木下昌輝のレビュー一覧

  • 敵の名は、宮本武蔵

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    著者ならではと言って良い構想で描かれた、大変面白い作品であった。宮本武蔵ものはここのところ何作品かを読んだが、史実(伝記)に基づきつつも、著者によってこんなに作品の味が異なるものかと感じる題材であることに改めて気付かされる。この作品は読んでいて、ありありと動画が頭の中をよぎり躍動感いっぱいだった。

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    2024年11月14日
  • 愚道一休

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    一休さんの人生を描いた大河小説。
    読みながら、共に悩み、怒り、苦しみ、溜息をつき、時に涙した。本当に、読む手が止まらなかった。本当に素晴らしい作品で、一気に読んでしまった。表紙というか、カバーも良い。木下昌輝の新たな代表作になったと思う。

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    2024年09月08日
  • 愚道一休

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    明確に小説ということもあって、前に読んだ栗田氏のものに比べて一休の内面を描いていることで等身大に見れるというか、同じ人間としての一休がどう生きたのかが伝わってきた。後小松帝に捨てられることになった母を救えなかった、寄り添えなかったという後悔が一休の原動力になっているというか。
    安国寺次代の奈多丸の話とか、稚児が僧侶とかの男色の相手をさせられたりとか禅僧も含めていかに腐敗していたかといった生々しいところもちゃんと描写されている。室町時代の前期中期に疎い自分にとっては土一揆がそれまでと何が違うのかとか、五山十刹の仕組みとか、大徳寺派がどのように堺で勢力を伸ばしたかも勉強になった。
    公案などについて

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    2024年09月08日
  • 人魚ノ肉

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    ネタバレ

    木下作品は面白いなぁという感想だった。
    宇喜多の捨て嫁よりは書いている過程を想像できる作品だったが、それでも歴史イベントを場面場面でそれぞれの人物になりきって生きるような作風はすごい。

    そして、オチで人魚の血は京都の町に染みこんだっていうのも良かった。
    日本では遷都によってかつての首都は廃れているけれど、京都だけはまだ賑わっている。
    こういった事実や新撰組の史実を巧みに取り入れながら、グルリと見方を変えて(歪ませて?)ホラーにしているのはやはりすごいと思った。
    個人的には斎藤一の名前のギミックが好き(山口次郎、藤田五郎は史実)。

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    2024年02月16日
  • 決戦!新選組

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    新撰組のアンソロジー。
    剣で斬り合うのは決して好きではない。
    なのに惹かれる新撰組。
    時代が移ろう中で、自分の信念を生きる姿に惹かれる。
    馴染みの隊士のイメージがちょっと違ったりして、
    そんなところも面白かった。

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    2024年01月26日
  • 炯眼に候

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    織田信長に纏わる7つの話を纏めた短編集。
    馬廻の荒川新八郎とその家臣甚弥が高野山で出会った将来を占う水鏡、今川義元の首を取った毛利新介と一番槍をつけた服部兄弟をめぐる偽首、信長を暗殺しようとした杉谷善住坊を描いた弾丸、天気を読む男を描いた軍師、木津川口の戦いの鉄甲船、長篠の戦い、本能寺の変を弥助目線から描いた首級など個性的で独創的な物語であった。信長はやはり炯眼の持ち主。

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    2024年01月20日
  • まむし三代記

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    まむし三代記。歴史時代小説の分野でありながら、ダークで魅力的な大胆不敵なヒーローを斎藤道三の親子三代で、見事に表現させています。
    国盗りとは、史実はどうであれ、やはりダークの部分はでてくるのだが、そこに国滅ぼしという歴史ロマンを加えた事が素晴らしい。
    単なる歴史時代小説の枠組みを大きく超えた大作である。

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    2023年05月05日
  • 宇喜多の捨て嫁

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    ネタバレ

    宇喜多家には全く詳しくなく、歴史もこの時代はよく知らないのですが作者の書き方が素晴らしいのかとても読みやすかったです。
    初めこそ冷血無慈悲な男かと思ってましたが、どんな人にでも過去はありますね。
    最後のシーン、待ち続ける母の背中が脳内に浮かんでしまい気づけば泣いていました。
    歴史を知りたいと思えるきっかけをありがとうございます。

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    2023年05月04日
  • まむし三代記

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    期待していた通り、と言うか、期待していたよりも遥かに面白かった。斎藤道三の国盗りが親父と二人で成されたことは、いろんな本を読んで知っていたけれど、じいさんまで関わっていたとは、驚愕の事実(?)だ。これだから、時代小説はやめられない❗

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    2023年04月21日
  • 宇喜多の捨て嫁

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    突然ですが、宇喜多秀家が大好きです。この話はその父、直家が中心。

    知ってることが多いからこそスラスラ読めたけれど、歴史苦手な人には向いてないかも??
    でも、大河ドラマっぽくて面白かったです!

    戦国時代って大変だったんだなぁ。
    抽象的ですか、一番の感想はこれです。
    大変で、難しくて、辛いことも多くて、残酷で、美しい。この本からは、残酷さと美しさが伝わって来ました。

    やっぱり宇喜多秀家好きとしては、読んでるあいだすっごく充実してました!
    次はそんな秀家が中心の「宇喜多の楽土」を読みます!イッテキマスー !! =͟͟͞͞ᐠ(๑ⲺⲻⲺ)‬ᐟ ✧

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    2023年03月29日
  • 決戦!大坂城

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    すごくおもしろかった。
    子ども向けの本だと出てこない武将が登場するのがうれしい。それから、いろいろな作者の短編集だから、この人から見たあの人と、別の人から見たあの人が違うのもおもしろい。このシリーズは全部読みたい。
    一番よかったのは「黄金児」で、その次は「忠直の檻」。(小5)

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    2023年03月05日
  • 宇喜多の捨て嫁

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    ネタバレ

    宇喜多直家…謀に秀でた智将。ただ上手なだけに極悪人というレッテルを貼られてしまった。…「だけ」は言い過ぎかな?ただこれを読む限りでは、極悪人とまでは思えず、逆に共感と好感を得られました。主君に恵まれず辛い病も重なり、不幸な人生と読めますが、彼と彼に関わる人達の人生はまさにドラマ。デビュー作とは思えない完成度です。

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    2023年02月19日
  • 宇喜多の捨て嫁

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    ネタバレ

    宇喜多直家凄い。業の深さがかなりありました。面白かったです。悪にもそれなりに理由があるとかの次元を超えてる権謀術数でした。
    大河ドラマでやってほしい人ランキング私的2位に躍り出た宇喜多直家。お茶の間がザワつく。
    木下昌輝作品は「人魚ノ肉」以来なのですが、今作も伏線回収が楽しかったです。あの人物のあの行動の裏にはこんな想いが…を知っても、だからといって寄り添えるかというとそうじゃない。非道で残酷です。
    各々キャラ立ちも凄い。天竺の鳥料理??タンドリーチキンではあるまい。。
    どんなに非情でも揺れる瞬間はあるというのが皮肉だし哀しい。人はすんなりと鬼にはなれないです。
    小鼓の名人の音色は梅の薫りを漂

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    2023年01月10日
  • 戦国十二刻 始まりのとき

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    ネタバレ

     応仁の乱から大阪夏の陣までのはじまりの時を描いた十二刻。
     一休宗純、斎藤道三、毛利元就等々。

     知らないことがまだまだたくさんありますね。戦国時代はやっぱり面白いですね。
     この沼は深い!

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    2022年12月26日
  • 決戦!川中島

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    信玄ファンも謙信ファンも納得させる骨太のアンソロジーでした。それぞれ作家さんが独自の発想から大胆な物語を書かれていて楽しかったです。

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    2022年07月02日
  • 炯眼に候

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    信長を探偵的ポジションに据えた短編連作……ということだけど、各話の主人公はそれぞれ別の人物で、話によっては信長がほんの少ししか登場しない。そして、それぞれの話で登場するモブと思われていた人物が有機的に繋がり、他の話に頻繁に登場したり、あるいは主人公になったりするところが面白い。謎のトリック自体はそこまで難解ではなく、大筋の結末は読んでいて途中でわかることも多いけれども、なるほどあのシーン伏線だったのかという散りばめ方、因果関係の結びつけ方が上手いと思った。あと、主人公の人選も面白い。

    水鏡: オカルト仕立ての作品。若干荒川新八郎の心情変化が極端すぎるかな?高野の尼僧の煽りに笑う

    偽首: 登

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    2022年02月12日
  • 絵金、闇を塗る

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    大好きなおどろおどろしく薄気味悪い感じ。
    絵金が描く絵が人の狂気を目覚めさせるのですが、その中でも「獄中絵」という武市半平太の話が好き。

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    2021年12月28日
  • 宇喜多の捨て嫁

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    語り手や主人公が異なる短編が連なって、一人の強くて哀しい戦国武将を描きあげている。
    捨て石、捨て駒、などの言葉と同列に使われる『捨て嫁』という呼称が、直家自身への呪詛となって生きながら腐敗させていく。
    直家は悪人なのか?どのようにして直家が出来上がってきたのか?伏線を張り巡らせたミステリーを読むような物語の先への期待が、最後まで途切れることなく続く。
    いますぐ再読したい気持ちをあえて抑えて、時間をおいてもう一度楽しみたい作品。

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    2021年11月24日
  • 宇喜多の捨て嫁

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    戦国時代の梟雄、宇喜多直家を描いた作品。

    一般に梟雄と評価される直家を題材とし、梟雄と生きざるを得なかった直家の苛烈な生き様、悲哀が描かれる。
    一冊が六篇で構成されており、それぞれ異なる人物の視点から直家が描かれるため、読みすすめるほど直家の新たな面が見えてくる。
    視点人物を含む、直家に関わる人物たちの存在感も大きく、一つの群像劇としても楽しめた。

    文章は明快ながらおどろおどろしい、独特の空気感があって個人的には好み。
    読んでいて情景が浮かんでくるというのもあるが、場面場面で感じられる「臭い」が印象的。
    直家を取り巻く不穏な腐臭や血生臭さ、戦場の泥臭さ、人々の汗の臭い、それから梅の花の香り

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    2021年11月04日
  • 戀童夢幻

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    歴史の見方を深めさせてくれた

    宇喜多の捨て嫁で衝撃的に出会った作者だが、本作はさらに衝撃的な作品。
    史実を巧みに織り交ぜ、登場人物の深層心理まで描き説得力ある物語に仕立て上げている。

    読後改めて気づく。ともすれば今まで、現代に生きる価値観、人生感で歴史を見てきた自分の軽薄さに。歴史上の英雄、勇者も生身の人間性は間違いなくあるはずだ。

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    2021年10月08日