中山七里のレビュー一覧
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ミステリーと障害者スポーツの現状をミックスさせた中山七里ならではの作品。本作では何と犬養隼人と御子柴礼司が登場する。しかも御子柴はちょっとの顔出しではなく、まあまあ重要な役割だ。中山七里のシリーズを越えたキャラクターの共演が楽しめる。
さて、ミステリーの方は途中からある程度タネが想像できたのでここでは言及しないが、障害者スポーツ関連については非常に勉強になった。最近でこそオリンピックとパラリンピックが共催されてテニスの藤枝慎吾や小田凱人、上地結衣などのお陰で多少は認知度が高まってはいるが、それでもマスコミの報道は圧倒的に少なく、当然それに比例して一般人の認知度も高くない。基本的には「無関心」が大多数だ。本作では陸上競技のアスリートが主人公なので、それに関する企業の姿勢や現代の義足事情、費用感などが描かれていたが他のスポーツでも似たような現状であろうことは想像に難くない。更にもう一つ踏み込んで考えると単に障害者スポーツの問題ではなく、障害者がどういう生き甲斐を持って暮らせる社会になっているかという話だ。
いずれにしても人間はみな自分の身に降りかかってこなければ真剣に考えようとしない。私自身、過去に親が車椅子に乗るようになって初めて駐車場の身障者マークのスペースを気にするようになった経験がある。
例え翼がなくても、手がなくても、目が見えなくても生き甲斐を持って暮らせる社会にしたい。 -
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宮城県警シリーズの完結編との事で、3シリーズの中で1番被災者の悲哀にスポットが当たっていると感じた。
本作でもやはり境界線の問題が重く伸し掛る。
被災しなかった負い目を感じてしまう蓮田の姿が悲しい。
刑事としての使命を全うせねばならないが、懐かしい友情に揺さぶられる姿が印象深い。
復興を進めたい行政と、思い出深い家を流されて傷付き仮設住宅に住み続けている被災者とのベクトルがこんなにも違うのは辛いの一言だ。
被災地では無遠慮なボランティアが問題になる事もあるらしいが、本作のように怪しいNPO法人も世の中には幾つも存在して来たのだろう。
弱った人間を食い物にするこの手の輩はどうしても湧いてくるのが痛ましい現状だ。
3作を通して壮大なドラマを感じる事が出来た。
うるとらまんさんとゆーき本さんのお勧めだが、流石、現代小説を沢山読まれている方のお勧めだ。 -
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これはもしかして「作品紹介」からトリック始まってる?
中山七里らしい意地悪な小説で面白かった。
作品紹介の「金も仕事も住処も失った元エリート・溝端了衛は20年ぶりに故郷に帰る。」なんて、白々しい導入だ。
主人公の了衛は元エリートなどではなく、元エリートだと思い込んでいる自己中心的で軽薄、仕事のできない40男だというのはすぐに露呈する。村に移住して早々、朝早くクラッシック音楽を拡声器で村中に流すとな?とんだ迷惑野郎だが、本人は自分は正しく崇高な音楽を理解できない村人が無教養、そんな無知蒙昧な村人を啓もうするのだと思っている。その後も終始最後の最後まで考えなしだ。
こんな主人公目線で小説が語られる点は「嗤う淑女」シリーズと同じで、読者はいい感じで振り回される。
村人の偏狭さはともかく、役人の嫌な物言い(これもどこまで了衛の色眼鏡で粉飾されているかわからないが)も胸糞で、主役の馬鹿っぷりといい勝負。後半は怒涛の胸糞展開で、オーディブルで聴いたから余計にグロい。
最期のオチは「魔女は甦る」を読まないと、きれいに腑に落ちないかもしれない。
そして私は最期の最期でもう一度ひっくり返されました。 -
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ネタバレ最初から最後まで、まるで崖の縁を歩いているかのような緊張感に包まれた一冊だった。息をつく間もない展開に、ページをめくる手が止まらなかった。
物語の中心にいるのは、公安のエリート・幣原。その息子がまさかのテロリスト志願者として晒されるという衝撃的な展開に、ただただ唖然とした。国の中枢に関わる父親を持ちながら、どうしてそんな道を選んだのか。その謎に迫っていく過程で描かれる幣原の苦悩、そして何よりも母親の切迫した感情が胸に刺さった。
物語の途中、母親の予想外の行動に「ちょっと待ってよ!」とイライラしてしまう場面もあったが、それもまた彼女の必死さの表れなのだと感じた。
そして、ラストに明かされる「息子が実は娘を庇っていた」という真実。あまりにも意外で、思わず読み返して確認してしまうほど衝撃を受けた。すべてが繋がったときの静かな感動と、切なさは忘れられない。
読み終えたあと、「この先は?」「続きは?」とページを探してしまった。それほどまでに、この物語の世界に深く引き込まれていたのだと思う。 -
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ヒポクラテスの悔恨
著者:中山七里
**あらすじ**:
「これから一人だけ誰かを殺す。自然死にしか見えないかたちで――」。斯界の権威・光崎に届いた謎の犯行予告。死者の声なき声を聞く法医学の現場で、悪意の影に潜む因縁が明らかになっていく。シリーズ第4弾にして、慟哭の展開を迎える本格法医学ミステリー。
**感想**:
シリーズ4作目となり、主要キャラクターたちの成長がはっきりと感じられました。真琴の冷静さと誠実さは健在ですが、特に古手川刑事の判断力と行動力の増加には目を見張るものがあります。その無鉄砲とも言える突進力と、それを裏付ける鋭い直感には、「これが刑事の勘なのか」と唸らされる場面が多々ありました。
経験に基づく直感が、単なる知識よりも遥かに実践的で理にかなっていることを、本作を通じて改めて感じました。特に、知識では割り切れない人間の感情や動機に迫る描写は、シリーズならではの魅力です。
犯人やその犯行は非常に不快で胸をえぐるようなものばかりですが、真実を解き明かしていく過程の緊張感と、キャラクター同士の掛け合いがその不快感をうまく中和してくれます。特に解剖という過程を通じて、被害者の「声なき声」を拾い上げるシーンは胸を打ち、法医学というテーマの重みを改めて感じさせてくれました。
シリーズはまだ続きがあるようなので、真琴や古手川刑事たちの今後の活躍を楽しみにしています。重いテーマを扱いながらも、読後に妙な爽快感が残るのは、このシリーズならではの醍醐味です。 -
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ネタバレ訳あって読書から半年離れていましたが、久々に読めるようになった1冊目にチョイス。やはり読書はいいと思わせてくれる期待通りの1冊でした。
岬洋介シリーズ8作目らしい。(どれも全部いい!今モーレツに読み返したくなってる)
他の作曲家に比べモーツァルトは好きでも嫌いでもないけど、やはり聴いてみたいと思わせてくれるる描写。特に最後の「2台のピアノのための協奏曲」!
盲目ピアニストの榊場隆平のピンチにコンサートを投げ打って即かけつける岬洋介、想像はしていたけどやはり嬉しい。そして、そのことばのひとつひとつが癒しとなって、震える榊場を平常の気持ちに戻していく。読んでるこっちも穏やかになりました。
解説であと2冊予定されていると知り、また楽しみが増えました。 -
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ヒポクラテスの憂鬱
著者:中山七里
**あらすじ:**
埼玉県警のホームページ掲示板に、「コレクター(修正者)」と名乗る謎の人物から不可解な書き込みが寄せられる。それは、事故死や病死として処理されそうな遺体の解剖を促すものであった。県警の要請を受け、浦和医大法医学教室の光崎教授と研修医・栂野真琴がその真相を確かめるべく解剖を進めるが――。死の裏に潜む真実を暴く、医療×ミステリーの第2弾。
**感想:**
シリーズ第二弾となる本作では、主要キャラクターたちへの愛着が一層深まりました。ヒポクラテスの誓いを体現する光崎教授、アメリカンの発想と四字熟語に詳しいキャシー准教授、不器用ながらも信念を持って行動する古手川刑事。そして、彼らの影響を受けながら成長していく研修医・真琴。それぞれの個性が際立ちつつ、互いの弱点を補い合いながら事件に立ち向かっていく姿は、人間ドラマとしても見応えがあります。ミステリーとしての緊張感はもちろんのこと、登場人物の関係性が深まることで物語により厚みが出ており、読後の満足感も高いです。シリーズ全作を追いかけて行こうと思います。 -
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エンタメとして、ミステリーとして成立させながらも、群衆心理や思想の課題と、自我肥大による犯罪者をぶった斬る。現代社会の扇動的な世論に対して、主語を大きくしないとか、好き嫌いが思想の衣を纏うなど、情報に対するリテラシーの上で大事なことも伝える小説。主人公のセリフで表されたのと同じ作者の矜持を実現した様な小説。
しかし、思想を嗜好と思考と行動とにを徹底的に理論的に分解して、破壊していく主人公の様は、ある意味でいかなる思想も倫理をも認めない、全てはエゴ?的な危うさも感じ、核分裂により全てを破壊する様な印象もある。作中で原発と揶揄したあだ名がつけられるのも頷ける。それ故に主人公は、法の執行官という役割に徹する事で、自分を制御しているのかもしれない。
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しまった〜
ベートーヴェンには前作があったのか
(どこかでベートーヴェン)
ドビュッシーは読んで
映画も観たのだけど
岬シリーズがそんなにあるとは
うかつでした
天が何物も与えちゃってる岬氏
実写映画のイメージを払拭するところから
(某ピアニストのアンチではありません)
ちょっと「アマデウス」風味もありながら
でも人たらしの岬くん
みんなからやっぱりどうしたって嫌われなくて
身近にいたらどんな感じかな〜
練習スタジオのドアから覗く
天生くんみたいに
私も覗いてただうっとり⋯かもな
発売当時の時代の雰囲気としても
これはどうだろう?という部分が少しあった
(ジェンダー面とか?)