木下昌輝のレビュー一覧

  • つわもの

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    6人の人物について、作者独自の解釈を交えて描かれており、こういった裏側もありえたのかもしれないと思わされる作品だった。

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    2023年08月12日
  • まむし三代記

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    斎藤道三。有名な武将ですが、織田信長との関係において語られるくらいで、この斎藤道三を中心にした本は読んだことがなく、すごく興味が湧きました。また、出だしの書き方からワクワクさせられました。斎藤道三を中心にその父と子の3代にわたるストーリー。と思いきや、実は4代にわたるストーリー。史実とフィクションを組み合わせながらの構成は、この著者の得意とするところで、この本でもそれが如何なく発揮されていて、お見事でした。そしてなんといっても、この物語の見どころは貨幣。源太の妻のお景が、源太が戦場から帰って持ち帰る貨幣を巡るやり取りの変化に思わずニヤリ。最後のシーンも、戻ってきた感があって良かったです。

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    2023年08月05日
  • 敵の名は、宮本武蔵

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    刀剣家だけ集めたバキみたい。強者がどんどん出てくる感じがたまらない。飛刀の間やら、二刀流やら中二心をくすぐられる描写も多くもう一度読みたい。途中ストーリーがよく分からなくなる部分があるが、ラストで全て察されて驚かされる。

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    2023年06月15日
  • 秀吉の活

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    豊臣秀吉が別にそんなに好きでもなくても、なんだか好きになってしまいそうな秀吉が描かれた一冊。活きるという言葉をテーマに就活から終活まで、それぞれの活に合わせて功名心から孤独など秀吉の感情がよく伝わってきた。

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    2023年05月27日
  • 絵金、闇を塗る

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    面白くはある。鬼才絵師に関わり、異彩を放つ絵に影響される人々。市川團十郎のエピソードが一番好き。前村洞和、武市半平太、河田小龍に坂本龍馬まで。覚悟と狂気を秘めた夢うつつな場面も、この絵師を描くのに効果的だと思う。ただ、他者目線の絵金演出や理解ではなく、どんな感情で何を描こうとしていたのか、絵金視点で描いて欲しかった。

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    2023年05月26日
  • 宇喜多の捨て嫁

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    高校生直木賞に選ばれたという一作、
    けっこうきつめのがっつり時代小説で、驚いた。読みやすい本ではないよなあ。。


    短編集で、戦国の三大悪人と呼ばれた宇喜多直家を描く。
    一話目こそイメージ通りの話だったけれど、先に進むにつれ、直家に情が湧いてくる。いろんな理由があったんだろうな、と。
    いろんな視点が入るのがとてもよかった。

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    2023年03月24日
  • 風雲 戦国アンソロジー

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    それぞれの作家特有の語り口で、戦国時代の様々な時期や場所で生きてきた人物の姿が描かれており、とても読み応えがあった。

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    2023年03月14日
  • 宇喜多の楽土

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    宇喜多の捨て嫁の続編というか地続きの作品。前作は直家、本作は息子の秀家主人公で、登場人物や設定は引き継がれている。実は戦国ものは連続ドラマ『関ヶ原』や『風雲児たち』などから入ったので個人的には直家よりも秀家の方が馴染み深い。そして、本作の秀家は子供の頃のイメージ通りの人物像だった。八丈島で肩の荷が降りたように不自由なく余生を暮らすくだりを読んで『風雲児たち』の快活な秀家を思い出した。宇喜多の楽土は八丈島にあったという解釈にしている。多分違うけど。
    捨て嫁は時系列も入り乱れ、トリッキーな作品だったけど、本作は王道で物語性も強い。秀家を助けることになる2人はまあベタベタなわかりやすい伏線だけど、こ

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    2023年02月20日
  • 風雲 戦国アンソロジー

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    人が何かを悟って成長するって、良いよなぁっと思わせてくれた「又左の首取り」。松永久秀を描いた「生滅の流儀」(今村翔吾)。特に良かった。

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    2023年02月01日
  • 金剛の塔

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    大阪・四天王寺の五重塔を巡る物語。かつて地震で倒壊したことがないという五重塔は通訳ガイドにとっても興味深いテーマ。五重塔の構造や木造建築の技、世界最古の企業といわれる金剛組の来歴がおもしろい。

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    2023年01月27日
  • 戦国十二刻 始まりのとき

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    ネタバレ

    十二刻3部作の2作目。応仁の乱を描いた1話目『乱世の庭』から戦国時代を締めくくる大坂夏の陣最後の日が舞台の『国士無双』まで扱われている時代は幅広い(そして、時系列に並べられた)短編集で「六本指のましら」と呼ばれる怪人物(時代伝記好きなら六本指でその正体にピンとくるけど)を軸に各話の様々な事象や人物、特定のワード、例えば庭、例えば山崎、が結びついていく様が面白い。1話目とその捕捉というか種明かし的な『はじまりの刻』であらかたの登場人物(の先祖)が紹介され、伏線が張り巡らされる。
    2話目『因果の籤』は斎藤道三の土岐氏への下剋上が描かれるが、その過程で登場する土岐氏支流のある有名な人物(名前ですぐわ

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    2023年01月16日
  • 戦国十二刻 始まりのとき

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    ネタバレ

    各話が少しずつ繋がっており、その時の各人物の心情だけでなく、その繋がりを見ていくのもとても面白いと感じた。

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    2023年01月09日
  • 決戦!桶狭間

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    『どうする家康』桶狭間の戦い!面白さを増幅するストーリー揃い。オススメのアンソロジー。決戦!シリーズの第5弾。桶狭間の限定された時空に凝縮された義元の首を巡る七つの物語。どれも傑作です。七つ目の物語が首になった義元の語りになっていますが、こちらの読む気力が無く、評価できませんでした。
     六つの物語を評価すると5点満点中、平均は4.8点になりました。
    ①覇舞謡 幸若舞の敦盛をバックミュージックに信長公記を素直に解釈した作品。斬新性は有りませんが、冒頭にあることで、桶狭間の戦いのガイドストーリーになっています。 4点
    ②いのちがけ 信長の勘気を被っていた前田利家の主従の物語。ネタバレ出来ない傑作。

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    2023年01月09日
  • 秀吉の活

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    秀吉の幼少期から亡くなるまでを「活」というキーワードで描いた作品。コミカルな表現も多いがじんわりと心に響く。「生きるのではなく活きる」という言葉にあらためて人生を考えさせられた。

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    2022年12月27日
  • 人魚ノ肉

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    最近、著者の偏りを感じ、新天地開拓のような作者を探していた。大型書店で歩いていて著書が目に留まった。明らかに作品名が気になった。歴史背景や登場人物も興味をそそり衝動買いの様に買って帰り直ぐに読み始める。

    幕末天地がひっくり返る中、物語は進んでいく300年にも渡り鎖国を続けてきた当時の日本国民は外国人をどう観たか、夷狄 攘夷の嵐、異教切支丹弾圧、当時の人達は外国人そのものが妖の物、怪異であったに違いない、この時代背景で歴史上の人物、出来事に合わせて「人魚の肉」を巡りそれぞれのストーリーが展開されていく、歴史概念・時代背景がしっかりと出来た上での視点が非常に良かった。幕末維新がすきな私は楽しめた

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    2022年10月01日
  • 金剛の塔

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    これは不思議な作品だ‼️時代小説だけど、SFみたいでもある。聖徳太子の時代から現代まで行ったり来たりして、難しい建設技術の話が出てきたと思ったら、聖徳太子の正体に言及したり、いったい何なんだ⁉️でも良い意味で期待を裏切る面白い作品だった。

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    2022年09月29日
  • 決戦!賤ヶ岳

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    賤ヶ岳の七本槍を七人の作家が描く面白い構成。

    どの作家も、譜代の家臣がいなかった秀吉が、「うちにはこんな良い家臣がいるんだぞ!」と「七本槍」をでっち上げたような描き方が興味深かった。
    それによって多くの七本槍たちが悩むことなる。その苦悩の心理描写を、どの作家も上手く表現している。

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    2022年09月24日
  • 天下一の軽口男

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    上方落語の祖・米沢彦八を主人公に描いた小説。
    江戸で裏切りや盗作騒動などで挫折を味わい、二度と辻噺はしないと大坂へ戻ってきた彦八が
    たまたま足を踏み入れた生玉さんで舞台に上がり、人のいない客席を見ながら、「もし、ここに客が入れば、どんな光景がひろがるんやろか。」と想像し、再び辻噺をする決意をする場面では、応援したくなると同時にうるっときました。
    頭も悪い、喧嘩も弱いのに問題ばかりおこす筋金入りのぼんくらやけど、老若男女どんな人をも区別せず全ての民を笑わせるために一生をなげうった彦八の姿には心動かされた。
    安楽庵策伝の「わしはな、笑いで人を救いたいんや。日々の暮らしに疲れた民の顔に、ほんの一時か

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    2022年09月19日
  • 信長 空白の百三十日

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    信長を主に信長公記から分析した一冊。

    信長が躁鬱気質で、何らかの精神疾患があったという分析は、これまでもある程度言われているものの、改めて読むと新鮮だった。
    また本能寺の変についての独自の考察を重ねており、面白かった。

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    2022年08月07日
  • 決戦!関ヶ原

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    関ヶ原の合戦をさまざまな人物の視点から描いたアンソロジー。それぞれの物語が最後に繋がるのかと思っていたけれど、結局は完全に独立したままだったのが少し残念ですが、短編程度の文章量で立場を変えて見ることができるのは興味深い。

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    2022年07月26日