木下昌輝のレビュー一覧

  • 戦国 番狂わせ七番勝負

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    歴史上の有名な戦いや、大大名の合戦の話ではないが、英雄の若き日の活躍や小が大を制する小気味好い物語がとても面白い。島津義弘、織田信長、真田昌幸などの想定外、裏話、想像を掻き立てるフィクションなどが、短編なのでさくっと読める。物語の面白さもさることながら、この作者がこんな話を書くのかという楽しみ方もある。ところで、こういういくさ話、単純な勝ち負け(結果)だけでもないし、武士のメンツや矜持を保つこと(外部からの評価)や信頼関係の構築(ネットワーク)など、ケースディスカッションに使えそうだなと。ちょっと作ってみるか。

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    2019年12月05日
  • 天下一の軽口男

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    笑けて、そして切なさも感じる物語であった。
    主人公、米沢彦八が、人を笑わせることに対して誠実に向き合い、ときに人に騙されたりひどい目に逢いながらも、もがいてもがいてもがきぬく姿が描かれる。完全なる成功者の物語ではなく、彼もまた道半ばでこの世を去るのだが、それゆえに、人間味があり、物語が生き生きとしたものとして胸を揺さぶるのである。
    挿入される笑い話も面白い。

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    2019年10月30日
  • 戦国十二刻 終わりのとき

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    ネタバレ

    戦国武将の最後の一日を描くというある意味で野心的な作品。

    この発想はなかったですね。歴史小説はある事件やある人物の側面を描くことだと思ってましたから。

    私が好きなのは意表を突かれた「お拾い様」、父親の愛に胸を打たれた「子よ、剽悍なれ」そして、最後の作品「さいごの一日」

    8月末に出る「戦国十二刻 始まりのとき」もものすごく楽しみです。

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    2019年08月07日
  • 決戦!本能寺

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    本能寺といえば明智光秀。時代小説を読んでいて様々な説に出会ってきましたが更に濃い物語集でした。光秀の後ろからどれだけ沢山の糸が引かれていたのか。千利休黒幕説が面白かったです。信長はあれね、もう少し人の心をね・・・と言っても詮無いことですね。

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    2019年04月25日
  • 人魚ノ肉

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    歴史小説は普段ほぼ読まないのだけれどとても面白くてすらすら読めた。
    史実とフィクションを上手く絡めていてとても好き。
    山田風太郎や刻迷宮を思い出した。
    他の本も読んでみたい。
    大当たりを引けた気分(*´ω`*)

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    2018年10月27日
  • 人魚ノ肉

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    面白かったです。
    単行本で既読なのですが、史実には忠実ですが怪異を上手く絡めてあって、再読でもわくわく読みました。
    血を飲むと不老不死になり、肉を食べると妖に魅入られる。この違いが良いです。
    坂本龍馬の「竜馬ノ夢」、沖田総司の「肉ノ人」、そして斎藤一vs斎藤一の「分身ノ鬼」が好きなのですが、今回は「血ノ祭」がぐっときました。
    倒幕だ、とか、不逞浪士を取り締まる、と言っても、京の一般の人々にとっては、京をめちゃくちゃにするのは同じだよなぁ、とつくづく思いました。時代を変えるのは必要なことですが、犠牲になるのは日々の生活です。どんどん焼きで焼け野原になっても生きていかなくてはならない。切ないお話で

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    2018年08月21日
  • 決戦!関ヶ原

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     怪僧恵瓊(木下昌輝著)は文庫版でのみ参戦。対するは毛利元就や、毛利の両川に比べて智謀に劣る毛利隆元が率いる毛利本家を案ずる、吉川広家。徳川家康に弓引かないことで、本領安堵を狙ったが…。敗戦後囚われても何故か余裕を見せる恵瓊。この一作も快作、買って損無し!

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    2017年07月25日
  • 足利の血脈 書き下ろし歴史アンソロジー

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    扇谷上杉、北条氏を描いた富樫倫太郎「早雲の軍配者」の後に読んだ作品として最高だった。非常に混沌としていながら、戦国期の甲信越・関東の土台となった"古河公方"に纏わる連作短編アンソロジー。

    1.嘉吉の狐:古河公方初代成氏-唯一の生き残りの前半生。足利義政への恨みと関東公方としての覚悟、それとかの有名な嘉吉の変のリンクが自然で良い。
    2.清き流れの源へ:大人しい茶々丸というのが新鮮だったが、途中の豹変の過程が不明瞭で違和感。
    3.天の定め:北条に抗い続けた晴氏。子への非情さと情の狭間で揺れ動く心情がよく描かれている。
    4.宿縁:他と一線を画す荒山氏らしい独特な作品。源義家から

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    2025年10月12日
  • プロの小説家が教える 歴史作家のマル秘ネタ帳

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    木下氏の小説よりは面白くはないが、興味深いネタ多数でなかなか面白い。特にカオスな室町時代のネタはやはり面白い。

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    2025年09月08日
  • 秘色の契り 阿波宝暦明和の変 顛末譚

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    ちょうど盆を迎え、徳島の阿波踊り特集を見ていた時に読んだ。フィクションだと思ったら実在した人物の話でますます興味をもって読み込んだ。
    実は藍が徳島の特産だということも知らなかった。あれだけ『あきない世傳 金と銀』を読んでいたのにそんなの書いてあったっけかな?笑
    借金まみれの徳島の藩主を迎えるべく、江戸のお家の部屋住みの次男を見つけるがこの人物が政には興味がなく趣味に没頭するタイプでその趣味を高じて博識なもんだから一旦政にはめるととんでもなく化けて藩政改革の声を上げた。ただ、人と接する事のなかった御殿様なので人情がない。そんな藩主を操舵しようとする家臣と、従来通りの古きを重んじる家老との対立、そ

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    2025年09月01日
  • 秘色の契り 阿波宝暦明和の変 顛末譚

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    阿波徳島藩の改革と頓挫、お飾りの殿様をその気にさせ家老たちを除き藍玉を軸に藩政を立て直す物語。日本藩ならぬ盗賊の暗躍などエンタメとしても面白い。

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    2025年06月22日
  • 秘色の契り 阿波宝暦明和の変 顛末譚

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    ネタバレ

    歴史物の小説は読みづらい気がして読まず嫌いしてたけど、こんなに面白いとは…!!
    どうかな〜と思いつつ、直木賞候補作だからと信じて読んでみて本当によかった。

    超簡単にいうと、江戸時代を舞台にしたお仕事小説って感じ。
    重喜の、良くも悪くも一貫して正しいと思うことを求め続ける姿勢が私の会社の上司に本当にそっくりで、振り回されまくりの忠兵衛に共感しっぱなしだった。
    大変だよな…しかも言ってること正しいから厄介なんだよな…忠兵衛わかるよ…と心から思った。

    また、実際にあった制度や文化がたくさん出てくるので、めちゃくちゃ勉強になるし興味深い。
    ちょっと調べてみたらあまり歴史的な観光地とかはないのかも?

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    2025年06月18日
  • 宇喜多の捨て嫁

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    宇喜多直家を描いた作品。戦国大名のうちでも、特に謀略を尽くした悪役として描かれることが多い。
    歴史的事実を下地に創作を交えて、人間としての生き方、心情が描かれている。戦国時代という命が現在より軽い時代だからこそ、命の使い方について浮き彫りになるエピソードが綴られている。悪役の裏の顔とも言えるものが、間接的に語られている。

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    2025年05月18日
  • 愚道一休

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    ネタバレ

    誰もが知っている一休さんを描いた大河歴史小説。

    やっぱり応仁の乱の時代は面白い。
    一休サイドの話は禅問答(公案)や悟りについての禅僧としての真面目な話で、哲学的で勉強になりました。
    歴史小説としては、ほぼ実在の人物が一休と絡むのが面白くて、ほぼ史実に沿っているのが勉強になりました。
    僧として謙翁宗為、華叟宗曇、養叟宗頤については本当に知らなくて、やはり偉いお坊さんは偉いだけのものがあるなと思いました。
    赤松持貞も知らない人で、途中退場は唐突感がありましたが史実をうまく脚色された感じでした。
    地獄大夫も名前くらいしか知らず、一休との絡みは史実のようで驚きました。
    山名宗全は大河や漫画を含む他の

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    2025年03月28日
  • 秘色の契り 阿波宝暦明和の変 顛末譚

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    ネタバレ

    R7本屋大賞?直木賞?ノミネート?

    三十万両もの巨額の借財を抱えた徳島藩
    藩政改革を担ったのは型破りな人物だった
    特産品の藍は借財に苦しむ藩を救うのか?

    どんなもんだろうと読み始めたが、テンポもよくて面白く読めた
    少し心情描写に迫力が欠ける感があって、のめり込めないというか、サラッとし過ぎてる感があった
    時代劇としてはニッチなだけに、好きな人はいけるし、ダメな人はダメだろう。

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    2025年03月25日
  • 愚道一休

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    ネタバレ

    最初天皇の落し子疑惑出た時に「いやいやさすがに設定盛りすぎやろ!史実との違い確認したるわ!!」とwiki見たらガチの話で「ゑ?すみません」となった。ほかの話もうまく行きすぎてさすがにこれは創作かと思った箇所も調べたら史実通りで。主人公すぎる。
    自分なりの筋を確立してそれに突き進む姿は、後でそれが誤りと気づいたとしても全てかっこいい。情熱ある生き方は全てかっこいい。
    華叟が亡くなる前〜後のシーンが一番印象的だった。風景描写が美しく私も見逃さないように生きようと思ったし、華叟が亡くなる直前の痛みはさっきの美しさとのギャップもあり少しグロテスクさも感じた。その泥臭さ、執念もあまりにかっこいい。映画「

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    2025年03月20日
  • 金剛の塔

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    大阪の四天王寺にある五重塔を主軸にした、時代を跨ぐ短編小説集です。
    五重塔は地震での倒壊は一切ないことをこれで知りました笑
    400ページほどありますが、最後まで楽しく読めました。

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    2025年03月08日
  • 秘色の契り 阿波宝暦明和の変 顛末譚

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    江戸中期、末期養子として阿波徳島藩主となった蜂須賀重喜が進める藩内改革。

    旧態依然とした藩政により借財30万両の財政危機にあった徳島藩で、適材適所を狙った約席役高の制、支出を抑える倹約令、大阪商人の良いようにされていた特産品の藍の藩専売化による藩収の増加など、打つ手は正しく思えるが、作中で忠兵衛らが「百年早い」と言うように性急過ぎるきらいはあった。

    歴史ものだが、あくどい大阪商人金蔵、怪しい平島公方(実在)などを配し、5家老の失脚などの史実も絡めて、権謀術数渦巻くエンタテインメントとなっている。

    重喜を頭が切れすぎ人心に疎い人物としていることで、物語は成立している。

    重喜の改革は、その

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    2025年03月07日
  • 秘色の契り 阿波宝暦明和の変 顛末譚

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    これも前回(24年下半期)の直木賞候補作。これで読むの受賞作入れて4冊目だが、どの話もさすがにしっかりしてる。江戸中期の阿波蜂須賀藩の話だが、全く知らなかったので興味深かったし、重喜と忠兵衛のタッグは面白かった。でも、ちょっと文章が読み辛かったな。木下さんの作品は結構出てるようだし、他のも読んでみよう

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    2025年03月03日
  • 秘色の契り 阿波宝暦明和の変 顛末譚

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    ネタバレ

    江戸中期の阿波藩改革歴史小説。

    10代藩主蜂須賀重喜が藍産業にて藩政改革を使用とする物語で、資料が少なすぎるようで物語としては作りやすくもあり作り難くもありそうです。
    その点はさすが著者に抜かりはありません。
    虚実ないまぜの登場人物が悪と正義に対峙して奮闘するのは、時代劇としても経済小説としても政治小説としても面白くできていると思います。
    史実に則っているため、勧善懲悪でハッピーエンドとはならないのですが、後日譚の余韻も含めて、良かったと思える小説でした。

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    2025年02月16日