あらすじ
豊臣家の栄達の裏に、凄腕の料理人がいた!
「おみゃあら、今から腹ごしらえだ。
座って食えるのはこれが最後だと思え」
豊臣家の天下統一の陰に、知られざる包丁人(料理人)の姿があった──。
その男は京出身の大角与左衛門。味方の兵たちを食でまとめあげ、敵方の調略にも一役買っていたという。
屑として捨てられていた雉の内臓を使った汁。
決死の戦の前に、即席のかまどで焼いた下魚のかまぼこ。
秀吉と秀長の故郷の味、ドジョウの味噌鍋……
秀吉・秀長の豊臣兄弟に仕えた包丁人が作る、
人と人との心をつなぐ料理とは?
戦国時代の「食」に光を当てた、前代未聞の天下取り物語!
感情タグBEST3
Posted by ブクログ
表現は悪いけど、序盤は「信長のシェフの焼き直しか…」とガッカリしていたけど、中盤『孝行飯』から一気に深みが加速して最後は爽やかに〆られた。大河ドラマ前に読めてよかった
Posted by ブクログ
秀吉と秀長が喧嘩した。まだまだ足軽上がりの頃だ。数年口をきかなかった。そこへ料理人がやってきて、雉の内臓を味噌で煮た物を作る。臭くて食べられないだろうと秀長が思うのに、それは意外にもとても美味しかった。
「食えない腑を料理にするもしないも、味噌次第だ」という料理人。食えない男である藤吉郎を、うまく世間に渡らせるのはお前次第だと言われた気がした秀長。秀吉と仲直りをし、兄を盛り立てていく覚悟を決める。
Posted by ブクログ
食に対する思いやこだわりがわかる歴史小説。
タイトルに唆られて読みました。
歴史については疎くても面白おかしく学びながら読めて面白かったです。
料理もどのような環境で食べるのが印象に残って思い出となるのか。
人って少しした変化で一生の思い出になるのか学びながら読めた気がします。
また、歴史も時系列も木下藤吉郎から豊臣秀吉に成り上がるまでの物語も楽しめるので大いにボリュームがあってよかったです。
ただし、読むのが大変でしたが・・・
本当に戦国時代の「食」に光を当てた小説でした。
歴史と料理好きにはたまらない小説だと思います。
Posted by ブクログ
個人的には、立身出世の為に戦場で取る人の生命と、食事の為に取る食材の生命が同じ平面上で肉や骨を断つ手触りとともにあった序盤の方が興味深くはあったのですが、どう作るかではなく、誰が、あるいは誰と食べるかという料理の積み増し部分や家族に焦点が当てられた全体も、与えられることや共有することでしか得られないあたたかさがあって良かったと思います。料理を小説に置き換えてみると、最後の与左衛門の台詞はそのまま木下さんの作家としての宣言のようにも取れるのですが、それはちょっと考えすぎでしょうか。