木下昌輝のレビュー一覧
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戦国史を足利一族の視点から描くアンソロジー。
古河公方発足から、喜連川藩誕生までの200年余りが物語の舞台となっています。
室町から戦国にかけて関東一円の戦乱の原因は、鎌倉公方・管領の足利一族のいざこざのせいだと思っています。なんというか、関東だけに限らず、足利は血族の争いが多い気がする。尊氏と直義から始まってることですし。それでも、240年近く幕府として続いたことは珍しいことでしょうね。
時代を下りながらのアンソロジー7話。一つの流れとして、関東公方家に仕えた忍びの「さくら一族」の存在があります。「足利の血脈」というタイトルですが、「さくら一族」伝でもあります。
『嘉吉の狐』『螺旋の龍』 -
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ネタバレ非常に良くできた作品だと思います。
意外にも5編からなる短編集でした。
一般的な短編集とは違い、全てが宇喜多直家を中心とした宇喜多家に纒わる物語。
表題である「宇喜多の捨て嫁」とは直家の四女・於葉の事であり、巻頭に収められていますが、本作は直家を中心にその周りの人にフォーカスを当てていきます。
「人」を描いた作品だと強く感じました。
正直、時代物って得意でもないし、好きでもありませんでしたが、冲方丁氏の「天地明察」で時代物の面白さ、楽しさを知りました。
とは言え、まだまだ読解力が未熟な私には本作の構成は時間軸が一方通行ではない事もあり、軽く混乱しながら読み終えましたが、私の地元や学 -
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木下作品は3作目。気軽に購入したのでそこまで期待はしていなかったが、非常にテンポが良く、期待以上の面白さだった。
話は単純で、子供時代の彦八が天下一の御伽衆を目指し、江戸へ行って栄光の兆しと挫折、大阪での生涯の居場所を見つけ、晩年は後世代にどう残すかを自問する展開。これに二代目安楽庵策伝のエピソードが冒頭に加わる。
子供の頃の彦八を知っていると、大阪生魂神社で人々を笑わせることを使命と気づくシーンはジーンとくるものがあった。最後の後進のためにという部分は少し尻切れ蜻蛉な感じがするが、史実に基づくとすると仕方ない気はするし、彦八らしいとも思う。
笑いで金を稼ぐことすら考えられなかった時代が -
購入済み
色々な味わい
7人の作者による7本の短編集。いずれも不利な情勢から逆転した戦い、しかもそれほど有名でない戦い という共通点を持たせている。どの作者もそれなりに良い味を出しているが、私はいくらか滑稽味を帯びた岩井三四二の作品が一番のお気に入りである。