中山七里のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
中山七里は「デミスの剣」で誤認逮捕・冤罪を書いたが、本作ではマスコミによる「誤報」がテーマだ。
「テミスの剣」では過ちを犯した刑事と判事は生涯重い十字架を背負っていく決断をする。ところがマスコミは誤報に関しては謝罪もせず、責任者ではなく現場のクビが飛ぶだけでとても内容に見合った罰を受けているとは思えない。
私個人はマスコミは一部の人を除いてクズ揃いだと思っている。大衆の野次馬根性を満たすために手段もモラルも問わない取材をしておきながら、自分たちがクズだと自覚していればまだしも、「報道の自由」「大衆の知る権利」「社会の木鐸」などと声高に叫び正当化する姿を見ると反吐が出る。殺害された被害者家族に -
Posted by ブクログ
教誨師
確定死刑囚が執行の直前、接することのできる人のなかで、刑務官や立ち会いの検事でもない唯一の「民間人」が教誨師だ。
教誨師は、牧師や神父、僧侶などの宗教人で、それぞれの宗派の教えに基づき、刑務所や拘置所などの被収容者に対する心のケアを行う。
何か、凄い仕事。
基本、宗教の人がするらしいけど、死刑囚の心のケアって…
この作品では、浄土真宗本願寺派のお坊さんが、教誨師。そして、主人公!
今回の担当は…大学の友人と気づく…
それも命の恩人。
もう、宗教家とかいう以前に人としてキツい。
何か、冤罪の可能性が出て来て、もう、お坊さんやなく、命の恩人を助ける為に、活動し続ける。
そら、仏の教え -
Posted by ブクログ
苦しい。
冒頭から苦しすぎる。
教誨師と死刑囚の話であるがゆえ、死刑執行も描かれている。
もちろん死刑囚となるのだから、それ相当の悪事を働いたことに間違いないのだが、それでも辛い。
死を目前にした囚人に念仏をどれだけ唱えても何の意味も価値もない。
宗教に対して知識も信仰もないのだけども
「どんな悩みでも解放してやれば一部分となりとも抜けていく。あとは自力で解決するか、時間の経過もともに忘却するのを待つか二つに一つ。」と。
私の悩みも解放して時間の経過を待つばかりか。
主人公の顕真は自力で解決していく。
刑務所で出会った囚人はかつて命がけで助けてくれた友人。
命がけで助けてくれるような人