木下昌輝のレビュー一覧

  • 天下一の軽口男

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     木下昌輝さんの作品にはじめて触れたのは、
    『戦国十二刻 終わりのとき』。

    「時代ものを書かれる方で、
    今、おススメの作家さんはいませんか?」
    と伺った折、
    日本橋のタロー書房さんに教えていただきました。

     木下作品でよく語られるのが、
    その視点の斬新さ。
    私も夢中になり、あれよ、あれよという間に
    現在刊行されていらっしゃる8割を読破。

     なかでも、繰り返し読んでいるのが
    「天下一の軽口男」。
    江戸中期、庶民のあいだに落語を広めて行った
    米沢彦八の一代記がつづられています。

     大阪の本屋と問屋が選んだ
    ほんまに読んで欲しい本
    「大阪ほんま本大賞」(2019年)受賞作。

     当時、お座敷

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    2021年06月24日
  • 戀童夢幻

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    兄妹よ、精々あがくがいいさ。所詮は憂世だ。この世ほどの地獄はない。業や性を愛で育み、畜生道の果てにあるものを芸能という筆で美しく描くがいい。

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    2021年03月01日
  • 戦国 番狂わせ七番勝負

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    新進気鋭の作家さんが番狂わせとしてそこそこ有名な戦いを書いている(弥助だけ少し毛色が違うが)。地図が分かりやすく、非常に助かる。テーマ上、若い時期のストーリーが多いが、描き方は色々で興味深い。
    海ノ口は大河でも見たが、季節は考えたこと無かったな。政宗と長政の2作がお気に入り。

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    2021年03月01日
  • 宇喜多の捨て嫁

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    宇喜多直家という誰もが悪い意味で知っている人物を取り上げて、時系列的に異なる短編を組み合わせで練り上げていて、素晴らしい。
    もともと浦上家まわりの事情にも疎かったが、興味深く読めた。直家の知名度を上手く生かしてる作品なんだろうな。

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    2021年01月11日
  • 宇喜多の楽土

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    ネタバレ

    父と違って、なんて不器用な生き方しか出来なかったんだろう、秀家。

    八歳で城主というのは、戦国時代なので仕方ないけれど、そこから始まる茨の道。

    唯一の救いの豪姫がいい(T . T)

    そして、小道具が素敵な役割をしているのが、読んでいてたまらない!

    あー、楽しかった。

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    2021年01月08日
  • 決戦!関ヶ原

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    『決戦!関ヶ原』

    誰もが知る関ヶ原の戦い。
    4時間で決着がつき、そして最後の西軍 島津が退陣するまでが8時間。

    ●読みどころ
    1.関ヶ原
    家康と三成。
    戦い前に密談あり。
    互いの狙いは何か?

    2.戦終えての三成
    「勝者はいない。
     徳川も豊臣もそして毛利も、さらに私三成も全員   
     敗者なり。」
    その意図とは?

    3.織田信長弟 長益。兄に囚われた人生
     武勲無しの武将。
     最初で最後に近い戦いは家康方で。
     千利休の弟子であった長益。
     戦場で何を思えたか?

    4.島津義弘
     66歳。西軍の敗北が決まり、1500の兵で家康の   
     本陣3万人に向かう。
    「己の魂と引きかえに敵をうつ

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    2020年11月03日
  • 戀童夢幻

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    ネタバレ

    凄まじい作品を読ませていただきました。
    芸術、恋情、人の裏表。
    読み終えた今も押し寄せる登場人物の感情の波に押し寄せられそう。
    読むことができたことが幸いと思う作品でした。

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    2020年10月25日
  • 信長 空白の百三十日

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    「宇喜多の捨嫁」などの斬新な視点での歴史小説を書かれている木下さんらしく

    信長公記やその他の書物も交えて、空白となっている天正8年とその前後の信長の行動に

    ついて、論理立てた推理がとても興味深いです。

    見出しにもなっている「この空白で信長は変わった!」という表現どおり

    このあとの信長が本能寺の変へ繋がる伏線ともいうべき空白。

    読んでいるだけで想像が掻き立てられます。

    それ以外でも、信長の性格や嗜好など、丁寧に掘り下げて考えられている作品。

    歴史好き、戦国好きなら楽しくてたまらない1冊だと思います。

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    2020年10月24日
  • 宇喜多の捨て嫁

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    戦国武将宇喜多直家の人生を、彼自身と、彼に関係した人々の目を通して描いた、立体パズルのような短編集。

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    2020年10月08日
  • 信長 空白の百三十日

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    本当は自分で「信長公記」を読めば一番いいんだろうが。そこまでの知力・体力はないので、この作品の登場である。「信長公記」の記載をベースに信長のパーソナリティを分析、空白の天正八年の後半4か月の記述の少なさと前後関係から、双極性障害の気がある信長の躁鬱の鬱期間だったのではと類推を進める。本書で特筆して面白かったのは、佐久間信盛との関係性とそれが信長の極端な信賞必罰に与えた影響を論じた箇所、それと信長のストーカーと言えるぐらいの記述を残した太田牛一にも論考を進めているところも見逃せない。(ファッションには興味はあっても食にはそれほどでもなかったというような)。信長の人生をある程度わかった上で読むとと

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    2020年09月21日
  • 信長 空白の百三十日

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    ネタバレ

    信長という人物を多方面から観る。
    興味深く、楽しかったですね。
    彼がメンタルの病ではなかったか、という推理小説を読んだ事がありますので、そういう意味でも興味深く、楽しめました。
    戦国時代を生き延びるというのは、簡単な事ではなかったでしょうし、細川忠興やガラシャ夫婦のような血塗れな関係もありますからね。(忠興はガラシャに色目を使ったと家臣を36人斬殺。あと植木職人と目があったと職人を斬り殺し、その血をガラシャの着物で拭い、彼女は忠興が懇願するまで、その着物を着続けた(^◇^;)という)

    どこかに壊れてしまう所かあったのだと思うと、平和が、一番です。

    そんな生き方をしなくてはならなかった信長も

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    2020年09月02日
  • 信長 空白の百三十日

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    『信長公記』を読み解き、天正八年八月から十二月では空白の意味を推測する。織田信長のパーソナリティに迫る作家の炯眼。

    気鋭の歴史小説家の珍しい新書。織田信長に関する一級資料『信長公記』を基に知られざる信長のパーソナリティを考察する。

    強すぎる完璧主義とアンガーマネジメントの欠如、信長公記の記載から信長の人物像をジグゾーパズルのようにあてはめて全貌を明かしていく。この部分、小説と同様であろう構成が見事である。

    筆者は空白の時期を境にした信長の変化について見逃さない。そこに織田家古参の家臣佐久間信盛の存在を軸に信長と佐久間信盛の衝突と行き違い、信賞必罰の基準の変化を発見する。

    本能寺の変につ

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    2020年08月30日
  • 信長 空白の百三十日

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     著者木下昌輝氏は『宇喜多の捨て嫁』以来、最も注目している歴史小説家ですが、新書『信長 空白の百三十日』は小説家としては当然かもしれませんが分かりやすく、また『信長公記』を丁寧に分析し、フロイス『日本史』、『本城惣右衛門覚書』他適切な引用、『倭国伝』からの発見など『惟日』フリークの私も大満足です。
     小説家としての活躍とは別に、今後は発見の無い歴史専門家の著書とは別のアプローチで新書を発刊してほしいと思える一冊でした。

     但し、一向一揆が「群集心理」で信長に恐怖を覚えて行動したとありますが、どうでしょうか?一向宗は信長の時代では上意下達の武装組織で、法主の命令が絶対だったようです。


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    2020年08月23日
  • 秀吉の活

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    軽妙なタッチでどこかコメディ調な豊臣秀吉。しかし、軽薄ではない。
    作中から感じる、フットワークの軽さ、柔軟さが、秀吉らしいと思えた。それぞれキャラが立っており、秀吉や寧々はもちろんのこと、個人的には黒田官兵衛が面白い。
    非常に読みやすく、あっという間に読んでしまった。

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    2020年06月22日
  • 秀吉の活

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    ネタバレ

    秀吉の人生を生きるではなく、活きるという形で表した本作。読みやすくて、面白かった。
    終始、秀吉の視線で続くので、知っているあれがないとか、これがないとか思いますが、それがまた彼の活き方を描いていてよかったなぁ。
    最近は戦国沼に嵌ってますが、ページ数の多さにしては2日で読んでしまう面白さでした。

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    2020年06月15日
  • 人魚ノ肉

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    個人的な好みとして、自分が今生きている世界と地続きになっているように感じられるというか、世界観が真に迫っているというか、そういう物語が好きなんだけど、久々にそんな感覚を覚えた小説。多分、幕末もの(大好き)×怪異もの(大好き)が自分にとって相性が良かったからだと思う。

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    2020年03月22日
  • 天下一の軽口男

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    落語の小咄から始まり、出会い・別れ・笑いに感情のジェットコースターを堪能できる時代小説。緻密に練られた構成。これはヤバい。
    落語の原形を作った実在の天才だから驚く。
    上方演芸の後継者の大阪人だけに独占させるにはもったいない名作。

    本作が関東だけでなく、翻訳されて世界で支持されないかなぁ。村上春樹もいいけど、こういうのもいいと思うんだけどな。

    ・師匠と虎丸との感動的な別れから泣かせる。
    ・主人公が殺されかけた場面は笑いで切り抜けようとしたシーンは秀逸。
    ・そして最後の小咄に、悲しみを笑いに変え、未来を繋ぐという感動。

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    2020年03月13日
  • 天下一の軽口男

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    上方落語の祖の米沢彦八を主人公にした物語です。江戸と上方の落語の違いだけではなく、演ずる咄家によっての背景の違いもよく書かれています。話しの持って行き方、文体も読みやすく、引き込まれてしまいます。咄家の立身出世の物語かと思っていましたが、これは人生に負けた男の物語ではないかと、気がつきました。ところがそれなのに、とても精力的な生き方をしたのではないかと、共感を覚えてしまいます。お笑いの世界の裏側をしっかりと見せてもらう物語です。秀吉の時代のお伽衆から始まって、今の漫才師や落語家の多士多彩な芸の幅広さが、元には咄家にあることを知り、古典落語の世界を覗いてみたくなります。失敗談ともいえる人生ながら

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    2020年03月11日
  • 決戦!本能寺

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    いやぁー、面白かった!
    お勧めは伊東潤先生、天野純希先生、木下昌輝先生ですね。
    「麒麟が来る」が更に面白くなる1冊です。

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    2020年02月22日
  • 人魚ノ肉

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    初めましての作家さん。
    史実を上手に利用して、そこに人魚の肉を紛れ込ませ
    表面的には何も変わっていないように見せている。
    これは面白い!というか上手い!
    誰も知らない。気付かない。
    幕末の竜馬や新選組が人魚の肉を口にして・・・
    想像以上に面白かったです。

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    2019年12月18日