原田ひ香のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
原田ひ香さん、ずっと読みたいと思っていた作家さんです。
りさ子のこれまでのいきさつは冒頭で書かれるものの、彼女自身がどういう人物なのかが伝わってこず(地の文が三人称視点かつ客観性高く書かれているからかもしれません)、亮が「この仕事をしているとお客さんの後ろに家族構成や仕事がみえるが、りさこに対しては見えない」というようなことを言ってましたが、読者側としても同じ印象を受けました。
真鍋夫人に反論した時から、グンとりさ子の解像度があがりました。そこから引き込まれるように、亮との居酒屋のシーン、元義父とのシーンはりさ子に感情移入しながら読めました。努力してきたことを鼻息荒く話した後に後悔しているまあ -
Posted by ブクログ
彼女とは誰のことだろう。家計簿はつけようとしたことがあるが、私は3日と続かない。
10年日記は書き続け10年を迎えたのだが、、、。
生きるためのお金、そして家族や仲間との関係がその家計簿には描かれている。それはまるでシングルマザーの里里 への70年前からの大切なメッセージなのかもしれない。
家計簿は五十鈴加寿という女性が戦前からつけていたというものだ。
その家計簿には備考欄に書かれた日記のような独白があった。里里はその家計簿に引き込まれ読み進めるうち、加寿は男と駆け落ち自殺したと聞く自分の祖母ではないかと考え始める。はたして事実は・・・。
転機を迎えた三世代の女たちが家計簿に導かれて、新 -
Posted by ブクログ
私は詐欺に2回遭い、合計で約195万円を失ったことがある。23年新卒で入社、月に2万円ずつ貯金、2万円は実家に入れていたので「月2万の貯金」と書かれた帯を見たとき、少し胸がザワザワした。そのうち150万円は親が私の結婚資金として貯めてくれていたもの。家族とお金というテーマに吸い寄せられたのも自分でも納得。
ヴィトンの財布が「踊る」というより様々な人の手によって「踊らされていく」様子を描いている作品だと思う。財布という「モノ」に囚われ、1円単位の節約を成し遂げた専業主婦のみづほが、不動産大家に転身してから、また違う視点でお金に囚われていくのも面白かった。自分自身が詐欺にあってから余計にお金に囚わ -
Posted by ブクログ
ひとりの女性の家計簿を軸に、二人の女性主人公の生き方を描く内容。まず構成がなかなか面白かった。読み手もその家計簿を一緒に読み進める形になっていて、登場人物と同じ体験を追っていくような作りになってる。
全体を通して圧倒的な女性視点の作品で、ベクデルテストを性別を入れ替えて考えてみると、登場人物のほとんどが女性で、男性がほとんど出てこない。ジェンダー的にも完全に女性寄りの作品だった。
一人で生き抜こうとする、仕事を愛する女性たちへの応援歌でもあり、ラストで明かされる仕掛けも、仕事が女性にとってどれだけ大きな意味を持つのかに繋がっている。女性讃歌でもあり、シスターフッドの物語でもあると思う。それ