木下昌輝のレビュー一覧

  • 豊臣家の包丁人

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    秀吉と秀長が喧嘩した。まだまだ足軽上がりの頃だ。数年口をきかなかった。そこへ料理人がやってきて、雉の内臓を味噌で煮た物を作る。臭くて食べられないだろうと秀長が思うのに、それは意外にもとても美味しかった。
    「食えない腑を料理にするもしないも、味噌次第だ」という料理人。食えない男である藤吉郎を、うまく世間に渡らせるのはお前次第だと言われた気がした秀長。秀吉と仲直りをし、兄を盛り立てていく覚悟を決める。

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    2025年11月13日
  • 宇喜多の捨て嫁

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    宇喜多直家といえば,裏切りや誅殺など,謀略の限りを尽くして備前を統一した梟雄として知られているが,彼とその関係者を主人公とした5つの短編からなるのが本書.
    違った主人公を通して複数の角度から直家を描くことにより,謀略に対する読者の見方も変わってくるはずだ.
    傑作です.

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    2025年10月23日
  • まむし三代記

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    斎藤道三といえば、さまざまな調略を駆使し、狡猾で毒々しい方法で下剋上を成し遂げた蝮のような人物であると評されていますが、この物語の斎藤道三は、決してそのような人物としは描かれていなかったのが新鮮でした。物語自体も「国滅ぼし」という、謎の凶器を中心に進んでいくのがとても面白く、最後まで想像を膨らませながら読むことができました。

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    2025年09月28日
  • 宇喜多の捨て嫁

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    ジュンク堂で、本をながめていたら、初対面の素敵なご婦人にオススメされた本。一期一会だと思って購入して読んだら素晴らしい本でした。バラバラの短編を読み進めたかと思ったら、最後の話でなるほどとうならせるまとまった一冊。たくさんの賞を受賞されている本です!

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    2025年09月20日
  • 宇喜多の捨て嫁

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    宇喜多直家といえば、身内であっても謀略や暗殺の限りを尽くすといった冷酷無比な悪人の印象がありましたが、物語を読み進めていくうちに、だんだんと、ただの悪人から悲しい悪人に思えてきたの不思議でした。とくに、「無双の抜刀術」の持ち主という設定は、非常に面白く斬新でした。文章自体が読みやすく、描写も芸術的でありながら明快で、目の前に直家がいるようでした。読み終えとき、宇喜多直家のことがすごく好きになっていました。

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    2025年09月17日
  • 戦国十二刻 始まりのとき

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    こういう歴史物も面白い。1人の生涯ではなく断片的だけど繋がりがあってそれぞれの人生のクライマックスを、繋げていく。面白かった

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    2025年09月06日
  • 決戦!大坂城

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    ネタバレ

    決戦シリーズは、作家ごとのさまざまな解釈を楽しみながら、複数の視点から戦いを立体的に見ることができる良企画。
    大阪城では、「日ノ本一の兵」のラストに情緒を掻き乱された。また、「黄金児」にせよ「男が立たぬ」にせよ、淀殿の陰に隠れて見過ごしがちな秀頼という人間に焦点を当てているのがとても良い。一方、その強烈な母君である淀殿に新しいイメージを与えてくれるのが「鳳凰記」。
    シリーズの他の編も楽しみになる。

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    2025年08月03日
  • 宇喜多の捨て嫁

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    戦国時代のど真ん中を権謀術数のかぎりを尽くして大大名達と渡り合った宇喜多直家。主君に対する下剋上だけでなく、親や娘さえ裏切り死に追いやってものしあがっていく梟雄。彼の知略がこれでもかというほど披露されるが、なぜ彼がそのような人物になったのか、何がそうさせたのかなど、周囲の人部との関わりも含め、複雑な伏線とその回収が見事。血や死臭が漂ってくると思われるほどの筆致がすごい。本当に面白い一冊。

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    2025年07月05日
  • 戦国十二刻 始まりのとき

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    乱世に生きた武将達の転換点となった出来事の最後の一日を、大胆な解釈で鮮やかに描き切った連作短編集。

    点と点が線になり、最終的に一つの面となる物語の構築美は素晴らしいの一言。

    雲煙飛動たる筆致で描かれる最終章では、思わず声が出てしまった。
    連作短編の強みが出た作品でしたね。

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    2025年06月06日
  • 秘色の契り 阿波宝暦明和の変 顛末譚

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    悪党の金蔵含め登場人物が皆、魅力的。藩に殉じるか主君に殉じるか、誰もが大義を掲げ板挟みに…やるせない。「借財をそのままにしておけば、確かに今は争いが起きない。誰も不幸にはならない。しかし、十年後、二十年後に地獄を迎える。わしの息子や孫のためにも改革をなす」人気取りの為に借金膨らませるだけの現代の政治家に読んでもらいたい…「どうせしくじるなら、足掻くだけ足掻いてからしくじったほうが気持ちが良いでしょう」忠兵衛の妻いい。いつの世も女性は強し。徳島ブルーは知らなかったが、4月の遍路でも藍に関わった人物の銅像が道端にあったなぁ。

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    2025年05月16日
  • 秘色の契り 阿波宝暦明和の変 顛末譚

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    徳島藩の財政危機を乗り越えるために小藩の部屋住み次男坊を藩主を迎える。弁の立つ藩主がやる気を出した時、画期的な改革が始まる。
    巻頭に登場人物の顔の絵並べられていて、イメージが掴みやすい。

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    2025年03月27日
  • 秘色の契り 阿波宝暦明和の変 顛末譚

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    史実に基づいているそうだが、かなり乏しい史実からよくもまあこれだけのアクション・サスペンス・エコノミー物語を紡げるものだと感心した。人物が活き活きとしていて250年の時を感じさせない。史実そのものも全く知らなかったが、とても勉強になると同時に面白かった。

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    2025年03月18日
  • 秘色の契り 阿波宝暦明和の変 顛末譚

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    これほど面白いとは思ってなかったが直木賞候補作だったと知り納得した。徳島藩の改革に奮闘する若い武士たちのそれぞれの思いや奮闘ぶりに惹きつけられた。他家から迎えた藩主の頭の良さにも敬服した。
    長い年月を要する努力がどう実を結んだのか、史実に基づく小説らしいからいつか調べてみよう。

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    2025年03月09日
  • 秘色の契り 阿波宝暦明和の変 顛末譚

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    2025.2.19発売の雑誌『CU』の書評コラムで紹介させていただいた1冊。直木賞候補にも選ばれた歴史エンターテインメント!ばちくそ面白かった!!

    舞台は江戸時代の阿波藩(今の徳島県+淡路島)。
    改革を進めたい殿様と、既得権益を守りたい老中たち。混乱する徳島から漁夫の利を得ようとする大坂の商人たち。今の政治ドラマにも共通するところがあり、昔からこんなんやってたんやな~と思わずにいられなかった。

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    2025年02月23日
  • 秘色の契り 阿波宝暦明和の変 顛末譚

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    徳島藩の藩主となった蜂須賀重喜は明君か暗君なのか。その政治手腕はいかに評価されるのか。歴史が評価するのだろうが、政治を動かしている当時の当事者は何が正解なのか模索しながら政を進める。政治改革が必要なのはみんが分かっているが、何をやろうとしても必ず反対する人も出てくるのは現代と変わらない。100年先を考えて重喜と柏木忠兵衛は藍で染めた手拭いで誓いを結ぶ。政敵との謀略が飛び交うところ、やり遂げる姿は爽快だ。時代小説だが現代小説のようにも読める。それだけ人間のやることの本質は変わってないのだなあと改めて思った。

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    2025年02月16日
  • 宇喜多の捨て嫁

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    先日「涅槃」を読んだ面白かったが、「捨て嫁」の方が面白かったよなと思い、再読。

    人物描写が深く、空気が濃い。そうそう、この暗さ、空気の重さ、匂いで、物語の中に入り込みそうな独特の感覚がこの本にはあると改めて思う。

    文学としてはやはりこちらのほうが好き。ただ、「涅槃」は宇喜多直家の一生をとらえているので、どのような歴史の流れがあったかを知るには分かりやすいと思った。

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    2025年01月31日
  • 秘色の契り 阿波宝暦明和の変 顛末譚

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    これは江戸時代物における池井戸潤作品かと思うような大逆転のストーリー。何度も鳥肌がたちました。
    徳島藩というあまり馴染みのない場所の江戸中期を舞台とした藩政の大改革を志す物語。
    タイトルの秘色という言葉、全くピンと来ませんでしたが熱い誓いはここから始まります。

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    2025年01月02日
  • 秘色の契り 阿波宝暦明和の変 顛末譚

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    途中、緊張が走ってからはもう止まりません。なんだこれは。ずっと緊張したまま読み続けないといけない。またまた当直明け一気読みの作品でした。

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    2025年01月02日
  • 宇喜多の捨て嫁

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    相当好き、めちゃくちゃ良かった。
    連作短編で時系列前後するし語り部も変わっていくんだけど、だからこそ人間の複雑さがより効果的に描かれてるし、本当に引き込まれる。面白い。
    戦国時代に生きるのめっちゃ大変そう。

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    2024年12月09日
  • 敵の名は、宮本武蔵

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    著者ならではと言って良い構想で描かれた、大変面白い作品であった。宮本武蔵ものはここのところ何作品かを読んだが、史実(伝記)に基づきつつも、著者によってこんなに作品の味が異なるものかと感じる題材であることに改めて気付かされる。この作品は読んでいて、ありありと動画が頭の中をよぎり躍動感いっぱいだった。

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    2024年11月14日