原田ひ香のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
年齢も境遇もちがう女性たちが「台所のあるところ」という深夜ドラマを見ながらSNSに感想を書くことでゆるく繋がる連作短編集。
各話の主人公たちは家族がいたりいなかったり、いっしょに住んでいたりいなかったりと生活の形態はバラバラだが、皆様々な苦労や悩みを抱えて生きている。それでも、ドラマを見ている瞬間だけは、日常の鬱屈が慰められる時間だ。同じドラマを見てハッシュタグを付けて感想を言い合っていると、同じ場所に集まってワイワイ言いながらいっしょにテレビを見ているような感覚になるのだ。
現代ならではのコミュティの形というか、ハッシュタグで繋がった「台所のあるところ」ファンたちの交流によって、少しだけ気持ちがラクになったり前向きになれたりするところが良かった。
各話に繋がりはないのだが、「台所のあるところ」は1話ずつ話が進んでいくので、物語の登場人物と同じく読んでいる自分もドラマの先が気になっていく。
なんとなく、「かもめ食堂」みたいな雰囲気のドラマなのかなぁと想像しながら読んだ。
ドラマに出てくるお料理がとても美味しそう。しらすトーストを作ってみたい。 -
Posted by ブクログ
月収4万(年金)・8万(個人事業主)・+10万(NISA)・100万(パパ活)・300万(投資)・17万(介護職)の女性を主人公にしたアンソロジー。
各お話には主人公の年齢が記載されているが、
時系列が若干異なっており、別のお話で登場した時には“主人公だった頃からのその後”が分かるような構成になっている。
そんな中でも300万の女の変化(キャリア→抜け殻→ボランティア)が「お金がある人はその使い方を考えなくてはならない」と言う信念が通っていて好きでした!
「月収20万と月収30万の実質的な差は数値通りの1.5倍ではなく3倍だ」など言われてみれば確かにと頷ける言葉も多く、軽く読めてタメになるお話でした。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ☆4.7
面白かったー。
面白かったけど、最後が尻切れトンボみたいに終わってびっくりした。
解説で単行本から結末が変更されたと書いてあって、なるほど…となったけど、それでも最後物足りなかった。この本はミステリーではないから本筋からは外れるけど、誰が盗んだのか知りたかった。
また特別収録も終わり方がハッピーエンドではなく、バットエンドっぽくて驚いた。光希は終始自分のことをお金持ちと自負していたけど、この短編を読む限り、結局人は生まれによるんだなと思ってしまった。
結末を除いて、話は面白かった。最初、特に説明もなく、光子を追うシーンから始まるので、読み飛ばした?と思ったけど、徐々に天使がなぜ光子を追うのか説明されたので納得した。そして幸子との対話シーン、光子との対話シーンはそれぞれとても面白かった。特に親に殴り込みに?行く場面で上手く話せない天使の代わりに光子が話すところ、その後天使が泣きながら母親に今までの思いを伝えたシーンは良かった。
今まで原田ひ香さんの小説は連作小説しか読んだことがなかったけど、長編の方が面白いなと思った。特に物語に入り込ませる、感情移入させる力が強いと思った。また原田先生の作品を読みたいと思う。 -
Posted by ブクログ
表題のドラマを共通項として描かれる女性の暮らし連作。
こういった構成の作品、原田ひ香さん多いですよね。安定感というか、読みやすいし構成が読める分話の方に注力できてよかったです。
相変わらず、女性の生活感を絶妙な良さで出すなあと思いました。それ以上リアルに近づけると生活感が出すぎてきつくなるぞ、という寸前でまとめてるような。花絵の話でもキツさは感じつつ読むのが嫌にはなりませんでした。
いい意味でタイトル詐欺というか、原田ひ香で「台所」なんてでてきたら美味しいもののでてくる話のように思いきや、女性の焦りや葛藤や諦観その他の感情を、リアルな生活感の中に浮かび上がらせてる感じで、それをひたすら味わうように読みました。それでちゃんと面白いのだから不思議なことだなあと思います。
あと女性作家の小説って、なんだかんだ女性にやたら都合のいい展開というか、そんなうまくいくわけないでしょうという話が結構あるのですが、原田ひ香のものって私にとってはそういう感じがあまりないんですよね。来月の家賃を心配したり、スーパーのお買い得をささやかに喜ぶような、地に足ついた女性がそこそこの幸せを得る、という着地が自然と共感しやすくていいよなと思います。