木下昌輝のレビュー一覧
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江戸中期、末期養子として阿波徳島藩主となった蜂須賀重喜が進める藩内改革。
旧態依然とした藩政により借財30万両の財政危機にあった徳島藩で、適材適所を狙った約席役高の制、支出を抑える倹約令、大阪商人の良いようにされていた特産品の藍の藩専売化による藩収の増加など、打つ手は正しく思えるが、作中で忠兵衛らが「百年早い」と言うように性急過ぎるきらいはあった。
歴史ものだが、あくどい大阪商人金蔵、怪しい平島公方(実在)などを配し、5家老の失脚などの史実も絡めて、権謀術数渦巻くエンタテインメントとなっている。
重喜を頭が切れすぎ人心に疎い人物としていることで、物語は成立している。
重喜の改革は、その -
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ネタバレ歴史小説は苦手なのですが、こちらの小説は前のめりで読みました。
登場人物の描き方がストレートだからかもしれません。
正しい人間は最後まで正しく。
悪い人間は最後まで悪く。
人の立場があっちに行ったり、こっちに行ったり、と変わらないからかもしれません。
それにしても、旧体制を新体制に変えるのは、本当に難しいですね。
旧体制で得をしていた人間がそれなりの地位についている事が多いので、そう簡単には変わらないんですよね。
そんな旧体制に立ち向かうためには、カリスマ性のあるリーダーとその部下たちが一丸となる必要があります。
私は、この本を読んで、リーダーに必要な要素を学びました。
・人を信 -
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江戸中期の徳島を舞台に、巨額の借財を抱えた藩の財政改革に臨む藩主と取り巻き達をめぐる物語。
本人が望んだわけでもないのに半ば強引に藩主に据えられた男の、周囲に対しての空気の読まなさっぷりが面白く、破れかぶれじゃないんだろうけど、軋轢をも恐れぬやり方で改革を進めていく破天荒な姿が物語に勢いを与えていると思う。
徳島藩の状況は利害関係者にがんじがらめにされて何もできない現代の政治状況にも通じており、このあたりはこれまでの著者の作品の、良く言えば豪快で、悪く言えば荒っぽい作風とは一味違った印象を受けた。
もちろん著者の得意技である残酷な描写も、元盗賊である大坂の悪徳商人にまつわる陰謀部分で存分に描か -
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第172回直木賞候補。
借財に悩む阿波の国で末期養子で藩主となった蜂須賀重喜と彼を支える若い(身分の低い)藩士たちの奮闘を描いた時代小説です。
藩政を憂う主人公たちは、既得権益を守ろうとする家老たちと対立し、新たな「名君」を求めて重喜を藩主として迎え入れます。
藩内の反発を受けながら、少しずつ改革を進めてゆく様子や、藩内外の反対勢力に一つずつ打ち勝ってゆく過程は見ごたえがありますし、韓国ドラマを見ているようなワクワク感もあります。
お互いに策をぶつけ合う頭脳戦や経済をめぐる対立は「半沢直樹」シリーズを彷彿とさせるでしょうか。
「誰の味方か」という旧来の武士らしい考え方から離れて、藩主と家