木下昌輝のレビュー一覧
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明確に小説ということもあって、前に読んだ栗田氏のものに比べて一休の内面を描いていることで等身大に見れるというか、同じ人間としての一休がどう生きたのかが伝わってきた。後小松帝に捨てられることになった母を救えなかった、寄り添えなかったという後悔が一休の原動力になっているというか。
安国寺次代の奈多丸の話とか、稚児が僧侶とかの男色の相手をさせられたりとか禅僧も含めていかに腐敗していたかといった生々しいところもちゃんと描写されている。室町時代の前期中期に疎い自分にとっては土一揆がそれまでと何が違うのかとか、五山十刹の仕組みとか、大徳寺派がどのように堺で勢力を伸ばしたかも勉強になった。
公案などについて -
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ネタバレ木下作品は面白いなぁという感想だった。
宇喜多の捨て嫁よりは書いている過程を想像できる作品だったが、それでも歴史イベントを場面場面でそれぞれの人物になりきって生きるような作風はすごい。
そして、オチで人魚の血は京都の町に染みこんだっていうのも良かった。
日本では遷都によってかつての首都は廃れているけれど、京都だけはまだ賑わっている。
こういった事実や新撰組の史実を巧みに取り入れながら、グルリと見方を変えて(歪ませて?)ホラーにしているのはやはりすごいと思った。
個人的には斎藤一の名前のギミックが好き(山口次郎、藤田五郎は史実)。 -
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突然ですが、宇喜多秀家が大好きです。この話はその父、直家が中心。
知ってることが多いからこそスラスラ読めたけれど、歴史苦手な人には向いてないかも??
でも、大河ドラマっぽくて面白かったです!
戦国時代って大変だったんだなぁ。
抽象的ですか、一番の感想はこれです。
大変で、難しくて、辛いことも多くて、残酷で、美しい。この本からは、残酷さと美しさが伝わって来ました。
やっぱり宇喜多秀家好きとしては、読んでるあいだすっごく充実してました!
次はそんな秀家が中心の「宇喜多の楽土」を読みます!イッテキマスー !! =͟͟͞͞ᐠ(๑ⲺⲻⲺ)ᐟ ✧ -
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ネタバレ宇喜多直家凄い。業の深さがかなりありました。面白かったです。悪にもそれなりに理由があるとかの次元を超えてる権謀術数でした。
大河ドラマでやってほしい人ランキング私的2位に躍り出た宇喜多直家。お茶の間がザワつく。
木下昌輝作品は「人魚ノ肉」以来なのですが、今作も伏線回収が楽しかったです。あの人物のあの行動の裏にはこんな想いが…を知っても、だからといって寄り添えるかというとそうじゃない。非道で残酷です。
各々キャラ立ちも凄い。天竺の鳥料理??タンドリーチキンではあるまい。。
どんなに非情でも揺れる瞬間はあるというのが皮肉だし哀しい。人はすんなりと鬼にはなれないです。
小鼓の名人の音色は梅の薫りを漂 -
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信長を探偵的ポジションに据えた短編連作……ということだけど、各話の主人公はそれぞれ別の人物で、話によっては信長がほんの少ししか登場しない。そして、それぞれの話で登場するモブと思われていた人物が有機的に繋がり、他の話に頻繁に登場したり、あるいは主人公になったりするところが面白い。謎のトリック自体はそこまで難解ではなく、大筋の結末は読んでいて途中でわかることも多いけれども、なるほどあのシーン伏線だったのかという散りばめ方、因果関係の結びつけ方が上手いと思った。あと、主人公の人選も面白い。
水鏡: オカルト仕立ての作品。若干荒川新八郎の心情変化が極端すぎるかな?高野の尼僧の煽りに笑う
偽首: 登 -
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戦国時代の梟雄、宇喜多直家を描いた作品。
一般に梟雄と評価される直家を題材とし、梟雄と生きざるを得なかった直家の苛烈な生き様、悲哀が描かれる。
一冊が六篇で構成されており、それぞれ異なる人物の視点から直家が描かれるため、読みすすめるほど直家の新たな面が見えてくる。
視点人物を含む、直家に関わる人物たちの存在感も大きく、一つの群像劇としても楽しめた。
文章は明快ながらおどろおどろしい、独特の空気感があって個人的には好み。
読んでいて情景が浮かんでくるというのもあるが、場面場面で感じられる「臭い」が印象的。
直家を取り巻く不穏な腐臭や血生臭さ、戦場の泥臭さ、人々の汗の臭い、それから梅の花の香り -
購入済み
歴史の見方を深めさせてくれた
宇喜多の捨て嫁で衝撃的に出会った作者だが、本作はさらに衝撃的な作品。
史実を巧みに織り交ぜ、登場人物の深層心理まで描き説得力ある物語に仕立て上げている。
読後改めて気づく。ともすれば今まで、現代に生きる価値観、人生感で歴史を見てきた自分の軽薄さに。歴史上の英雄、勇者も生身の人間性は間違いなくあるはずだ。