会復帰したいともがいたこともあったかも -
Posted by ブクログ
護られなくてもいい命があると認めることは、殺されても仕方がない人がいるということを認めることになる。殺されても仕方がないと思えるような犯罪者が、刑務所の中で国の税金で生活し、護られるべき人が、生活保護の審査に落ち、国の税金を使えず、餓死に追い込まれる。
現実で、生活保護の実情がどのようなものか分からないが、この本をきっかけに考えてみたいと思う。
国の制度の中には、複雑な手続きを踏むことが求められるものなどがあり、考えなければ様々な制度があったとしても、利用することはできないだろう。誰しもが複雑なことを考えたりすることが得意なわけではないので、考えるのが苦手な人が考えなくても生きていけるような社 -
Posted by ブクログ
本書は2020年に刊行された中山七里さんの弁護士・御子柴礼司シリーズ5巻目。
最近の中山七里さんの物語は私的にはどれもけっこうハズレなんですが、この御子柴シリーズは主人公の過去があまりにもすぎて、世の中を穿っているかのような、それでいて真理を突いてくる外連味がかなり強烈なスパイスになっている。それがこの過去を背負う主人公と絶妙にマッチしていて、そこが読者にとって癖になる=読む手が止まらないというシリーズになっていると思う。
今回は御子柴の秘書が事件の犯人として起訴されるという内容で、これ、いったいどうやって法廷で闘うのか興味津々でどんどんページを繰っていった。また、今ではけっして珍しくないが