木下昌輝のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
小説家の木下昌輝が、信長に関する一級資料である太田牛一著『信長公記』を読み込み、信長の真実に迫った労作。
年代順に綴られた『信長公記』には、「空白」の期間が何箇所かあり、その謎を推理する。
さらに、粘着質な信長の気質を読み取り、その行動からは感情コントロールが出来ない信長というパーソナリティーを導き出す。
後半生の記述からは鷹狩りばかりに執着する信長が浮かび上がる。
著者は、ユイス・フロイスの日本史の信長評にもふれる。
「自邸においてきわめて清潔」「自己のあらゆることを丹念に仕上げる」という評から、単なる奇麗好きを通り越した、病的な潔癖症を信長に見、双極性障害の躁状態の行動を指摘する。
そんな信長のパーソナリティーを論じた後、「最期の一年の章」に入る。
ここでは、本能寺の変○○月前、○○月前と、ひと月ごとに綴られ、ドラマチックに緊張が高まる。
本能寺の変にあたり、様々な小説やドラマなどで、光秀が「敵は本能寺にあり」と、中国と京都との分かれ道で檄を飛ばす描写があるが、著者は否定する。
本能寺の変に参加し生き残った某の文献から、光秀の配下たちは信長を討つとは、本能寺に着いてからさえ知らされていなかったとの結論を出す。
読み手にとっても意外な発見だった。
なお、最終章で「本能寺の変の首謀者は明智光秀ではない」との刺激的なタイトルがある。
この変のだいぶ前から、光秀は惟任光秀と名乗っており、当時の文献もみな惟任で記されているとのこと。
変の首謀者を明智光秀としてしまうと、彼を討ったのも羽柴秀吉ではなく木下藤吉郎だということと同じになるという。
昔は、成長に伴いあるいは出世に従い、苗字名前の変更は頻繁にあった故。 -
Posted by ブクログ
人魚の血を飲めば不老不死に、
人魚の肉を食べれば、妖に取り憑かれる。
人魚というと外国のお伽話に出てくるイメージが強いが、しかし、それは幕末の京都に実によく合っていた。
史実をなぞりながら、そこに人のものではないものの何かを重ね、美しくも恐ろしく悍しい物語が出来上がった。
わたしはこの時代に疎いので多少読むのに時間がかかったが、興味がある人には堪らないのではないかと思う。八百比丘尼伝説も恥ずかしながら知らないので、こちらは後にきちんと調べておこうと心に決めた。
最近ミステリー続きで、ストーリー重視の本ばかり読んでいたので、こういう想像力が掻き立てられるような描写や、心が掻き乱されるような文章を読めてよかったと思う。
想像力といえば、人魚の肉の描写が何度か出てくるのだが、腐るギリギリのとても美味しい魚肉ソーセージというイメージだった。わたしの想像力って乏しいなと少し悲しくなった。 -
購入済み
周辺人物の話が面白い
書きつくされたテーマであるだけに、主役の信長.光秀以外の周辺人物の話が面白い。
特に意外な視点から描かれた宮本昌孝の作品が気に入った。