白井智之のレビュー一覧
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本格ミステリ特有の遊び心、あるいは悪ふざけが爆発した作品だったと思います。
作品タイトルからもわかるとおり、アガサ・クリスティーの名作『そして誰もいなくなった』のパロディーの本格ミステリ。無人島に招待された5人のミステリ作家。作家たちそれぞれが、かなり奇怪かつアクロバティックな殺され方をされる中、事件の真相、そして犯人を推理していくのは…
いわゆる特殊設定ミステリ+多重解決型のミステリです。設定からしてミステリ好きを狙った感がありますが、キャラクターや描写がそれにさらに拍車をかける。
ミステリ無人島に招待されたキャラクターたちはいずれも強烈な個性の持ち主が並び、死体云々以前から、グロい、汚い描写も多い。
それゆえに最初から、ミステリ好きの中でも、さらに「こじらせたミステリ好き以外お断り」の空気を、序盤からプンプンに漂わせてきます。そういう意味では、ある意味親切な作品なのかもしれません。
設定から何から、いちいち気持ち悪いところが多い。しかしそれだけ念入りに人ばらいしてくれることもあって(?)そのグロさと特殊設定を逆手に取ったロジックのたたみかけは読ませました。
その一方で多重解決の中には、この可能性をまともに推理するか、といったいわゆるバカミスっぽいものや、読むのがめんどくさくなるような物理トリックもあったりします。
本格ミステリという大きな川にある様々な亜流。そうした流れも作品に貪欲に組み込まれている印象です。
それゆえ作者独特のミステリ観や偏愛が織り込まれます。そのひねくれっぷりから、こんなヘンなミステリが生まれたのだと思います。
キャラや描写そしてロジックと、好き嫌いは分かれそうな感じはありますが、普通のミステリを食べ飽きて味覚が分からなくなった頃に、こうした作品を読むと新しい扉が開かれるかもしれません。それともこんな扉、二度と開けるか! となるかもしれないけれど… -
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新本格30周年記念アンソロジー…アンソロジーってあまり手に取ることはこれまでなかったけど、どうしても読みたかった恩田陸先生の 『麦の海に浮かぶ檻』を読むために手にしました。やっぱりいいなぁ…『麦の海に沈む果実』の番外編、主人公はあの人!だから、今そうなんだぁ~と納得できました。読めてよかったです!
他の作品では、綾崎隼先生の『時の館のエトワール』:時間が狂う館、「時の館」に修学旅行で宿泊することになった女学生…時間が狂うとはどういうことなのか…。
井上真偽先生の『囚人館の惨劇』:兄妹の乗ったバスが転落事故を起こす…生存した他の乗客と一緒に近くにあった館で救助を待つことになったが…その館は囚人館だった…。
この2作品は読ませてもらえた感がありました。でも、その他の作品は、読み終えはしたけれど私好みではなく残念でした。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ覆面作家の招待で、孤島に建つ天城館に集まった5人の推理作家。しかし、館に主の姿はなく、不穏な空気が漂いだす。そんな中、彼ら全員が「晴夏」という女性と関係があったことがわかる。
9年前に事故で亡くなった彼女の関係者が、なぜ今になって集められたのか。やがて
作家たちは、次々と異様な死体で発見され……。
ストーリー紹介だけ見て、「お、今回は普通の孤島ミステリなんだ」と思って読んでいたら、ちゃんと特殊設定ミステリでしたね。いかにも白井さん! といった感じのグロテスクで露悪的なミステリ。
かなりトンデモ設定ではありながら、多重解決・個性的な登場人物に意外な結末と、盛りだくさんでしっかり新本格って感じです。
事件の発端になった晴夏さんについて、結局は何もわからないのが少しもどかしい。一体目的は何だったのか。彼女の愛はどこにあったのか。犯人もきっとこんな気分だったのかもしれません。
タイトル的に、『そして誰もいなくなった』の流れをくむ、孤島でのクローズドサークルミステリを連想するんですが、そういうのを期待して読むべきではないかな、とは思います。
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何がとは言いませんが、そういう系統の傑作と言えばこれ。
『生ける屍の死』山口雅也/創元推理文庫 -
Posted by ブクログ
2021/07/28 08:10
よく読んでたベスト本格ミステリーの2019年の文庫版なんだな。
前のノベルズはもっと収録されてる本数が多かったから、面白いのに当たる可能性も高いし、逆に趣味に合わないものに会う確率も高いのだけれど、これは文庫版になって6篇だけになったから、さてどうかなと思ったが、とびきりのものはひとつもなかったけれど、5篇はそこそこ、ちびまんとジャンボという話だけ、ミステリとしては多分面白いのだろうけど、カメムシを食うだのゲロだの、読んでて気分悪くなる話だったので残念だった。
中で1篇、時代劇のミステリがあるが、宮部みゆきも、まぁ、あれはミステリとは言わないのかもだが、書いてるように、割と合うんだな。 -
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福知山線の事故、急速に発展するSNSと燃え上がる悪意、盛り上がり消えていく流行りと街の空気、凄惨な虐待や性被害、児童による殺人、増税、そして東北大震災。めまぐるしい平成の三十年の間にあった事柄を、空気をテーマにしたアンソロジー。
青崎先生目当てで、あとは井上先生、貫井先生、乾先生は既読かなあ。他の方は名前はわかる程度。ちょっとわたしには消化不良の短編が多いかな。まとまりよくて読みやすいのは青崎先生。平成の空気感を一番感じたのはさすがに主宰の遊井先生。この感触を懐かしく哀愁を感じるのはもはや一定以上上の世代で自分もそちら側だと思うと不思議だな。あらゆる小ネタをしこむのが好きなタイプの作家を集めたのだなという印象。それはそれとして、平成という時代に想いを馳せて楽しくはあった。 -
Posted by ブクログ
福知山線の事故、急速に発展するSNSと燃え上がる悪意、盛り上がり消えていく流行りと街の空気、凄惨な虐待や性被害、児童による殺人、増税、そして東北大震災。めまぐるしい平成の三十年の間にあった事柄を、空気をテーマにしたアンソロジー。
青崎先生目当てで、あとは井上先生、貫井先生、乾先生は既読かなあ。他の方は名前はわかる程度。ちょっとわたしには消化不良の短編が多いかな。まとまりよくて読みやすいのは青崎先生。平成の空気感を一番感じたのはさすがに主宰の遊井先生。この感触を懐かしく哀愁を感じるのはもはや一定以上上の世代で自分もそちら側だと思うと不思議だな。あらゆる小ネタをしこむのが好きなタイプの作家を集めたのだなという印象。それはそれとして、平成という時代に想いを馳せて楽しくはあった。 -
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「館」をテーマにしたアンソロジー。新本格30周年記念アンソロジー第3弾。
はやみねかおる『思い出の館のショウシツ』
メタブックという設定が面白い
恩田 陸『麦の海に浮かぶ檻』
シリーズものの外伝(シリーズ未読…)
高田崇史『QED~ortus~ ―鬼神の社―』
こちらもシリーズものらしき。理屈っぽい先輩
綾崎 隼『時の館のエトワール』
タイムリープとSFチックと思わせて、こう来るか
うん。ヒロインの感想に同じ。
白井智之『首無館の殺人』
グロい。汚物方面でもグロ、トリックもグロ、例えの表現すらも。
井上真偽『囚人館の惨劇』
先の読めない展開
シリーズの外伝が多いのと、ミステリー要素は少なめな印象。白の方が好みかな