あらすじ
江戸末期に土佐に生まれ、幼少より絵の才能を発揮し、狩野派の技法を信じがたい短期間で習得した天才絵師、絵金。江戸で絵を学んで故郷に戻り、土佐藩家老のお抱え絵師となるも、とある事件により追放される……。狩野派を学びながらも独自の美を追究した絵金は、血みどろの芝居絵など見る者を妖しく魅了する作品を描いた。その絵に魅入られ、人生を左右された男たちの生きざまから、絵金のおそるべき芸術の力と、底知れぬ人物像が浮かび上がる、傑作時代小説。
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Posted by ブクログ
面白くはある。鬼才絵師に関わり、異彩を放つ絵に影響される人々。市川團十郎のエピソードが一番好き。前村洞和、武市半平太、河田小龍に坂本龍馬まで。覚悟と狂気を秘めた夢うつつな場面も、この絵師を描くのに効果的だと思う。ただ、他者目線の絵金演出や理解ではなく、どんな感情で何を描こうとしていたのか、絵金視点で描いて欲しかった。
Posted by ブクログ
木下昌輝の迫力ある筆致が存分に出ている。絵金という存在を知らなかったので、興味深いお話でした。土佐勤王党の面々をインスパイアする設定は面白かった。新たな幕末ものを読んだ気分です。
Posted by ブクログ
凄い作品を読ませてもらった感が(・_・;
絵師の小説は谷津矢車先生を中心にして、読んでますが、幕末にこんな凄まじい絵師がいたことを知ることができてありがたや。
河鍋暁斎の師匠でもあったというのも納得です。
彼の生き様が土佐の志士に重なるというのは、相応しくもあり……。
時代が求めた人物だったのかもしれませんね。
Posted by ブクログ
大好きな絵金の話ということで。
残念なのは、絵金がすでに完成した超越的な天才として描かれており(大河ドラマ的である)、なんでこうなったのストーリーが薄い点。さらに絵金の話というより絵金に影響を受けた色々の有名人視線で進むため、本質にはあと一歩で触れられないまま終わること。
Posted by ブクログ
絵金と呼ばれた天才絵師の生涯を描いた時代小説。
狩野派以外は認められなかった時代に、独自の画風で一時代を築いた彼の生き様が迫力を持って迫ってくる。
市川團十郎や市川海老蔵と出会い、故郷の土佐へ戻ってからは、武市半平太や坂本龍馬と交わる経緯は、著者の創作だろうが・・・
「百歩譲って芸術を描いちょったとしても、作品が後世に残ることはないろう」と言われる「蝋燭の炎と夏の闇夜で見ることを前提とした」絵金の絵が現在どこかに残っていたら観てみたいものだ。