木下昌輝のレビュー一覧
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ネタバレ歴史小説は苦手なのですが、こちらの小説は前のめりで読みました。
登場人物の描き方がストレートだからかもしれません。
正しい人間は最後まで正しく。
悪い人間は最後まで悪く。
人の立場があっちに行ったり、こっちに行ったり、と変わらないからかもしれません。
それにしても、旧体制を新体制に変えるのは、本当に難しいですね。
旧体制で得をしていた人間がそれなりの地位についている事が多いので、そう簡単には変わらないんですよね。
そんな旧体制に立ち向かうためには、カリスマ性のあるリーダーとその部下たちが一丸となる必要があります。
私は、この本を読んで、リーダーに必要な要素を学びました。
・人を信 -
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江戸中期の徳島を舞台に、巨額の借財を抱えた藩の財政改革に臨む藩主と取り巻き達をめぐる物語。
本人が望んだわけでもないのに半ば強引に藩主に据えられた男の、周囲に対しての空気の読まなさっぷりが面白く、破れかぶれじゃないんだろうけど、軋轢をも恐れぬやり方で改革を進めていく破天荒な姿が物語に勢いを与えていると思う。
徳島藩の状況は利害関係者にがんじがらめにされて何もできない現代の政治状況にも通じており、このあたりはこれまでの著者の作品の、良く言えば豪快で、悪く言えば荒っぽい作風とは一味違った印象を受けた。
もちろん著者の得意技である残酷な描写も、元盗賊である大坂の悪徳商人にまつわる陰謀部分で存分に描か -
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第172回直木賞候補。
借財に悩む阿波の国で末期養子で藩主となった蜂須賀重喜と彼を支える若い(身分の低い)藩士たちの奮闘を描いた時代小説です。
藩政を憂う主人公たちは、既得権益を守ろうとする家老たちと対立し、新たな「名君」を求めて重喜を藩主として迎え入れます。
藩内の反発を受けながら、少しずつ改革を進めてゆく様子や、藩内外の反対勢力に一つずつ打ち勝ってゆく過程は見ごたえがありますし、韓国ドラマを見ているようなワクワク感もあります。
お互いに策をぶつけ合う頭脳戦や経済をめぐる対立は「半沢直樹」シリーズを彷彿とさせるでしょうか。
「誰の味方か」という旧来の武士らしい考え方から離れて、藩主と家 -
Posted by ブクログ
私にとって時代小説は、人物名や地名、時代背景、難読漢字など、前提知識がないとつまづくことが多いジャンルという認識だが、本著は更に時系列が複雑であるために、構成含めて読みにくい小説となっている。
さらには「国盗り物語」の内容と沿わない部分もあり、前提知識が覆されたりもした。
フィクションについての意図はあとがきにて著者により記されており、史実とフィクションの判別はきっちりしておく必要がある。
ストーリーとしては、「国滅ぼし」という核をベースに斎藤家が3代に渡り国を盗る様を主人公の源太が共にするというもの。
国主になるための謀略だけでなく、親子や仲間たちとの人間ドラマ、垣間見える人間の欲望など